イングランドとドイツから、イタリアとスペインへ。この8月、サッカーの熱気は欧州各地へと広がっていく。サッカーファンが待ちに待った新シーズンの到来―。注目の4大リーグの戦いの火ぶたが間もなく切って落とされる。今回は4大リーグ全78クラブの新布陣と補強動向を完全掲載。開幕を目前に控えた各チームの陣容完成度を紹介する。夏の補強を経て生まれ変わった各チームの陣容をチェックしつつ、2012-13シーズンの開幕に備えてほしい。
リーグタイトル奪還へ向け攻撃陣をバージョンアップ
リーグタイトル奪還という至上命題を果たすため、名将ファーガソンは日本のエース香川に白羽の矢を立てた。昨シーズンは世代交代を進める中でチーム全体のプレースピードが増し、ショートカウンターの威力が倍増。指揮官はプラスアルファとしてアタッキングサードでのアイデアや中盤の得点力向上を求めている。香川はその切り札であり、活躍次第でチームの攻撃の幅は大きく広がる。ルーニーとウェルベックを2トップに置く昨シーズンまでの4-4-2に加え、今シーズンは香川をトップ下に置くシステムも併用されるはずだ。エヴァンスやジョーンズが順調に成長し、主将ヴィディッチが復活した守備陣は安定感抜群。攻撃陣が新しい顔を見せられれば、チームはもうひとつ上のステージへ進むはずだ。
3冠達成を実現すべくチームの完成度を高める
例年なら大型補強を実施するところだが、昨シーズンのリーガを制したチームが基盤となるため、現状では下部組織からモラタが正式昇格したのみ。獲得がうわさされるモドリッチが加われば、新シーズンを戦う陣容は盤石となる。余剰戦力については既にアルティントップは放出されたが、退団濃厚と言われるカカー、シャヒンについてモウリーニョ監督は「本人の意思を尊重する。残れば選択肢が増えるまでだ」と語っており、一転して残留の可能性が出てきた。プレシーズンマッチではベンフィカ3冠達成を実現すべくチームの完成度を高めるに2-5と思わぬ大敗を喫したが、アメリカツアーの初戦はLAギャラクシーに5-1と大勝するなど調子は上向きつつある。目指すべき目標はリーガ連覇に加え、史上10度目の欧州制覇、そしてコパ・デル・レイも合わせた3冠達成だ。
八百長騒動に巻き込まれ大型補強は一時ストップ
スクデット奪還を果たしたことで焦りが消え、クラブの伝統的な補強方針である「着実な強化」を取り戻した。運動量で両サイドを制し、司令塔ピルロがゲームをコントロールするポゼッションスタイルを維持しつつ、選手層を強化。ルシオ、イスラ、アサモアはセリエAでの実績が豊富で、即戦力としての計算が立つ。問題は前線。パルマで得点力を開花させ復帰したジョヴィンコには相応の期待が掛かるが、チャンピオンズリーグも含めて好成績を残すには、シーズン20得点を狙えるストライカー八百長騒動に巻き込まれ大型補強は一時ストップが必要だろう。ここまでは“節約”に成功しており、ファン・ペルシーの獲得も決して不可能ではないが、コンテ監督と選手数人が八百長疑惑に巻き込まれており、先行きが不透明なことが大型補強の成立を妨げているようだ。
なりふり構わぬ補強でドイツの盟主の座を守る
2シーズン連続でドルトムントの後塵を拝し、これ以上の失態は許されないクラブは、リーグ総得点でドルトムントを下回った攻撃陣にピサーロとマンジュキッチを獲得。中盤にはシャキリを加えて、レギュラー組の危機感をあおっている。ディフェンスラインの補強には決定打と呼べるものがないが、失点はリーグ最少だっただけに大きな問題はないだろう。新戦力はプレシーズンマッチから好調ぶりをアピールするなどチーム力は確実にアップ。もくろみ通りに得点力が上積みされれば、ドルトムントとの差はなくなる計算だ。新SDとなったザマーは補強を主導するだけでなく、日々のトレーニングにも目を光らせている。“ドイツの盟主”の地位を脅かされたバイエルンは、なりふり構わずタイトルを奪い返しに来ている。
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