2011.11.09

マイケル・キャリックが語る「一流アンカーの的確な状況判断」

[連載|ワールドサッカーキング 11.11.17(No.196) 掲載]

中盤の底で相手をブロックするポジション、すなわちアンカーには、優れた戦術理解と状況判断が求められる。マンチェスター・ユナイテッドで活躍するマイケル・キャリックが、テレビ画面では見られないアンカーの熟練されたプレーを説明してくれた。

カリック

インタビュー・文=ベン・ウェルチ 写真=フォトスポーツ
【連係】仲間の指示に従い、くさびのパスを防ぐ
プロテイン

アンカーは相手FWとMFの両方に気を配らなくてはいけない。自分と最終ラインの間で相手FWにゴールを向かれたら、守備側は完全に後手に回る。だから、相手FWが下がってくさびのボールを受けるのは絶対に阻止しないといけない。この時に必要になるのはセンターバックからの指示。味方からのコーチングに従って、相手FWへのパスコースを切るんだ。ただし、相手チームが中盤に人数を掛けている時に、自分の背後ばかり気にしていたら目の前の選手を見失ってしまう。まずは半身になることを心掛けるといい。そうすれば、相手FWに送られるくさびのパスに注意しつつ、ちゃんと正面の相手選手を見ることができるんだ。

【役割】ボールを失った時のリスクを意識する

カリック

アンカーとしてプレーする時に最も大事な役割は、センターバックの2人をケアしながら、相手のFWにボールが入るのを防ぐことだ。仮にめまぐるしい攻防になっても、その勢いに流されて動き回ってはいけない。常にセンターバックとの距離を保ちながらプレーすることが大切なんだ。何よりも意識しなくちゃいけないのはポジショニング。攻撃参加ができそうなら攻め上がってもいいけど、その際も常にボールを失った時のリスクは頭に入れておく必要がある。相手に素早いカウンターアタックを仕掛けられた時、すぐに対応できるポジションにいなければアンカーとしては失格だ。毎回全速力で自陣まで戻るのは体力的にも苦しいからね(笑)。

【選択】サイドに釣り出されるな

カリック

相手がサイドから攻撃を仕掛けてきても、むやみに中央にスペースを空けてはいけない。相手選手がそのスペースに走り込んで来れば、センターバックだけでは対処ができなくなってしまうからね。もちろん、誰かが中央のスペースをカバーしてくれているのならば、自分が出て行っても構わない。でも、例えばカウンター攻撃を受けていて、中央のMFが自分しかいない場合は絶対にサイドに釣り出されないようにすべきだ。まず、サイドの守備は諦めて、中央を固めることを考える。それから少しでも時間を稼いで、味方が戻るのを待つんだ。

<誌面に続く>

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