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不振のシャルケ、ファンの希望は内田の先発起用…批判の矛先は指揮官へ

2015.04.16

シャルケでプレーする内田篤人(右) [写真]=Bongarts/Getty Images

 シャルケに所属する日本代表DF内田篤人の境遇に関し、ドイツ誌『キッカー』が「静かなる格下げ」として大きく取り上げたのに続き、地元紙『Westdeutsche Allgemeine』も「システム変更にも関わらず、内田はオフサイド」との記事を掲載した。

 同紙は「シャルケの人気者、アツト・ウチダは(ロベルト・)ディ・マッテオ監督のもとでは分が悪い。ダービー(リーグ第23節のドルトムント戦)以降、先発落ちすると、今やリザーブでしかない」と、内田が置かれている立場を前置きした上で、「3月10日(チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦セカンドレグのレアル・マドリード戦)を最後に、内田は1分たりとも出場していない。彼はロベルト・ディ・マッテオのもとで、オフサイドに陥ってしまった。なぜ、指揮官は、この右SBの選手をここまで干すのかという疑問が沸いてくる」と投げかけた。

 続けて、前節のフライブルク戦ではフォーメーションを「3-5-2」から「4-2-3-1」に戻したにもかかわらず出番が与えられず、右SBには、CBが本職のドイツ代表DFベネディクト・ヘーヴェデスが起用されたこと、そして、内田と右サイドで「パーフェクトに息の合ったコンビ」を形成してきたFWジェフェルソン・ファルファンが復帰したことに触れ、「不思議だ」としている。

「クレバーな戦略家として知られるディ・マッテオ監督なら、このコンビのクオリティも分かるだろう。だが、彼なりの考えがあり、シャルケもそれを期待して招へいした」と、ディ・マッティオのポリシーに一定の評価と理解を示す一方で、「彼のもとで、目に見えて成長した選手はいない。トランクイロ・バルネッタクリスティアン・フクスはシステム変更によって恩恵を受けているが、マックス・マイヤーケヴィン・プリンス・ボアテングなどは、この半年で調子を落とした」と、同監督のもとで選手個々の成長が止まっていると指摘し、その手腕に疑問符をつけた。

 また内田については、「今は何の役割も与えられていない」との言葉で苦境を説明。「“ウッシー”は、日本のファンに人気があるだけでなく、シャルケの歴代監督の下でもレギュラーに定着。特にこの数シーズンは、負傷によってストップがかかるまで、戦術面でも成長を続けていた」と、長引く負傷に触れた上で、その時点までの実績と成長を評価している。

『キッカー』、『Westdeutsche Allgemeine』ともに、内田を例にディ・マッティオ監督の采配に疑問を呈しているかたちだが、シャルカーこと、シャルケのファンはどう考えているのか。

 この記事がやんわりと内田の起用を推していることも影響しているだろうが、記事につけられたコメントを見ると、シャルカーの大半が内田の先発起用を推しており、当然の結果として、ディ・マッティオ監督には批判的ということが分かる。

 シャルカーの意見をいくつか取り上げてみると。

「全く意味不明!ヘーヴェデスの右SBで攻撃が上手くいかないことなんて、とっくに分かっていたし、実際にそうだった。内田がかわいそう、ファルファンがかわいそう、シャルケがかわいそう!」

「ウッシーを外すなんて監督としてありえない。けど、バルネッタはスイス人で、私の記憶ではディ・マッテオもそう(編集部注:ディ・マッテオ監督はスイス・シャフハウゼン出身)。それが関係してたりするのでは???出場すべきはウッシー。彼のようなグッドプレーヤーは、ベンチにはもったいなさ過ぎ」

「バルネッタ、(エリック・マキシム・)チュポ・モティング、(クラース・ヤン・)フンテラールには、あんなに強力なロビーがあるのに、内田、マイヤー、ボアテングには、それが殆どないのが不可解。コンディションと練習の成果で決めるべき。最近だと、マイヤーが(前節の)フライブルク戦でベンチに下げられたことが最大の謎…」

「誰か、ウッシーとファルファンがプレーしているDVDを用意して、ディ・マッテオに見せてあげてくれないか。どうやら、監督は自分のところの選手を分かってないもよう…」

「この数カ月、内田はプレーするために注射を打ってる。体が悲鳴をあげてて、彼には休みが必要ということが全く無視されている。なんという取材力」

 感情的な声、かなり強引な自論、モヤモヤな気分、具体的な提案、ディープなファンと思わしき意見。色々あるが、共通するのは『元気なウッシーが見たい!』ということだろう。

 こうしたシャルカーが次に向かったのは、ディ・マッテオ下ろしだったが、思わぬ悲劇(?)が待ち受けていた。

 15日、ハンブルガーSVの新監督にブルーノ・ラッバディア氏の就任が発表され、そのわずか数時間後にドルトムントのユルゲン・クロップ監督の退任が明らかになった。この2つの大きなニュースは一見、シャルカーは無関係に思えるが、実はその陰で天国と地獄を味わっていたようだ。

「ニュース!!!(トーマス・)トゥヘルのハンブルガーSV行きはナシ!彼をシャルケに連れてくるチャンスが残った。これで全てが上手くいくはず。(サミ・)ケディラじゃなくって、トゥヘルと(ヨハネス・)ガイスを取ってちょうだい。トゥヘルは間違いなく救世主」

 説明するまでもなく、トゥヘルとは、元マインツ監督のトーマス・トゥヘル氏。ドイツで監督探しが始まると真っ先にその名前が浮上する、高い評価を得ている人物だ。

 だが、そんなワクワクした願いも、宿敵ドルトムントのクロップ監督が今季限りで退任というニュースとともに、一瞬にして吹っ飛ぶ結果に。

「新情報。クロップが辞めるらしい。恐らく彼ら(ドルトムント)がトゥヘルをかっさらって、シャルケは指をくわえて見るだけ…スーパー。チャンスを逃した。ますます落ち目。まさに目の前が真っ暗」

「スーパー」という自虐的な一言に、書き手の切なさが凝縮されている。

 そして、「この先、シャルケが関心を呼ぶのは、『なぜ、トゥヘルを取れるのに、寝ぼけていた?』と聞かれる時だけ。ほら見たことか。これ以上ない悲惨な結末が現実になっていく。トゥヘルこそがシャルケにはぴったりだったのに、シャルケは獲りに行かなかった。もう遅い」と続いていく。

 内田の処遇に端を発し、ディ・マッテオ批判へと発展すると、果ては、宿敵ドルトムントの新監督問題に揺れたシャルケファン。

 5試合ぶりの勝利を目指す19日のリーグ第29節、2位ヴォルフスブルク戦では、いつになくサポーターの厳しい目が光りそうだ。

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