5月4日(現地時間)、ナイキが手掛ける世界規模の若手発掘プロジェクト『Most Wanted』のグローバルファイナルが最終日を迎え、日本代表として参加した渡邊凌磨(早稲田大)が日本人選手として初めて合格。イングランド・ナショナル・フットボールセンターを拠点に活動する「ナイキアカデミー」への参加資格を獲得した(参加は7月頃を予定)。
前日、「今のままでは合格云々どころかスタッフの視野にも入っていない。もっとアピールして、自分を表現しないといけない」と自らのパフィーマンスに納得していない様子を見せた渡邊(凌)だったが、この日行われたナイキアカデミーとMost Wanted Bチームとのテストマッチでは本領を発揮。左サイドを中心に幅広く動き回って攻守を円滑に結びつける役割を果たしただけではなく、縦への鋭いドリブルやスルーパスで攻撃陣を牽引した。
初めのナイキアカデミー戦では「得点が一番のアピールになると思う」と話したゴールこそ奪えなかったものの、28分には初めてプレーするチームメイトとの連係から“唯一のゴール“をアシスト。ナイキアカデミースタッフへのアピールに成功した。最後のMost Wanted Bチーム戦では、時間の経過とともに次第にチームメイトの信頼を受けるようになった渡邊(凌)の下にボールが集まり始める。すると、技術レベルの高さをいかんなく発揮し、終始“チームの中心”として存在感を示すなど、自らのプレーで“合格通知”をたぐり寄せた。
一方の渡辺柊斗(東海学園大)は、最大の武器である切れ味鋭いドリブルで何度か果敢に攻撃を仕掛けるが、なかなか味方のパスを引き出すことができず苦戦した。Most Wanted Bチーム戦では、エリア内に持ち込んで右足を振り抜く場面を作ったが、相手GKに好セーブの前にノーゴール。試合後、「コミュニケーションが取れないと、これほどプレーしづらくなるものか。(それが分かって)とてもいい経験になった」と悔しさを滲ませた。すべてのセッション終了後にナイキアカデミーのジョン・グッドマン監督が「1日目と2日目は素晴らしいクオリティを示してくれた。それだけに実践で持ち味を発揮してほしかったが……」と話したとおり、その才能を認めていただけに、渡辺(柊)の落選は際どいものたっだようだ。
1日目2日目で存在感を示した渡辺(柊)と最終日に盛り返した渡邊(凌)。今回、彼らに下された“一つの結論”はくっきりと明暗を分けたが、彼らにとって“今”は「プロ選手として成功する」という大きな夢への通過点でしかない。「チャンスは開かれている。あとは君たちの努力次第だ!」。開会式で参加選手に投げ掛けられたこのメッセージを信じ、自らの可能性を信じて、努力を続ける。その先にある“彼らが望むもの“をつかみ取ることこそが2人が日本代表として『NIKE Most Wanted』に参加した意義となるはすだ。日本から遠く離れた異国の地では決して味わうことのない貴重な経験をした2人が世界を驚かせる存在になる日が、そう遠くない未来に訪れることを期待したい。