[ワールドサッカーキング1017号掲載]
最も大切なのは「チームとしてまとまった中で生かすこと」。広島の10番を担う男は「個の力」をそう表現した。髙萩洋次郎が考える“個の力”に迫る。
インタビュー・文=浅野祐介
写真=秋田耕二
――王者として迎えた今シーズン、難しさはありましたか?
髙萩 形としては王者としてシーズンを戦うことになりましたが、僕らは常に勝ち続けていたチームではなく、常にチャレンジして上を目指してやってきて、やっと去年、手に届いた優勝でしたから、今シーズンも、また一からチャレンジしていこうという気持ちでしたし、そういう意味ではやりづらさはありません。ただ、優勝したことで研究され、相手も僕らの良さを消す戦い方をしてくるので、そういう意味では難しい部分も出てきているなと思います。
――森保一監督体制の2年目を迎えたことで、チームが理想とするサッカーについては昨シーズンよりも実践できていますか?
髙萩 今シーズンも「チャレンジ」を目指してやっている中で、理想のサッカーは常に求めてやっていかなくてはいけないと思います。もちろん、理想を追い求めた結果、勝てなかったり、うまくいかなかったりする試合も中にはあるので、理想と現実との間で難しい部分が出てくるところもありますが、チームとしてはチャレンジし続けることが目標。うまくいかない中でも、チャレンジすることは必要なことだと思っています。
――広島が理想とするサッカーを改めて言葉で表現していただけますか。
髙萩 見ている人が楽しくて、盛り上がって、一つひとつのプレーで感動とか喜びを共有できるサッカーが理想だと思います。具体的に言えば、GKからFWまで、全員がボールをつないで相手ゴールまで運んでいくというのが攻撃面では理想です。攻撃のポジションにいる選手だけじゃなく、ディフェンスの選手もしっかりゴールにつながるような関わりができる。それがサンフレッチェの良さでもあるし、理想のサッカーだと思います。
――今シーズンのご自身のプレーについては、どのように評価していますか?
髙萩 シーズン当初はケガで1カ月くらい試合から離れた時期があったので、そこは残念な部分の一つです。でも、復帰してからはACLもリーグ戦も(ヤマザキ)ナビスコカップも、すべて試合に出場して戦い抜けているので、このまま1年間通して試合に出続けて活躍したいなという気持ちがあります。それから、ゴールの数やアシストの数はまだまだ少ないと思っているので、これからもっと追い求めてやっていきたいと思っています。
――広島の理想とするサッカーの中で、ご自身の存在はどういう位置付けだと思いますか?
髙萩 チームの一人ひとりがパズルの一つのピースみたいにかみ合わないと、サンフレッチェのサッカーはできないと思っているので、そのチームの中の一つという形で、チームのためにどうやって戦うかが重要だと思います。その中で、やっぱり僕のポジションはゴールにつながるパスや自分でゴールを決めることが役割の大半を占めているので、そこは僕に求められている部分かなと思っています。
――終盤戦への意気込みはいかがですか?
髙萩 残りの試合数も少なくなってきて、優勝を狙える位置にいるので、今後は更にプレッシャーの掛かる試合が増えてくると思いますが、その中でも勝ち続けて、最後にはまた去年のようにみんなで喜んで笑って、いい結果をつかみ取って終わりたいなと思います。
――プレッシャーという話が出ましたが、髙萩選手には、いつも淡々と平常心でプレーしている印象があります。それは昔からですか?
髙萩 小さい頃の僕は“緊張しい”で、今でもそうですけど、とにかく人前に立つのが苦手でした。でも、サッカーになると自分の世界に入り込み、集中して周りが気にならなくなるので、サッカーに関してはそういうプレッシャーは感じないです。自分のプレーに自信を持ち、集中して入り込むことができているから、自分のペースでプレーできているんだと思います。
広島のキーマンとして活躍する髙萩が、日本代表への思いを語る。インタビューの続きは、ワールドサッカーキング1017号でチェック!