8月6日、EXILE CUP 2013中国大会が島根県浜田市で行われた。今回から四国ブロックが別開催となったため、鳥取、島根、岡山、広島、山口の5県から集まった48チームが、10月5日に横浜で行われる決勝大会を目指して熱戦を繰り広げた。会場には劇団EXILEから野替愁平と小野塚勇人が駆け付け、大会を盛り上げた。
戦いの舞台となったJFA浜田フットボールセンターは、昨年4月に全面人工芝に張り替えを行ったばかり。美しい緑が広がるピッチを見て少年時代にサッカーをしていたという小野塚は「自分がサッカーをやっていた時はこんな環境はなかったし、今の子どもたちがうらやましい」と子どもたちのプレーに熱い視線を送っていた。
厳しい戦いを勝ち抜いてベスト4に残ったのはゴシナーレ長久(島根県)、出雲南FC(島根県)、浦安FC(岡山県)、そしてベルセドールFC西大寺(岡山県)。その中から決勝に駒を進めたのは浦安FCとベルセドールFC西大寺だった。奇しくも昨年と同じく、“岡山勢”同士による対戦となった。
試合は序盤から浦安FCのペースで進む。開始わずか15秒でキャプテン高島慎平君(6年)がファーストシュートを放つと、その後もポストやクロスバーをたたくシュートが相次ぎベルセドールFC西大寺のゴールを脅かす。そして試合が動いたのは前半3分だった。右サイドからのクロスに高島君が合わせ浦安FCが先制した。一方、ベルセドールFC西大寺は、この失点を機に落ち着きを取り戻す。前半4分に試合を振り出しに戻すと、その2分後には右サイドからのロングシュートでネットを揺らし逆転に成功する。しかし前半終了間際、再び高島君が右サイドから豪快なシュートを逆サイドに突き刺し、同点で前半を終えた。
後半に入るとスコアはさらに動く。序盤に浦安FCが2点を挙げてリードを奪うと、ベルセドールFC西大寺も負けじと反撃。しかし終了間際に浦安FCが2点を加え、6-3で浦安FCに軍配が上がった。
浦安FCを率いる赤坂一也監督は「初めて出場した時は3位、昨年は2位、今年は絶対に優勝と思っていた」とコメント。今大会は特に、前回大会決勝で涙をのんだ先輩たちの思いを、現6年生が感じていたという。「昨年の6年生から話は聞いていたし、今年はどうしても優勝したかった。みんなが一丸となって戦えた結果だと思う」と高島君は胸を張った。
一方、敗れたベルセドールFC西大寺の青井景典監督は「勝負を分けたのはシュートの精度。相手のシュートは枠に飛んだけど、うちは枠にいかなかった。準優勝だったけど、子どもたちは試合を重ねるごとにたくましくなってくれたと思う。浦安は昨年決勝で負けている。うちにはまだ早かったということ」と悔しさをにじませながらも、選手たちの健闘に目を細めた。また、キャプテンの杉本馨君(6年)は「いつもは簡単に抜かれてしまうところでも、今日は粘り強く守ることができた」と手応えを語り「浦安FCには優勝を目指してがんばってほしい」とライバルにエールを送った。過去3大会では予選敗退に終わっていただけに、今大会のベルセドールFC西大寺の躍進に拍手を送りたい。
「たった一つの大会でも子どもたちは大きく変わる」と両監督は口をそろえる。「ここは夢を追う舞台だと思う。この舞台からプロが生まれて、世界で戦えるような選手が育ってほしい。実は昔、EXILE CUPに出場していたとなれば、こんなにうれしいことはない」。野替の言葉は、子どもたちのプレーを目にしたすべての人たちの思いだ。
文=入澤亮輔
写真=水岡隆志