ポケモンのピカチュウ(左)とサッカー選手のピカチュウ(右)[写真]=Getty Images, LatinContent/Getty Images
これまで数々の有名選手を輩出してきたサッカー王国ブラジル。ロナウド、ロナウジーニョ、カカなど多くのブラジル人選手がヨーロッパでも活躍してきたが、成功を収めることができるのは一握りに過ぎず、ブラジル国内ですら名を上げるのは難しい。そこで、選手たちは、有名になるために変わった方法を取っているようだ。イギリス紙『テレグラフ』が30日に伝えている。
選手として名を上げるには、様々な要素がある。才能や日々の鍛錬、勤勉さやリーダーシップなど。だが、ブラジル人選手にとって欠かせないのは“名前”だ。
ブラジル人の本名は長いため、任意の名前を自由に登録することができる。そのため、選手たちは好きなニックネームを選んでチームに登録することが一般的。そして、サポーターやチームメイトにも本名よりニックネームで親しまれていることが多い。
例えば、サッカーの王様・ペレ氏の本名はエドソン・アランチス・ドゥ・ナシメントであり、ミランやレアル・マドリードで活躍したMFカカの本名はリカルド・イゼクソン・ドス・サントス・レイチである。
変わった名前と言えば、川崎フロンターレなどJリーグでプレーしていたことのあるFWフッキ。本名はジヴァニウド・ヴィエイラ・ジ・ソウザだが、選手名は少年時代に同選手が愛読していたアメリカンコミックの主人公『超人ハルク』から来ているという。
しかし、このフッキにも劣らぬブラジル人の面白選手名があったので紹介しよう。
“マルコス・バンバン”(GK)
アメリカのテレビアニメ「原始家族フリントストーン」の、棍棒で床や机をバンバン叩く怪力の赤ちゃんの名前が由来。現在24歳の同選手はギリシャでプレーしている。
“ヤーゴ・ピカチュウ”(右SB)
ご存知、『ポケットモンスター』のピカチュウ。 自身の好きなキャラクターを名前につけた同選手は、22歳でブラジルのパイサンドゥSCに所属しており、ディフェンスながら、ここ3シーズンで40ゴールを記録。子供のサポーターたちに人気を博しているという。
“ジョン・レノン”(左SB)
ジョン・レノン・シウヴァ・サントスは、元ビートルズのジョン・レノンの名前を持つ。23歳の同選手はブラジルのアトレチコ・ゴイアニエンセでプレーしている。
“マハトマ・ガンディー”(MF)
「非暴力、不服従」を提唱したインド独立の父が由来。23歳でアトレチコ・ゴイアニエンセに所属しており、ジョン・レノンとの共演も。さらに同クラブには“マイケル・ジャクソン”で登録している選手もいるという。
“ベン・ハー”(MF)
同選手の名前の由来は、アメリカ人ルー・ウォーレスが1880年に発表し、映画化もされている歴史小説『ベン・ハー』。ベン・ハー・モレイラ・ペレスは、現在37歳で12クラブも渡り歩いている。
“クリーデンス・クリアウォーター・コウト”(FW)
1970年頃に有名となったアメリカのバンド『クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル』から来ている。36歳の同選手は名前について「よくニックネームと思われるが、これは本名だ。出生証明書に載っている。書くのが難しくて、ブラジル人には発音しづらい。だからよく“パウリスタ”と呼ばれているよ」とコメント。ニックネームより本名が変わっているという、今までの選手とは逆を行く珍しい選手だ。
“クラウディオ・ピットブル”(FW)
闘犬のアメリカン・ピット・ブル・テリア、通称「ピットブル」から名前が来ている同選手は、その名の通り、攻撃的なストライカー。2005年にポルトガルのポルトへ移籍を果たしたが、サウジアラビアや母国ブラジルへレンタルに出され欧州では花が咲かなかった。現在は33歳で無所属。
“モスキート”(FW)
日本語で「蚊」を意味する名前で登録した19歳のチアゴ・ロドリゲス・ダ・シウヴァは、ブラジルのヴァスコ・ダ・ガマでプレーしている。ブラジル代表の各世代別でもプレーしており、将来有望な選手で、マンチェスター・Uやユヴェントスなどが興味を示していたとも。
このように面白選手名の多いブラジル。「ピカチュウ!」、「ジョン・レノン!」、「ガンディー!」と面白選手名が飛び交っているのかもしれない。