4月8日(月)、東京都内で清水商業サッカー部前監督・大瀧雅良氏とサッカージャーナリスト・元川悦子氏のトークセッション「『成長』のために僕たちは体罰をすべきか」が開催された。
大瀧氏は昨今話題の体罰問題について、自身も若かりし頃、同様の指導をしていたことを打ち明けた。「しかし体罰で選手が成長することは断じてなかった」という。
大瀧氏の指導方針に転機が訪れたのは、風間八宏(元清水商業サッカー部、現川崎フロンターレ監督)との出会いがきっかけだった。風間と出会い、それまでの“教師押し付け型”の指導は自身の指導力不足を棚上げしているだけであると感じ、生徒とともに学んでいこうと決意したという。
それ以降は生徒の成長を重視し、メンバーを選考する際も、うまい・下手という視点だけではなく、限界までやり切っているか否かという面もしっかり見て結論を下すようになったと明かした。
大瀧氏は最後に、「一回の人生。常に上を目指せ。横ばかり見て妥協する男より、一つのことを見て努力する男のほうが魅力的だ」と参加者にメッセージを送った。
イベントは『全国制覇12回より大切な清商サッカー部の教え』を出版した(株)ぱる出版の後援で行われ、大盛況のうちに終了した。
文=黒川広人(サッカージャーナリスト養成講座)
『全国制覇12回より大切な清商サッカー部の教え』
1. 内容
名波浩、川口能活、小野伸二、平野孝、江尻篤彦、藤田俊哉、安永聡太郎、平川忠亮、小林大悟、水野晃樹、風間宏希、風間八宏、大瀧雅良が語る、清商サッカー部の教えをまとめた一冊。
第1章 清商から世界の舞台へ 4人のワールドカップ戦士
第2章 さまざまな舞台で 活躍する3人の個性派
第3章 熱い思いを胸に走り続ける才能豊かな4人の現役選手
第4章 清水のサッカーをもう一度全国へ 2人の指導者の決意
2. 体裁
四・六判 256ページ 定価 1,575円 ISBN=9784827207729
3. 著者
元川悦子(モトカワエツコ)
1967年長野県生まれ。業界紙、夕刊紙記者を経て、1994年からフリーランスのサッカージャーナリストとして活躍する。現場での精緻な取材に定評があり、Jリーグから高校サッカー、ユース年代、日本代表、海外サッカーまで幅広く取材。世界を駆け回っている。著書に、『U-22』(小学館)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『いじらない育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(NHK出版)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』(カンゼン)、などがある。