ガーナFWのシュートが日本のゴール左隅に決まり、まさかの先制点を許してしまう。パブリックビューイングの会場は、しんと静まり返った。しかし、サポーターたちに悲壮感は見られない。きっと日本は逆転してくれる、誰もがそう信じて疑わなかった。
9月10日、キリンチャレンジカップ2013が横浜国際総合競技場で行われた。日本の相手は2010年ワールドカップ・ベスト8のガーナだ。4日前のグアテマラ戦でベンチスタートだった本田圭佑と柿谷曜一朗がスターティングメンバーに名を連ね、2列目の右サイドにはケガの岡崎慎司に代わり清武弘嗣が入った。
19時20分、キックオフのホイッスルが鳴り響く。その頃、渋谷でも日本代表サポーターが熱い視線を送っていた。キリン株式会社の主催でパブリックビューイングが行われ、会場となったJ-POP CAFEには、平日にもかかわらず総勢120人を超えるサポーターが集まったのだ。
待望の同点ゴールは50分に生まれた。香川真司が中央に切り込んでシュートを放って同点とし、反撃ののろしを上げる。パブリックビューイングの会場でMCを務めた井上マーさんの応援も次第に熱を帯びてくる。64分には遠藤保仁が本田とのワンツーから狙いすましてゴール右隅に決めて逆転に成功。72分には遠藤のFKから本田が頭で合わせて3点目を挙げると、会場の興奮は最高潮に達した。
結果は3−1で日本の勝利。最後は参加者全員で乾杯をして勝利の喜びをかみ締めた。仕事を終えて駆けつけたという、日本代表のユニフォームを着た女性の表情には笑みがこぼれていた。
「3点も見ることができてラッキーです! 特に香川選手のゴールは興奮しました。サッカーが好きな人たちとみんなで盛り上がれて楽しかったです」
仕事の後にパブリックビューイングへ。スタジアムに行けない人にとっては、いまやおなじみの観戦スタイルである。
ブラジルワールドカップまであと270日を切った。ファンの期待感は日を追うごとに高まっている。