左からR・サンチェス、イブラヒモヴィッチ、D・コスタ、ディバラ、イヘアナチョ、ポグバ [写真]=Getty Images
8月4日(日本時間5日)に初戦が行われるリオデジャネイロ・オリンピックの男子サッカー競技。48年ぶりのメダル獲得を狙う五輪日本代表や、母国開催で悲願の金メダルを目指すブラジル代表などに注目が集まる。一方で今大会は、ユーロ2016とコパ・アメリカ センテナリオ USA 2016の開催時期が近かったことや、欧州リーグ戦の開幕が迫っていることもあり、多くの有力選手が欠場を余儀なくされた。
今回はリオ五輪に出場する各国の中から、惜しくも出場が叶わなかった選手たちを紹介する。
■ケガによる出場辞退
まずは負傷により欠場を余儀なくされた選手たち。ブラジルはオーバーエイジ(OA)枠でFWネイマール(バルセロナ)、MFドゥグラス・コスタ(バイエルン)、38歳のGKフェルナンド・プラス(パルメイラス)を招集。“本気モード”で初の金メダルを狙っていたが、D・コスタとプラスはともに大会前に負傷で辞退し、戦力ダウンとなってしまった。
また、優勝候補の一角のドイツもDFアントニオ・リュディガー(ローマ)が右ひざ前十字じん帯断裂の大ケガに見舞われ、長期離脱を強いられた。もっとも、リュディガーは万全の状態であれば、メンバーに選出されていたユーロを優先していたはずで、五輪メンバーに入っていたかは定かではない。
■ユーロ2016、コパ・アメリカ出場
前述のとおり“オリンピック・イヤー”はユーロと重なるため、欧州各国の主力選手は軒並み欠場を強いられる。また、今年はコパ・アメリカの100周年記念大会であるコパ・アメリカ センテナリオ USA 2016が開催されるイレギュラーな年であったため、中南米の国々からも五輪不参加の選手が続出した。
ユーロ2016を制したポルトガル代表では、DFラファエル・ゲレイロ(ドルトムント)、MFレナト・サンチェス(バイエルン)、MFアンドレ・ゴメス(バルセロナ)、MFジョアン・マリオ(スポルティング)、MFラファ・シルヴァ(ブラガ)の5名に五輪出場資格があったが、いずれも出場を回避している。
同じくユーロを戦ったドイツ代表ではDFエムレ・ジャン(リヴァプール)、DFヨナタン・ター(レヴァークーゼン)、MFジョシュア・キミッヒ(バイエルン)、MFユリアン・ヴァイグル(ドルトムント)、MFユリアン・ドラクスラー(ヴォルフスブルク)、FWレロイ・ザネ(マンチェスター・C)の6名が23歳以下であるが、いずれも五輪メンバーには選ばれていない。
コパ・アメリカ組ではメキシコ代表のFWヘスス・コロナ(ポルト)、コロンビア代表のMFマルロス・モレノ(アトレティコ・ナシオナル)、FWロヘル・マルティネス(江蘇蘇寧)らが五輪を欠場する。もっとも、ブラジルのMFレナト・アウグスト(北京国安)やメキシコのFWオリベ・ペラルタ(クラブ・アメリカ)などコパ・アメリカと五輪に連続で参加する強者も存在する。
■出場辞退
招集を示唆されたり、候補メンバーに入りながら、公式に五輪出場を辞退した選手もいる。スウェーデンのFWズラタン・イブラヒモヴィッチ(マンチェスター・U)は、一部メディアに五輪出場への意欲を語ったものの、ユーロのベルギー戦を前に代表引退を宣言。その場で五輪の招集を辞退した。同じくスウェーデンのFWヨルダン・ラーション(ヘルシンボリ)は、最終メンバーの18名に選ばれたが、父でありクラブの指揮官でもあるヘンリク・ラーション氏が招集を拒否。土壇場でブラジル行きを逃した。
その他、ブラジルのMFフレッジ(シャフタール)も所属クラブから出場許可が下りずに招集を辞退することとなった。
■所属クラブ優先
日本が海外組の招集に苦戦したとおり、リオ五輪のサッカー競技は国際Aマッチのように選手の派遣義務がないため、クラブの意向により招集を拒否することができる。公式な発表はなされていないものの、所属クラブが出場を許可しなかったとみられる選手たちは多く存在する。
