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LCCで飛ぶアジアの戦い 最終回「だから日韓は面白い」

2013.04.18

文/竹田聡一郎

JリーグとKリーグはどっちが強いのだろうか? アジアチャンピオンズリーグ(以下ACL)を現地取材し、その優劣を肌身で感じようというコラムの、最終回。

4月11日、エピローグ

FCソウル-ベガルタ仙台、2-1
水原三星-柏レイソル、2-6
全北現代-浦和レッズ、2-2
浦項スティーラース-サンフレッチェ広島、1-1
1勝1敗2分け。得点11失点6。

 これが今季、ACL日本勢の韓国アウェイ成績だ。ちなみにホームは1勝2敗1分である。

 ほぼ、互角と言っていいだろう。少なくとも僕の目にはそう見えた。
 そして、これでいいのかな、という気がしないでもない。
「JとKどっちが強いのか」
 そんなことを自分で言い出しておいて開き直るわけじゃないけど、そんなの、「私と仕事」、「カレー味のなんかとなんか味のカレー」という類いの、たぶん愚問に近いのだ。

 ましてや今季のたった4試合、さらにはACLはじまって以来の累計60試合ぽっちじゃ、どっちが強いかなんてまだまだ分からないし、決まらないから面白い。代表戦しかり、ブラジルとアルゼンチン。レアルとバルサ。因縁やダービー同様の浮遊感を抱きながら、両国のこの戦いはもっともっともっと連綿と続いてゆく。

 伊坂幸太郎は「小説から隠せるとしたら音楽かな、と思って」と傑作『オーデュボンの祈り』を上梓したが、サッカーは、特に日韓のそれは何も隠せない。喜びも憎しみも、不安や嫉妬や快感や技術の差や闘争心、デリケートな負の歴史もすべてムキ出しで、だからこそこんなに揺さぶられるのだろうな。と思う。

 もちろん僕は日本人だから、レッズが負けると悔しいし、ベガルタがバカにされたら頭にくる。FCソウルのブブゼラは耳ざわりだし、水原のシュートが枠を逸れると「ヘタクソー」と野次る。

 そうやって、嫌いながら、時には憎しみながらすら、だからこそ勝利やゴールに乾き、喜びを思う存分に享受できるのではないかな、と振り返る。

 柏から来た学生が言う。ACLアウェー観戦は初めてだという。
「いやー、最高に気持ちいいっすね。浦和や鹿島に勝つのとはまた違った種類の気持ち良さですね。自分たちのチームがグイグイと世界に出ている感じがしていいっすね。最高!」
 と踊っていた。国内リーグでは体感できない高揚だという。

 暴力とかはいけないけど、ある意味では嫌っても憎んでもいいんじゃないか、と思う。うまくいえないけれど、その結果、倒すべき相手、意識する敵がいる状態はむしろ幸せなんじゃないかな、とも思う。

 とはいえ、尊重する部分、認めないといけない部分だってある。ブラジル人の使い方はKリーグのほうが圧倒的に長けているし、フィジカルコンタクト、カウンターの鋭さには今後もJチームは悩まされるだろう。

 今回巡ったスタジアムは全部、サッカー専用で特に浦項なんかはとても臨場感のある素晴らしい施設だった。また、小さな話だけど、スタンドで温かいカップラーメンにありつける(しかも1500Wと安い)のはありがたかったし、キンパ(海苔巻き)もうまい。

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 仲良くしようととかそういうことではないけど、ピッチ内外でいい部分はいい。悪い部分は悪いという分別を持って彼らに対していけば、もうちょっといろんなことが改善していくんじゃないかな、と僕は足りない頭で考えている。

 ということで来季も僕は極私設Jリーグ応援団として半島に挑む。自国のリーグを誇りつつ、時に彼らを罵りながら。エアアジア・ジャパンをはじめ、LCCは絶好調で飛んでます。

 早ければ5月にラウンド16があります。一緒に行きましょう。スタンドで声をかけてくれたら、干しダラかな? 網で焼くあれをオゴりますので、JとKどっちが強いのか、そんな円周率並みに続くであろう話題で盛り上がりながら、メクチュ飲みまくりましょう!

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●「JK戦争2013」バックナンバー
LCCで飛ぶアジアの戦い 第1回
LCCで飛ぶアジアの戦い 第2回
LCCで飛ぶアジアの戦い 第3回
LCCで飛ぶアジアの戦い 第4回
LCCで飛ぶアジアの戦い 第5回

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著者/竹田聡一郎(たけだ そういちろう)
1979年神奈川県生まれ。同い年の小野伸二にヒールで股抜きされたことを妙な自慢としながら、フリーランスのスポーツライターとして活動。戦術やシステムを度外視した「アンチフットボールジャーナリズム宣言」をして以来、執筆依頼が激減したのが近年の悩み。著書に蹴球麦酒偏愛清貧紀行『BBB』(ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅/講談社文庫)と、スルガ銀行のサッカーweb「I Dream」で連載中のコラムを書籍化した『日々是蹴球』(講談社)がある。
twitter:@takedasoichiro

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