いよいよ開幕が6月11日に迫ったUEFA EURO 2016。出場24カ国の最終登録メンバー絞り込みも佳境を迎えつつある。当落戦上の選手たちの危機感や緊張感はともにプレーする仲間にもひしひしと伝わってくるようだ。
トルコ・スーペルリーガのブルサスポルでプレーする細貝萌も、そんなチームメイトの心情を実感しているひとり。「僕も2年前の2014年ブラジル・ワールドカップ前の時期の緊張感を経験しましたけど、ユーロを目指す選手にとって今の時期はすごく重要だし、チームでの活躍が重要ですね。ウチのクラブにもチェコとか出場する各国サッカー協会のスタッフが来たりすることもありますし」と、彼は自身の経験を重ね合わせつつ大会の注目選手や身近なトルコ代表などを語った。
(インタビュー=元川 悦子、写真=元川 悦子、ゲッティ イメージズ)
■トルコ代表のヴォルカン・シェンはオカちゃん(岡崎慎司)みたい
ユーロの開幕も近づいてきました。細貝選手がプレーしているトルコの代表も出ますがトルコ代表に関しての印象は?
細貝萌(以下、細貝) 選手のレベルはすごく高いです。トルコリーグにも沢山タレントはいる。例えば、フェネルバフチェにしてもトルコ代表のウイング、ヴォルカン・シェンがいる。フェネルバフチェ戦で右サイドバックに入った僕は、彼とマッチアップして『こんなにいい選手だったんだ』と思いましたね。彼はもともとブルサスポルにいた選手で、みんなも『すごくいい』と言っていたけど、対面してみたら、ホントにマークしづらかった。ボール持ってない時の動き出しとか、どっちかって言うとオカちゃん(岡崎慎司)を見てるような感じ。オカちゃんはディフェンスラインの裏をつねに狙ってるし、動き出しも鋭い。1対1になった時の駆け引きはホントに大変でした(笑)。
フェネルバフチェの試合では、途中からナニがこっちのサイドに来たり、前線にはフェルナンドっていうデカいブラジル人がいて、トップ下はジエゴでしょ。さらに途中からはファン・ペルシーが出てくるわけですよ。そういう能力の高い選手たちと一緒にやれるのは僕自身にとっても、トルコ代表の選手たちにとってもすごくいいこと。レベルが高いのも頷けます。
トルコは熱狂的サポーターの存在も1つの特徴ですね
細貝 まず声がデカいんです、トルコ人って(笑)。それとメンタリティも違う。「自分のクラブはここなんだ」「他のクラブのやつはもうどうでもいい」っていうか。サポーターはハッキリ言って熱いです。無観客試合も平気で起きるしね(苦笑)。
僕がトルコに来てからブルサスポルのホームゲームだけでも無観客試合が2回もありました。日本は1試合無観客試合になっただけで、大問題じゃないですか。でも、こっちでは発煙筒をスタンドで平気で炊いたりする。日本は観客が危なくないようにルールがしっかりしてる素晴らしさがあるけど、こういう熱さっていうのはトルコにいるからこそ感じられること。やっぱり文化の違いはありますよね。僕自身、ここでプレーできてるのはサッカー選手としてすごい幸せなこと。トルコの選手たちも間違いなくタフになれると思いますね。
■セルダル・アジズはいろんなビッグクラブが目をつけている選手
ブルサスポルにいるトルコ代表の選手についてお話ししてもらえますか?
細貝 まずセンターバックのセルダル・アジズ。ブルサスポルのキャプテンなんですけど、彼は相当いい選手ですね。年齢も25歳といい時期で、インテルやリバプールなどいろんなビッグクラブが目をつけている選手だと言われています。トルコ代表がユーロ出場を決めた試合(2015年10月13日のアイスランド戦)にセンターバックで出ていたし、チームを本大会へ導いた立役者のひとりです。僕が思うに、ブルサスポルでも一番能力がある選手のひとりなのかなと思います。強さだったり、競り合いもメッチャ強いし、相手のボールを跳ね返せるし、フィードもうまい。ホントにいい選手だと思います。
身長は180ちょっとでそんなにデカイわけでもないし、日本人DFも目指せる選手かもしれない。ただあんなに筋力やバネのある日本人はなかなかいないですよね。僕にしても相当細いし、筋トレをやってもなかなか太くならないし、外国人とはやっぱり作りが違うのかな……。
By WOWOW