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サポーターの力が群雄割拠のJリーグで差をつける

2013.04.12
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写真●足立雅史

 Jリーグには、世界に類を見ない特有のキャラクターがある。

 2007年に5度目のリーグ制覇を成し遂げ、Jリーグヤマザキナビスコカップ、天皇杯と併せて国内タイトル10冠を達成した鹿島アントラーズは、その後第2期となる黄金時代を迎え、2009年まで3年連続でJリーグを制覇。他の追随を許さない圧倒的な安定感で勝ち星を積み重ね、絶対王者としての揺ぎない地位を確立した。

 ところがその後、Jリーグは群雄割拠の時代に突入する。

 2010年にはドラガン・ストイコビッチ率いる名古屋グランパスが悲願のリーグ初制覇を成し遂げ、翌2011年には柏レイソルが“昇格1年目”にしてJ1王座にまで駆け上がった。さらに昨シーズンは、「無冠の強豪」と言われたサンフレッチェ広島が持ち前の攻撃力を誇示して頂点に君臨。リーグタイトルの栄冠は、3年連続で初めてそれを手にするクラブに渡ったのである。

 各クラブ間における実力の均衡化は、まだ幕を開けたばかりの今シーズンも続いている。

 第5節終了時点で消化された全45試合のうち、1点差で勝敗が決したゲームが19試合、引き分けは15試合に及び、合計して全体の75パーセントが“1点差以下”で決着しているのである。3連勝を飾ったのは開幕ダッシュに成功した横浜F・マリノスだけで、2連勝は浦和レッズ、大宮アルディージャ、FC東京、名古屋グランパス、C大阪の5チームのみ。そうしたデータからも、実力均衡の緊張感溢れるゲームが続いていることが分かる。

 では、実力伯仲の試合展開を左右する“決め手”は何か――。

 各監督の戦術や選手のコンディション、あるいは天候やピッチ状態なども勝敗を分ける決め手となる場合もあるだろう。また、選手たちに言葉を求めると、その答えは「サポーターの力」がわずかな差を埋める原動力になっていることに気づく。異口同音に聞こえてくるのは、例えばこんな言葉だ。

「試合終盤の苦しい時間帯、ゴール裏の声に助けられました」

「アウェーにもかかわらずたくさんのサポーターが応援に来てくれた。その想いに応えたかった」

「サポーターの皆さんと一緒に喜び合いたい」

 そうした声を耳にするたびに、ピッチ内で起きていることだけがサッカーではなく、取り巻くすべての人や声、それらすべてを含めての“チーム力”であることを痛感する。

 もちろん“サポート”の方法は、ゴール裏から声を張り上げることだけではない。例えばチームのオフィシャルグッズを購入することや、周囲の人にサッカーの魅力を語ることも、そのチームにとって強力な後押しとなるだろう。また、テレビの前で勝利を祈ることも大切なサポート手段の一つだ。選手たちにとってはスタジアムだけではなく、テレビの向こう側でもチームの勝利を信じて戦ってくれる“12人目のチームメイト”がいることは大きな力になるに違いない。大切なのは、チームに対する“強い想い”を、それぞれのスタイルで行動に移し、形にすることだと思う。

 今シーズンはまだ第1コーナーに差し掛かったばかり。幸先良く開幕ダッシュに成功したチーム、目標に向かって順調にスタートをきったチーム、まだ目指すサッカーを発揮できていないチーム。どのチームにもタイトル獲得の可能性は残されている。そして、シーズン終了時に栄光をつかむチームと惜しくも敗れ去るチームを分けるのは、“わずかな差”でしかない。その差を埋めるべく、これからもさまざまな形でチームをサポートしよう。それが愛するチームの栄光につながっていると信じて――。

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