ドイツに屈し、ベスト8で敗退となったイタリア代表 [写真]=Getty Images
ユーロ2016フランス大会のイタリア代表はベスト8という結果で終わった。どうも国際大会の大舞台でのPK戦に弱いアッズーリだ。かつてのロベルト・バッジョ氏のうなだれた姿を思い出す。しかし、そんな感傷に浸ってはいられない。すでに新シーズンに向けてサッスオーロ、インテルなどが動き出している。イタリア代表の選手たちもしっかりと1年のシーズンとユーロ2016の疲れを取り、新しいシーズンに備えなければならない。
アントニオ・コンテからイタリア代表を引き継いだのは、68歳のジャンピエロ・ヴェントゥーラ監督だ。2015-16シーズンまで5年間トリノを率いてきた。地味ながらもイタリア・サッカー界で生き続けた老将と言っていいだろう。FIGC(イタリアサッカー協会)は一時、元代表監督でユヴェントスなどの経験豊かなマルチェロ・リッピ氏を、テクニカル・ディレクターに迎える準備を進めてきたが物別れで終わった。
ヴェントゥーラ監督は“コンテ・イタリア”3-5-2をベースにして、2018年ワールドカップ・ロシア大会の予選を戦っていくつもりでいる。守備陣はユヴェントスの選手たち、GKジャンルイジ・ブッフォン、DFジョルジョ・キエリーニ、DFレオナルド・ボヌッチ。そして35歳になったDFアンドレア・バルザーリを代表に残るよう説得するつもりでいるという。またGKには昨年、ミランでセリエAデビューした17歳のジャンルイジ・ドンナルンマを招集し、ブッフォンの後継者として育てる意向だ。また今大会では招集を見送られたユヴェントスの新人、21歳のDFダニエレ・ルガーニもA代表でデビューする可能性が出てきた。
というのも、今月18日に予定されている代表監督就任会見から約1カ月半後の9月1日にはフランスとの国際親善試合が行われる。同月5日には初の公式戦となるイスラエル戦(W杯予選)、10月6日にはトリノでスペインとのビッグマッチ(同)があるため、急速に新生イタリアを造り上げる必要に迫られているからだ。
中盤では MFクラディオ・マルキージオ(ユヴェントス)とMFマルコ・ヴェラッティ(パリ・サンジェルマン)の故障からの復帰が待たれる。そして2トップはFWエデル(インテル)とFWグラツィアーノ・ペッレ(サウザンプトン)のコンビで、その他にU-21代表からFWドメニコ・ベラルディ(サッスオーロ)とFWアンドレア・ベロッティ(トリノ)がアッズーリの将来を担う。ベロッティは15-16シーズンにトリノで22試合6得点と、セリエA1年目で及第点の結果を出した。ヴェントゥーラ監督も「もし彼が代表に来なければ、私の将来は破滅だ」とまで言っており、その可能性に賭けている。ベテランと若手の共存でW杯出場を目指すイタリア代表を今後も追っていきたい。
文=赤星敬子