12月11日、『T-day』と名付けられたミランと東洋ゴム工業の主催によるカクテルパーティーが行われた。会場はミラノの中心部、ブレラ地区にある和食レストラン『SUSHI B』。
日本企業のスポンサーイベントではあるが、地元メディアも数多く集まった。ロッソネーロのレジェンドであるフランコ・バレージと、かつての点取り屋であり、現在はトップチームを率いるフィリッポ・インザーギが来訪したこと、本田圭佑の加入以降、ミランのマーケティング部門における「日本の存在感」が強まっていることがその理由だ。加えて、現在のイタリア、特に流行に敏感なミラノでは、空前の和食ブームが起きている。SUSHI B』の新森シェフが腕を振るったフュージョン系日本料理が目当ての報道陣も多かったのではないか。ちなみにミラン副会長を務めるバルバラ・ベルルスコーニもこの店に足繁く通っているそうだ。
まず登場したのはバレージ。ここイタリアでも大いに話題となっているミランの4選手(本田、リッカルド・モントリーヴォ、ジェレミー・メネズ、アディル・ラミ)とインザーギが出演するCMムービーの上映があった後、バレージが音頭を取る形で乾杯を行った。
バレージのスピーチこそしなかったが、レジェンドの来場に会場の雰囲気が変わっていく。『SUSHI B』の和食の人気は絶大。スタンダードな寿司はもちろん、タコとポテトの明太ソースあえ、キンピラごぼうの春巻き、スティック上の野菜天など、味と創造性を兼ね備えた料理に来訪者たちは驚きの声をあげていた。
料理の他にも参加者(特に男性陣)を楽しませていたのは、和服姿の3人のなでしこ。着物のデザインは、東洋ゴム工業のタイヤのパターンを模したものとのこと。日本のスポンサーらしい演出に、参加者は「こういうイベントなら1カ月に1度やって欲しいものだ」と頬を緩めていた。

パーティーが中盤に差し掛かった頃、インザーギ監督が到着。取り巻く報道陣をかきわけるように『SUSHI B』に入って来た。現役時代はファンに最も愛され、今は監督になったインザーギの登場に、ゲストは大いに盛り上がった。
メディア向けの囲み取材に応じたインザーギは次のように述べている。「こうしたスポンサーとの交流も監督の仕事だ。喜んで取り組ませてもらうよ。我々ミランは東洋ゴム工業のような評価の高いメーカーに支えられている。この場に来れたことをうれしく思う」
日本企業のスポンサーデーとあって、当然のように質問は本田へと及ぶ。「シーズン最初に6ゴールを挙げたことで、周囲も活躍して当たり前のような感じになってしまっている。ただ、たとえゴールが出なくとも、彼はチームにとって重要かつ有益な選手だ。試合中の適応力、練習中の態度を見てもらいたい」
イベントの最後、インザーギは「日曜のナポリ戦に期待してほしい」と言い残し、会場を後にした。『Lo Stile scene in campo』(スタイルがピッチに降り立つ)というスポンサーのコピーと同様、若き指揮官に率いられたミランは、彼らのスタイルを模索しながら戦い続ける。