16日にオランダから帰国し、取材対応を行ったFC東京DF太田宏介
FC東京からオランダ・エールディヴィジのフィテッセへ移籍することが決まったDF太田宏介が、16日にクラブ本社で記者団の取材に応じた。
28歳で初の海外挑戦となる太田。「最初は6月、7月に(フィテッセから興味があるという)話をもらったんですけど、その時は実際に正式なオファーが来るとも思っていなかったし、実感もなかった。あとは東京にずっといたいという思いもあった。でも(フィテッセ)向こうが熱心に自分のことを追い続けてくれて、僕が思っている以上に評価をしてくれて嬉しかった。それで、11月の終わりくらいから気持ちが動いていった」と徐々に心境の変化があったという。それでも「東京への愛着が強すぎて、最後まで悩みました」と熟考の末に移籍を決断したことを明かした。
FC東京との契約が残っているため、移籍金が発生する中で4年半という異例の長期契約を勝ち取った。これについては「自分みたいにJリーグでこつこつやってきて、そこを評価してもらえて向こうに行けるというのは、『そういう道もあるんだ』というのを示せたと思う。Jリーグで結果を残すことが全て」と日本で結果を残してきたことが評価されたことを喜んだ。
太田は前日にメディカルチェックや契約を済ませ、16日にオランダから帰国した。チームについては「向こうに行く前にフィテッセの幹部が日本に来てくれて、実際にJリーグを見に来てくれた。すごく歓迎してくれた」と明かし、2日間滞在したという本拠地アーネムの町については「本当に自然が豊かで、言ったらサッカー以外何もないくらい。でも町並みも綺麗で、サッカーに集中するのに適した環境」と印象を語った。
初めての海外移籍となり、言葉の壁も存在するが「チームにはイングランド人もいるので、基本的に英語を使っている。クラブからもオランダ語は勉強しなくていいと言われた(苦笑)。英語は清水(エスパルス)時代からちょくちょく勉強していたから問題ない。スピードラーニング全部買いましたし(笑)」と心配がないことを強調した。
また、海外で不安を感じていることについては「日本と違って土足の文化なので、チームメイトを家に招待した時にみんな靴を脱いでくれるか心配(笑)」と冗談を交えて記者団を笑わせた。サッカーや語学の面ではまったく不安を感じていないようで、どんな環境でも溶けこめることが自身の長所だと述べた。
これまでも多くの日本人選手が挑戦したオランダ・エールディヴィジ。移籍を前に多くの人からアドバイスをもらったといい、「小野(伸二)さんや都並(敏史)さんたちに話を聞いた」と告白。かつてフェイエノールトで結果を残し、清水エスパルスではチームメイトだったコンサドーレ札幌MF小野伸二からは「(小野からは)清水時代から早く海外へ行けと言われていた。ご飯も一緒に食べさせてもらって、向こうでの話を色々聞かせてもらって、『自分も早く行きたい』っていう気持ちが強まった。“小野伸二”の名は(オランダでも)想像以上にすごい力がある」と助言を受けたという。
チームを率いるピーター・ボス監督は、現役時代の1996年と1999年にジェフユナイテッド市原(現ジェフユナイテッド千葉)でプレー。また、監督としてはヘラクレス・アルメロでFW平山相太(現FC東京)を、フィテッセではFWハーフナー・マイク(現ADOデン・ハーグ)を指導した経験も持つ。監督については「相太くんもいい監督だって言っていたし、実際に会ってみても、フランクに話せる人で親しみやすかった。結構日本語を結構覚えていたから。チームの戦術やフォーメーションの話をしている時もわりと日本語で話してくれた」と好印象であったと振り返った。ボス監督から求められるプレーについては「今、左サイドバックでプレーしている選手は元々中盤の選手で右利きで、下に戻してしまう場面が多いみたいで。(自分には)タテへの推進力とかセットプレーも含めて期待していると言われた」と語ったが、得意のFKを蹴らせてもらえるかは「どうなんでしょうね?」と言葉を濁した。
4年間プレーしたFC東京については、「FC東京というクラブが好き」と“チーム愛”を語り、将来的な復帰を示唆。「リーグのタイトルはとることができなかったというのは全てですけど、ただ天皇杯がまだ残っていることが最高のモチベーションになっている。遅いかもしれないですけど、置き土産を残したいです。それが今の一番身近な夢です」と天皇杯でチームに恩返しをしてオランダへ旅立つことが、現在の第一目標だと力強く述べた。
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