北川航也(清水エスパルスユース)[写真]=川端暁彦
新シーズンに向けて期待の高校生プレーヤーを取り上げていく企画の第2弾は、サッカー王国で目覚めつつある点取り屋、北川航也(清水エスパルスユース)にフォーカスした。
「点を取ることに関して、教えられない“モノ”を持っている」
清水ユースを率いる大榎克己監督は、昨夏の日本クラブユース選手権で得点王に輝いた北川についてそんな評価を持っている。かつて日本代表の一員として国際舞台で戦った同監督が常に痛感してきた“ストライカー”が持つ重み。1本のシュートが決まるか決まらないかで運命が分かれるサッカーの非情さは極言すれば「ストライカー次第」ということでもある。
そんなストライカーは今年早々、ロシアで行われたバレンティン・グラナトキン国際フットボールトーナメントにU-18日本代表のFWとして参戦。準決勝のトルコ戦でゴールを奪うと、決勝の地元・ロシアを向こうに回した試合で2得点を奪い、優勝に貢献してみせた。特に決勝では得意のドリブルで敵陣を切り裂いての折り返しからアシストを記録したかと思えば、クロスボールにボレーで合わせて2点目を獲得。最後はカウンターからの縦1本のロングパスに抜け出し、GKとの1対1を冷静に決める“らしさ”を見せている。
昨年のU-17ワールドカップではアジア予選こそ参加したものの、「ストライカーを置かないシステム」の中で個性を出し切れず。主にDFでテストされた末に、本大会は落選の憂き目を見た。内心思うところはあったはずで、「ストライカーとしてやれる」ことを示した今大会は大きな自信になったはず。指導者やチームが違えば、評価も変わるのはサッカーの常。未完の点取り屋の新シーズンでの大ブレイクに期待したい。