UEFAチャンピオンズリーグ制覇3回、同得点王5回、FIFAバロンドール受賞3回と数々の栄誉を手にし、今や「世界最高のサッカー選手」と評されるFWクリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリード)。この偉大なフットボーラーが初めてUEFA EUROの大舞台に立ったのが、自国・ポルトガルで開催された2004年大会だった。
2003年8月のカザフスタン戦でルイス・フィーゴと交代してポルトガル代表デビューを飾った彼は、19歳で初のA代表レベルの国際大会となるユーロに出場。初戦・ギリシャで幸先よくゴールを奪うと、凄まじい勢いでチーム快進撃の原動力となった。若きスターとフィーゴ、ルイ・コスタらベテランの融合によって、ポルトガルはイングランド、オランダら強豪を次々と撃破。その強さに国民は大いに魅了され、熱狂と興奮はピークに達した。しかし、彼らはファイナルで伏兵・ギリシャの堅守の前に0-1で苦杯。C・ロナウドは人目をはばからず大粒の涙を流した。その悔しさと屈辱感は、彼がその後、ブレイクする原動力となったに違いない。
超高速ドリブル、変幻自在のフェイント、無回転FKなど、驚愕プレーの連続で世界を魅了し続け、31歳となったが、今でも代表への思いは人一倍強い。クラブでは、マンチェスター・ユナイテッド、レアル・マドリードで数々の栄光を獲得してきたC・ロナウドといえども、代表ではまだ一度もタイトルを獲得したことがないからだ。
ポルトガル代表はスイス・オーストリア共催だったUEFA EURO 2008でベスト8。ポーランド・ウクライナ共催だったUEFA EURO 2012ではベスト4止まり。FIFAワールドカップでも2006年ドイツ大会の4位が最高。2010年南アフリカ大会がベスト16、2014年ブラジル大会グループリーグ敗退と下降線を辿っている。
現在のポルトガル代表に、かつてのフィーゴやルイ・コスタ級のタレントはいない。だからこそ、C・ロナウドが持てる力の全てを発揮して、力強くチームをけん引していく必要がある。長年一緒にプレーしてきたぺぺ(R・マドリード)やナニ(フェネルバフチェ)といった盟友も彼をサポートしてくれるはずだ。名実ともに華々しいキャリアを歩んできた偉大な男には、やはり抜きんでた活躍とタイトルがふさわしい。今大会は彼のサッカー人生の集大成ともいえるビッグトーナメントとなるだろう。
By WOWOW