候補メンバー35名が発表された時点では、豊富なタレントを擁して優勝候補筆頭と目されていたアルゼンチン。しかし、蓋を開けてみれば欧州クラブが軒並み招集に難色を示し、OA枠のDFマテオ・ムサッキオ(ビジャレアル)とDFラミロ・フネス・モリ(エヴァートン)や、五輪世代のMFマティアス・クラネビッテル(アトレティコ・マドリード)、FWパウロ・ディバラ(ユヴェントス)、FWマウロ・イカルディ(インテル)、FWルシアーノ・ビエット(セビージャ)、FWホアキン・コレア(セビージャ)ら実力者が本大会メンバーから外れた。
また、初戦で日本と対戦するナイジェリアも苦しいメンバー選考を強いられた。プレミアリーグで活躍するFWケレチ・イヘアナチョ(マンチェスター・C)やFWアレックス・イウォビ(アーセナル)、リーガ・エスパニョーラでプレーするFWサクセス(グラナダ)らがブラジル行きを断念した模様。他にも、ドイツのMFヨハネス・ガイス(シャルケ)、ポルトガルのMFベルナルド・シルヴァ(モナコ)もリオ五輪では見ることができない。
■出場国以外のリオ五輪世代(番外編)
23歳以下でも五輪世代の代表を飛び越え、フル代表で活躍する選手が多い国は、強豪国でも予選敗退に終わっている。番外編にはなるが、チームがスター選手を抱え過ぎているが故に五輪出場を逃した主な選手たちを紹介する。
もしかしたら、この世代で“最強の選手たち”を揃えているのはフランスかもしれない。今夏に移籍金の史上最高額を更新すると報じられるMFポール・ポグバ(ユヴェントス)を筆頭に、DFラファエル・ヴァラン(レアル・マドリード)、DFクルト・ズマ(チェルシー)、DFサミュエル・ウムティティ(バルセロナ)、DFリュカ・ディニュ(バルセロナ)、MFジョフレイ・コンドグビア(インテル)、MFアドリアン・ラビオ(パリ・サンジェルマン)、MFキングスレイ・コマン(バイエルン)、FWアントニー・マルシャル(マンチェスター・U)と、守備陣から前線までビッグクラブの主力選手をズラリと揃えている。
ロンドン大会はイギリス代表として、英4協会合同(実質イングランドとウェールズ)で出場したイングランドも豪華なメンバーを擁する。DFジョン・ストーンズ(エヴァートン)、DFルーク・ショー(マンチェスター・U)、MFデレ・アリ(トッテナム)、MFロス・バークリー(エヴァートン)、MFラヒーム・スターリング(マンチェスター・C)、MFアレックス・オックスレイド・チェンバレン(アーセナル)、FWマーカス・ラッシュフォード(マンチェスター・U)、FWハリー・ケイン(トッテナム)とそうそうたるメンバーだ。
その他、リオ五輪出場国以外の主な23歳以下の選手は以下のとおり。
◆スペイン
DFエクトル・ベジェリン(アーセナル)
DFフアン・ベルナト(バイエルン)
MFサウール・ニゲス(アトレティコ・マドリード)
FWヘセ・ロドリゲス(レアル・マドリード)
FWパコ・アルカセル(バレンシア)
◆ベルギー
MFヤニック・フェレイラ・カラスコ(アトレティコ・マドリード)
FWロメル・ルカク(エヴァートン)
◆イタリア
DFダニエレ・ルガーニ(ユヴェントス)
DFアレッシオ・ロマニョーリ(ミラン)
MFステファノ・ストゥラーロ(ユヴェントス)
FWドメニコ・ベラルディ(サッスオーロ)
◆その他(国籍/所属クラブ)
FWメンフィス・デパイ(オランダ/マンチェスター・U)、FWブリール・エンボロ(スイス/シャルケ)、DFホセ・ヒメネス(ウルグアイ/アトレティコ・マドリード)、MFマテオ・コヴァチッチ(クロアチア/レアル・マドリード)、FWマルコ・ピアツァ(クロアチア/ユヴェントス)、MFハカン・チャルハノール(トルコ/レヴァークーゼン)など
残念ながらこれまで紹介してきた選手はブラジルで見ることができない。しかし、五輪といえばこれまでも無名の若手選手がトッププレーヤーへと駆け上がる登竜門になってきた。今大会も終了後には移籍市場で注目を浴びる“新たなスター”が誕生しているかもしれない。サッカー好きなら目を離すことができない大会になることだろう。
By サッカーキング編集部
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