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[リーダー対談]長谷川健太(ガンバ大阪)×清宮克幸(ヤマハ発動機ジュビロ監督) 「ラグビーという競技は“心技体”と“知”が大切」

2013.10.11

写真=静岡朝日テレビ

 10月8日にガンバ大阪の監督、長谷川健太氏の著書『一流のリーダーたちから学ぶ勝利の哲学 今すぐ実践したい指導の流儀』が発売された。著者とスポーツ界&教育界の名将たち7名による対談集で、一流の指導論や組織論、マネジメント論を気楽に学ぶことができる内容となっている本書から、清宮克幸氏(ヤマハ発動機ジュビロ監督)との対談の一部を紹介する。

長谷川 ラグビーの監督はスタンドにいるじゃないですか。

清宮 そうですね。

長谷川 サッカーはピッチのすぐ横から指示を出しているんですけど、ラグビーの場合、指示はどうされてるんですか?

清宮 下にいるコーチとかと無線でやってます。

長谷川 そうなんですね。ラグビーは結構前から無線を使っているんですか?

清宮 えーとね、無線を使い出したのは最近ですね。それまでは、連絡を取ってはいけないというルールだったので。

長谷川 サッカーもずっとダメだったんですよ。それで3年くらい前から、やっと無線を使っているんです。まあ、Jリーグの場合は監督が上から見ちゃいけないというルールなんですけど。

清宮 ああ、そうなんですか。いろいろな情報が入るからですかね。

長谷川 どうですかね、イギリスなんかは監督が別に上から見てもいいんですよね。サッカーもラグビーもイギリスで生まれたスポーツですから……。

清宮 海外のラグビーなんかですと、いまは監督の横にスタッフが5人ぐらいいて、パソコンが4台くらい並べてある。モニターでリプレーしながら、いろいろやってますよ。

長谷川 ラグビーは、すごく難しいじゃないですか。攻守に分けながら、どんなところに一番気を使いながら見ているんですか?

清宮 これまでの試合と何が変わっているか、というところですよね、まずは大体、そのチームがやりたいこととか、やってきたことは流れとしてあるので、相手を予測して、準備してるんです。例えば、前半5分、10分経って何も変わっていない、いままでどおりだとか。あるいは相手が試合に向けてシステムを変えたりする場合もあるんですよね。

長谷川 ああ、やっぱり変えるんですか、15人を。

清宮 変えるところがあるんですよ。

長谷川 へえー。

清宮 そういうときには、変わっている部分を見て、それに対応する策を伝えたりだとか。

長谷川 インサイドに行け、とか。

清宮 そうですね、いままでの試合だと外側が空いていたのに、今日は外側から詰めてきてる、とかね。

長谷川 ラグビーは後ろにしかボールを投げられないじゃないですか。

清宮 はい。

長谷川 もどかしくなったりはしないんですか?

清宮 しないですね(笑)。

長谷川 前に投げてもいいだろうっていう……。

清宮 うーん、まあそれはね、もう最初からですからね。

長谷川 しょうがないですよね(笑)。

清宮 途中からそうなったんだったら大変ですけど(笑)。

長谷川 清宮さんの目指しているラグビーというのは、具体的にはどんなラグビーなんですか?

清宮 育った土壌が、そんなにサイズのあるチームじゃなかったので、小さい者がどう大きな者に勝つか、というところが最初ですね。

長谷川 じゃあ、どちらかというと、パスをパンパン回しながら。

清宮 はい。スピードとスペースを使って、どう相手を崩していくかというところを、ずっと考えてやってきました。原点はそこですかね。

長谷川 やっぱり、足の速いウイングとか、そのあたりがポイントになる。

清宮 そうですね。まあ適材適所ですけど。

長谷川 勝つためには何が必要だと思われます? 試合における、ご自身のラグビーのポイント。勝つためには、こういうことが必要じゃないかという部分は。

清宮 僕の知る限りですけど、ラグビーという競技は“心技体”と“知”が大切なスポーツで、戦略まで含めたバランスが最も平等なスポーツだと思うんですよね。特に心の部分、試合に臨むメンタリティというのがパフォーマンスにものすごく影響する競技だと思います。一番違うところと言えば、そういうところでしょうね。どんなスポーツもバランスが大事でしょうけど、ラグビーはとにかくバランスが命。チームの力と個人の力では、僕はフィフティフィフティだと思ってるんですよ。野球なんかだとね、個人の力が8割くらいあるじゃないですか。ラグビーはそうではなくてバランスが一番の魅力だから、指導者としても大切にしています。

長谷川 やっぱり怖いスポーツですよね。だから向かっていくというか、戦う気持ちがないとやっていけないわけで。

長谷川健太(はせがわ・けんた)
1965年、静岡県生まれ。ガンバ大阪監督。清水東高等学校、筑波大学、日産自動車でプレーし、Jリーグの創設に合わせて1991年に清水エスパルスに加入。決定力の高いFWとして1999年まで活躍した。J1通算207試合45得点、日本代表27試合4得点。現役引退後、浜松大学サッカー部(現・常葉大学浜松キャンパス)のサッカー部を指揮、2004年に日本サッカー協会S級指導者ライセンスを取得し、2005年から2010年まで清水の監督を務めた。サッカー解説者を経て、2013年にG大阪の監督として現場復帰を果たしている。
清宮克幸(きよみや・かつゆき)
1967年、大阪府生まれ。ジャパンラグビートップリーグ、ヤマハ発動機ジュビロ監督。高校からラグビーを始め、高校日本代表としても活躍。早稲田大学では1年からレギュラーを務め、日本選手権優勝、大学選手権優勝などを経験。卒業後はサントリーに入社し、社会人大会優勝を含め引退まで輝かしい戦績を残す。2001年、監督として母校の早大ラグビーに戻り、5年間で3度の大学日本一を達成。サントリーサンゴリアス監督を経て、2011年から現職。

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