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若手を温かく見守る本田…アフガニスタン戦では武藤、宇佐美らの猛アピールに期待

2015.09.06

イランでのトレーニングに臨んだ本田圭佑 [写真]=元川悦子

文=元川悦子

 3日の2018年ロシアワールドカップアジア2次予選・カンボジア戦(埼玉)を終え、翌4日にアフガニスタン戦の開催地、イランの首都テヘランへ移動した日本代表。ドバイでのトランジットを含む15時間超の移動を経て、5日午前中に現地入りした選手たちは、休む間もなく17時半すぎからテヘラン市内のパス・スタジアムで初練習にのぞんだ。

 この時期のテヘランはまだ暑さが厳しく、夕方でも気温は30度近かったが、高地で湿度が低いせいか比較的爽やかに感じられた。ただ、西川周作(浦和レッズ)も「ちょっと乾燥しているというか、すぐに喉がカラカラになる」と発言。この乾燥が思わぬ敵になる可能性もあるだけに注意が必要だろう。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督ら日本代表はトレーニング開始前に在イラン日本人学校の子供たち30人との記念撮影に応じ、選手たちも笑顔を見せていた。練習は22分間のランニング、アップ、6対2のボール回し、体幹強化など合計1時間半。コンディション調整中心の内容だった。

 イラン遠征前に髪を切り、スッキリした本田圭佑(ミラン)は「そこまで暑くなかったんで、それを確認できただけでもよかった」と前向きにコメントした。日本はカンボジアに勝ったにもかかわらず、ゴールが少なかったせいで、現時点でシリア、シンガポールに続くE組3位という苦境に陥っているが、「現時点での結果は重要ではない。終わった時に満足いく順位にいれば問題はない」と彼はあくまで長期的視野でアジア予選を捉えるべきだと考えているようだ。

 とはいえ、カンボジア戦の得点者が彼自身と吉田麻也(サウサンプトン)、香川真司(ドルトムント)と代表実績豊富な面々に偏っていたのは気になるところ。新天地・ドイツで活躍中の武藤嘉紀(マインツ)やJリーグの看板になりつつある宇佐美貴史(ガンバ大阪)ら若い世代の押上げがなければチームの活性化は難しい。そういう危惧は本田自身も理解しているが、彼はこのテーマに関しても長い目で見ることの重要性を改めて強調していた。

「(若手台頭の)危機感はそんなに持つ必要はないんじゃないですか。オランダ時代もよく『技術は一生失わない』って言われましたけど、うまい選手は一生うまい。彼らも経験とともにその技術をどこでどう生かすかを学ぶだけだから」

「日本ってどうしても盛り上げといて落とすでしょ。僕が若手のために言うとすると、長い目で応援してあげてほしいと。メディアのみなさんとサッカー選手は運命共同体だと思っているんで、いいサッカー選手が出てくればみなさんの記事も売れるわけで。そういう意味では、武藤や宇佐美、(柴崎)岳(鹿島アントラーズ)にしてもそうだけど、若い世代の選手を長い目で温かく見守って、彼らのよさをどうしたら引き出せるのかを考えながら応援してあげてほしいなと思いますね」と、本田は「焦らず見てほしい」という若手の気持ちを代弁するような物言いを見せた。

 ただ、2009年9月のオランダ戦(エンスヘーデ)でベテラン・中村俊輔(横浜F・マリノス)に「FKを蹴らしてほしい」と大胆なアプローチをした6年前の彼自身のような型破りな選手がどんどん少なくなっているのは事実。そこは本田にも思うところがあるという。

「別にあの時の自分のようなやつが出てこいとは僕は言わないですけど、今はいろんな環境にいる選手が少ないですよね。武藤なんかそうだけど、きちんと整備されたドイツ1部のチームできちんと教育されている。僕の(VVVフェンロの)時なんか、練習中に殴り合いのけんかをして帰らされるやつが何人かいましたし、2部も1部も経験しているでしょ。それがいいとは言わないけど、代表には面白い場所で面白い経験している人間がいてもいいんじゃないかなとは思いますね。まあでも、僕は型破りな後輩より礼儀正しい後輩の方が好きですけどね」

 確かに本田が言うように、今の若い世代は洗練された選手が多い。が、そこから一皮むけなければ、化け物のようなスターにはなれない。果たしてそういう怪物が出てくるのか。さしあたって8日のアフガニスタン戦はカンボジア戦で不発に終わった武藤や宇佐美らの強烈アピールに期待したいものだ。

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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