ドイツでの1年目を振り返った清武
[ワールドサッカーキング0620号掲載]
「満足はしていない」。ブンデスリーガ挑戦1年目で、レギュラーとして活躍しても、そこは彼のゴールではない。世界と戦えるという確かな手応えを感じつつ、彼は一人のプレーヤーとして、日本代表の一員として、より高みを目指し、フルパワーで走り続ける。
インタビュー=坂本 聡 Interview by Satoshi SAKAMOTO
写真=武田俊吾 Photo by Shungo TAKEDA
プレーの内容には満足していない
――まず、ドイツでの1年目を振り返っていきます。ニュルンベルクではシーズン序盤からレギュラーポジションをつかみ、セットプレーのキッカーも任されました。
清武 シーズンを通して31試合、コンスタントに試合に出られたので、そこは良かったですね。キッカーを任せてもらったのもありがたかったです。
――4ゴール10アシストという数字についてはいかがでしょうか。10アシストはリーグ4位の好成績です。
清武 アシストは数字だけ見れば良いのかもしれないですが、ほとんどがセットプレーからのもので、流れの中からはあまりできなかった。自分の中では評価できないです。もっと流れからアシストしたかったし、ゴールももっと取りたかった。内容には満足していないですね。
――ただ、特に序盤戦のニュルンベルクは、ロングボールを多用するスタイルでしたよね。清武選手の持ち味であるプレー、周囲をうまく使いながら自分自身も前に出て行くような、そういうプレーが難しい部分もあったのでは?
清武 ただ、それをチームのせいにしても仕方ないですからね。与えられた環境の中で、どれだけ自分を表現できるか。その部分がこれからの、2年目の課題だと思っています。
――ピッチに立って、Jリーグとブンデスリーガの一番異なる部分というのは何でした?
清武 フィジカルですね、見た目どおり。全然違いますよ。ぶっとばされます(笑)。
――確かに、外から見ても中盤のプレッシャーは速いです。
清武 速いし、あまりスペースもないから、一瞬で判断しないとつぶされてしまいますからね。でも、シーズンを通してプレーしている間にだいぶ慣れました。プレッシャーのかわし方、当たり方をちょっと変えたり、少し動いたらフリーでもらえたり。そういう部分はかなりできるようになってきたと思います。
――個人的には、ドイツに行ってからキックの蹴り方が変わってきた印象があるんですが、気のせいでしょうか?
清武 本当ですか? どうですかね……よく分からないです(笑)。繊細な人だったら分かるんじゃないですかね。生粋のフリーキッカーとか、自分の蹴り方を持ってる人なら変化に気づくと思うんですけど、僕はまだ、いまだ自分の型が見いだせていないというか、決まっていないので。
――そうなんですか?
清武 僕はバラバラですよ、いつも。助走の歩数も決まってないし、その日の気分で変わるし。
――天才肌なんですね。
清武 全然違います(笑)。
――来シーズンの目標はどの辺に置いていますか?
清武 チームとしては今シーズンの順位(10位)より上に行くこと。個人としても、もっとゴールを増やして、10ゴール10アシストという目標は達成したいですね。
プレミアは行ってみたいリーグ
――今シーズンのチャンピオンズリーグ決勝はバイエルン対ドルトムント、ドイツ勢の対戦となりました。清武選手はどちらとも対戦していますが、どんな印象を持ちましたか。
清武 僕が対戦した中では、バイエルンとドルトムントは本当に別格で強かったですね。ヨーロッパの頂点を争うのにふさわしいクラブだと思いますし、それだけ今、ドイツのサッカーが強くなっている結果だと思います。
――ブンデスリーガには今、11人の日本人がプレーしていますが、これはドイツに日本人が合っている、通用するということだと思いますか?
清武 思います。ドイツの選手は大きいし強いですけど、その分アジリティーがなくて、横の動きに弱い選手が多いので、俊敏な、技術のある日本人選手は良さを生かせると思います。あとは、高原(直泰)さんや、イナ(稲本潤一)さんといった先輩方が歴史を作ってくれて、そこで(香川)真司君が大活躍したということも大きいと思いますね。
――現地では、ドルトムントで昨シーズンまでプレーしていた香川選手と比較して「第2の香川」という評価もありました。どう感じますか?
清武 「自分は自分」と思っているので、あまり気にしていないです。まあ、セレッソ大阪にいた頃からそう言われていたから、特に違和感もないですし。ただ、「マンチェスター・ユナイテッドの香川」と比較されること自体はとても光栄に思います。
――シーズン中、香川選手の試合はチェックしてました?
清武 見てましたよ。ドイツに行ってから、プレミアリーグの試合も結構見るようになりました。「今日、真司君出てるのかな」って。やっぱり気になります。
――プレミアリーグに興味がわいてきたのでは?
清武 そうですね。真司君と電話で話すと「プレミアはすごい」って言いますから。そういうのを聞くと意識するようになるし、行ってみたい国にはなりますよね。
日本代表としても活躍する清武が、コンフェデレーションズカップへの意気込みを語る。インタビューの続きは、ワールドサッカーキング0620号でチェック!