“モウリーニョ塾”入門で、武藤嘉紀に待っているものとは? [写真]=Getty Images
ジョゼ・モウリーニョのチームマネジメントにおけるキーワードは、「能力主義」と「少数精鋭」だ。
2013年夏、二度目のチェルシー就任会見で、モウリーニョはこう話している。
「偉大な経歴を持つ選手を優先することなく、出場に値する選手を起用する。私は指揮官として、能力主義をベースとした決断を下す」
つまり無名選手や若手であっても能力があればチャンスをもらえるということだが、一方でその“パイ”は非常に限られている。
今シーズン、彼がプレミアリーグで起用した選手の数は「22名」。これはリーグ最少で、マンチェスター・ユナイテッドの「32名」と比較すればいかに少ないかがわかる。
22名のうち、10試合以上に出場している主力メンバーはさらに少ない17名。ターンオーバーよりも少数精鋭を好む理由はこうだ。
「質の高い選手が多すぎると、控え選手はチャンスがないと感じてしまう。最高のクオリティーをそろえつつ、人数を減らすことで全員にチャンスがあることを理解させたい。これにより、高いクオリティーを維持しながらグループ全員が満足できる」
わずか20名弱。チェルシーの主力という狭き門をくぐり抜けるのは、かくも難しい。
加えて、既報の通りチェルシーは今シーズンだけで約30名をレンタル移籍に出している。マンチェスターの2強やアーセナル、リヴァプールなど他の強豪クラブも15人前後をレンタル移籍させているが、チェルシーはとりわけ数が多く、それは有望株を青田買いするクラブの方針であると同時に、モウリーニョが自身のポリシーに則った結果とも言える。
ただ、レンタル組の一員になることを考慮した上でも、武藤嘉紀がチェルシー移籍という挑戦をすることには価値がある。
チェルシーのレンタル移籍には、2つの目的がある。ひとつめは言わずもがな、実践の場を与えて若手に経験を積ませること。ここで大きな成果を挙げてチェルシーの主力となるのが全選手の目標だが、現ファーストチームでそれを成し遂げたのはGKティボー・クルトワただひとりしかいない。
重要なのはもうひとつ。それは保有選手をクラブ外の「ショーウインドウ」に飾る目的だ。これにより、たとえ“モウリーニョの20人”に入れなかったとしても、レンタル先で一定の成果を出せば買い手がつく。現在、そうやって他クラブで成功しているのがロメル・ルカク(エヴァートン)やケヴィン・デ・ブライネ(ヴォルフスブルク)であり、今年1月にフィオレンティーナへレンタル移籍して主役を演じるモハメド・サラーも、たとえチェルシーに戻れなかったとしても今後の活躍の場に困ることはないだろう。
かつてフランスの神童と呼ばれたガエル・カクタのように、半年~1年ごとに様々な国やチームをたらい回しにされる“レンタル地獄”にハマってしまうパターンだけは避けたいところだが、チェルシーでの成功だけに固執しなければ、ヨーロッパで飛躍するための踏み台はしっかりと用意してもらえる。
英国での労働許可が下りれば2部のミドルズブラ、すぐに下りなければオランダのフィテッセあたりのフィーダークラブ(提携先)か、もしくは日本人が多いブンデスリーガのクラブあたりが修行先となっても、差し当たりマイナスはない。
もちろん、トップチームにストレートインできればそれがベストだ。勝利至上主義のモウリーニョは「勝利を放棄してまで若手を育成しようとは思っていない」と明言する。それでも、モウリーニョの指導でひと皮むけた選手は数知れない。たとえば、ハードワークと守備の重要性を植えつけられたジョー・コールやエデン・アザールといった新旧の10番に対し、指揮官は勝利のために必要なことを叩きこんだに過ぎないが、“育成のための育成”はしないというだけで、モウリーニョの下で学べることは非常に多い。
また、トップチームの選手については「全員の幸せ」を追求するがゆえに、起用に足る能力がないと判断されたとしても、その理由や欠点をハッキリ指摘してもらえる利点もある。フアン・マタはモウリーニョから「オフ・ザ・ボールの動きが物足りない」と告げられ、マンチェスター・U移籍を決断した。それは不要な選手を簡単に“切る”行為にも見えるが、ベンチで飼い殺すのではなく新天地探しを許可するのは、教え子に対する愛でもある。
ちなみに、そういった選手の移籍金で“ひと儲け”するところも彼の手腕だが、こうした移籍は選手、監督、クラブの全員にとって損がない。
4月10日の記者会見で今回の移籍騒動について初めてコメントしたモウリーニョは、400万ポンドのオファーについては明言せず、武藤のことは「少ししか知らない」と煙に巻いた表現に終始した。だが一方で、「いい選手か、将来性のある選手だと信じていなければ獲得はしない」という本音も見せている。
まだ移籍については何も決まっていない。だが、日本人初の“モウリーニョ門下生”が生まれれば、その動向は非常に興味深い。
(記事/Footmedia)
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