ケルンに所属するFWウジャー [写真]=Bongarts/Getty Images
5日に、日本代表FW大迫勇也とMF長澤和輝の所属するケルンから、ナイジェリア代表FWアンソニー・ウジャーの獲得を発表したブレーメン。公式サイトでは、発表とともに本拠地であるヴェーザーシュタディオンをバックに、マネージャーのトーマス・アイヒン氏とSD(スポーツディレクター)のローベン・シュレーダー氏の間で笑顔でおさまるウジャーの写真を掲載した。さらに、クラブ公式インスタグラムでは、大きく「100% WERDER(ヴェルダー・ブーレメン)」と書かれたピッチへと続く通路を背景にポーズを取る同選手の写真をアップしている。
今回の移籍は、ウジャーがケルンと結んだ2017年までの契約に含まる解除条項によって可能となったもの。違約金は約480万ユーロ(約6億5000万円)と見られている。
リーグでは下から3番目という得点力の低いケルンにあって、チーム総得点の1/3にあたる10ゴールを挙げているストライカーの獲得は、ブレーメンにとってはいい買い物であり、喜ぶのも当然だろう。
ただ、そのタイミングが悪かった。まだシーズン中ということだけでなく、ケルンは残留が確定していない。ドイツ紙『ビルト』によると、3日にウジャーがブレーメンで最終メディカルチェックを受けた後に、ブレーメンからケルンのイェルク・シュマトケSDのもとに連絡が入り、ペーター・シュテーガー監督にいたっては、移籍が公になって初めてその事実を知ったという。
ブレーメンとウジャーの手際の良さはもとより、2枚の写真がケルン関係者の神経を逆なですることになった。シュマトケSDは『ビルト』紙に対し「最悪のやり方だ。そのことに異論はないだろう」と、不快感をあらわにした。
これを受けてブレーメンは7日、ハノーファーとのダービー(9日)に向けた会見の席上で、メディアディレクターが「あの喜び方は適切ではなかった。写真はもっと後になって出すつもりだった」と釈明。「アンソニーに対しても申し訳ない。ケルンの気分を害するつもりはなかった」と謝罪した。
ブレーメン側は火消しを図ったが、ケルンサイドがこれで一件落着となるかは全く別の問題。
ケルンでは高い人気のあるウジャー。自らのゴールを喜ぶあまり、クラブのアイドルことヘンネス8世(本物のヤギ)を乱暴に扱ったパフォーマンスなどでサポーターの心をつかみ、そうした行為はクラブへの愛着ととられていただけに、裏切られた彼らの心情は推し量るまでもない。
10日に行われるブンデスリーガ第32節は、日本代表DF内田篤人の所属するシャルケをホームに迎えての一戦。シュテーガー監督は、ウジャーの起用を迷っているとも伝えられている。残留に向け、ケルンに100パーセントの力を注ぐことが求められるエースは、サポーターの厳しい目にどう応えるのか、注目が集まりそうだ。