文=安藤隆人
この間とある取材で名古屋に行ってきた。会ってきたのは高田哲也監督。名古屋グランパスU-18の指揮を執る人物だ。
「技術は本当に高い選手。まだ成長期でフィジカルが追いついていないけど、才能は凄いものがある」
高田監督がこう語るのは、現在高校1年生にしてトップ昇格が決まったFW杉森考起だ。
私は、杉森を中学時代から取材している。杉森は、一昨年に中学3年生にして、唯一U-16日本代表に選出されると、イランで開催されたAFC U-16選手権の準々決勝・シリア戦では、交代で投入された直後のファーストタッチで、先制点を挙げるなどの活躍を見せた。
昨年もU-17日本代表の一員として、UAEで開催されたU-17W杯に出場するなど、自分よりも上の世代で活躍してきた。
U-17W杯では、成長期特有の『成長痛』でひざを痛め、本調子ではなかったが、彼のファーストタッチのうまさは、チームでもナンバーワンであった。相手と味方の状況をよく見て、素早く動き出し、相手が取りづらく、かつ次のプレーにスムーズに移行できる場所に、正確にボールを置くことが出来る。そのプレーを見ていると、いつも「うまい!」と唸らせられる選手だ。
ただ、高田監督の言葉通り、まだフィジカルが追い付いていない。今は素晴らしいファーストタッチが出来ても、身体を当てられると潰されてしまう。だが、それは今後、解消できる課題。それ以上に、決して教えても身につくものではない才能がある。彼の身体が出来上がって、トップチームでどう磨かれるかが、楽しみで仕方がない。高田監督も同じ意見のようで、取材が終わった後も、2人で彼の将来について熱く語り合った。
光り輝けるポテンシャルを持ったダイヤの原石。さらに研磨されていく過程を、楽しみに杉森を取材していきたい。