日ノ本、控え部員含めた全員集合で優勝記念写真
取材・文=江橋よしのり
第22回全日本高校女子サッカー選手権大会は2014年1月16日、日ノ本学園(兵庫)の優勝で幕を閉じた。
FIFAが女子ワールドカップ(当時の名称は女子世界選手権)を新設した1年後にあたる1992年から毎年、高校女子選手権は真夏に行われていたが、2012年度に冬へと開催時期を移した。女子サッカーがインターハイの正式種目入りしたことに伴った変更だ。選手権は夏から冬開催となったことにより、各校とも技術、戦術、組織力など、サッカーの完成度を高める時間を多く得た。今大会、特に上位勢同士の対戦において、両チームが持てる力を出し合って勝負する好ゲームをたくさん見られた背景には、冬開催のもたらした恩恵を感じる。
日ノ本学園が藤枝順心(静岡)を破って優勝を決めた16日の決勝戦も、最終スコアこそ4-1と差がついたものの、互いの持ち味を発揮した見応えある90分間になった。全国361校の頂点に立った日ノ本学園の田邊友恵監督は「(各チームが成熟する)冬のタイトルを取ってこそ、真の日本一」と考え、そのタイトルを取れたことに充実した表情を浮かべた。
日ノ本学園のエース入江未希は、5戦連発で計8得点を挙げ、得点王に輝いた。得点ランク2位(7得点)の池尻茉由(いけじり・まゆ)、3位(6得点)の小島和希子(こじま・わきこ)とともに、チームメイト同士「3人で得点王争いをしよう」と大会前に話していたというが、そのとおりの展開になった。入江は卒業後、ベガルタ仙台レディースに加入することが決まっており、「打倒INACを目指してチームに貢献したい、なでしこジャパン入りに向けて個人を磨きたい」との誓いを立てた。
準優勝の藤枝順心は、夏のインターハイ準決勝で日ノ本学園に0-3で敗れていた。選手権決勝の舞台でその雪辱を果たすことはできなかったものの、日ノ本学園に対し、インターハイと選手権の計8試合を通じて唯一ゴールをこじ開けたチームとなった。力強いシュートでスコアを記録した10番の杉田妃和(すぎた・ひな)をはじめ、FWの山下史華、島村友妃子(しまむら・ゆきこ)、MF河野朱里の(かわの・じゅり)と大久保舞は2年生で、センターフォワードの児野楓香(この・ふうか)、スーパーサブ的な活躍を見せた黒崎優香はまだ1年生だ。彼女たちが来年もチームに残ることを考えれば、早くも1年後の大会が楽しみだ。
なお1年生と、早生まれの2年生には、2か月後にコスタリカで行われるU-17女子ワールドカップに出場するチャンスがある。それに先がけて、2月2日からU-17女子代表「リトルなでしこ」はアメリカ・ロサンゼルスに遠征することが決まっている。遠征メンバーは近日中に発表される見通しだ。
取材・文=江橋よしのり