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ワールドサッカーキング誌面連動企画『Hypernova』大迫勇也

2013.12.05

「点を取ること」。大迫勇也はゴールにこだわる。「個の力」を示し続けた結果、鹿島になくてはならない存在へと成長を遂げた。大迫のブレない「個の力」の真髄に迫る。

――リーグ戦も佳境ですが、率直に今シーズンを振り返ってみていかがでしょうか?
大迫 今シーズンは連敗がなかった。そういう意味では、ホームゲームでたくさん勝てたことが大きいのかなと思います。それに、ブレずに戦うことができていますし、やっぱり上の人の存在が大きいですね。例えば負けた試合の後などに、ここはこうしてほしい、ああしてほしいと伝えてくれて、チーム全体としてすぐに修正できているのが大きいと思います。

――大迫選手は、今シーズン指揮を執っているトニーニョ・セレーゾ監督から初めて指導を受けていますが、どういう監督なのでしょうか。
大迫 熱い監督ですね。とにかく点を取ってくれという役割を伝えられています。

――大迫選手の得点能力という持ち味を生かすために、ある程度は自由なプレーを許されているのでしょうか?
大迫 ゴールを奪うためにどう動いたほうがいいとか、センタリングに対してこうやって入ったほうがいいといった細かい指示は多いですね。ただ、攻撃は結構自由にやらせてもらっています。守備に関してはすごく規則がありますけど、攻撃のことはあまり言われないですね。

――今シーズンは得点も積み重ねていますし、個人として手応えを感じているのではないでしょうか?
大迫 チャンスはたくさんあったので、もっとゴール数を増やせているはずです。特にアウェーではチャンスで外して負けることが多かったので。そこで1試合でも多く、最低でも引き分けにしておけば、もっと上の順位にいたのかなと。そういう場面で決め切れていればもっと良かったんじゃないかなと思います。

――決定力をもっと追求していかなければいけないと。
大迫 そうですね。ただそれも大事ですが、決定機を多く作るっていうことも大事だと思います。チャンスを多く作ればそれを決める確率も上がるので、そこの部分も非常に意識していますね。

――まずまずの結果を残し、メンタル面でも充実しているのではないでしょうか?
大迫 90分出場して、その中で1点でも2点でも奪えればいいなって思いながらやっているので、前半の45分が終わってもまだ45分あるという感覚はあります。良い意味で余裕を持ってプレーできているのかもしれません。

――それはご自身の中で変わってきた部分なんでしょうか?
大迫 昨シーズンの後半戦ぐらいから1トップで出させてもらって、そこである程度の手応えをつかみ始めていました。どんな試合であっても90分の中で2、3回は決定的なチャンスがあるので、そこでどれだけ決められるかっていうことだと思いますね。

――コンディションが上がり結果を残せば余裕が出てくると思います。プレーにも良い影響、好循環が生まれているのではないでしょうか?
大迫 多少はあるかもしれません。慌ててシュートを打つなど、焦ることが一番良くないですから。余裕を持つことで最も良い判断をしようと常に心掛けています。

――ゴールを奪い続けるために、プレー面で何か変えたことはあるのでしょうか? 
大迫 やることは変わっていません。ただ、ゴール前に顔を出す回数が増えたかなとは思います。1トップで一番ゴールに近い場所にいるので、その分ゴール前に飛び込む回数が多くなりました。2トップだとどうしてもサイドに流れたりすることも必要なので、そういうプレーが増えるとゴール前に顔を出す回数が減ってしまうんです。なのでそこが点を奪えるかどうかの一番のポイントですね。

――ゴールにこだわる《ストライカー》として、自身の長所を伸ばすためにどんなことを意識してトレーニングされていますか?
大迫 ゴール前での動きはすごく意識していますね。ボールのもらい方やゴール前への入り方、シュートまで持っていく形とか、そこはどのプレーよりも集中してやっています。そこで一番大事なのは相手との駆け引きなんですが、ゴール前で相手の裏を取るのは楽しいですね。相手も一番集中している局面ですから、自分から誘い出すようなイメージで引き付けて、そこで裏を取るのが理想とするプレーです。それと、相手に読まれないためにも、自分の中でいろんなプレーの選択肢を持つように意識しています。

――例えば高校生年代の選手など、若い選手が大迫選手のようなプレーを目指す時に、どういうところを意識して取り組むといいでしょうか?
大迫 客観的に自分の何が良かったのかなと考えてみると、厳しい環境でやってきたことでしょうか。甘えたくても甘えられなかったですし、気が緩んでいたらそこで目を覚まさせてくれる先生がいましたからね。そういう中で、練習には割と真面目に取り組んでいました。とにかくみんなと一緒にサッカーをするのが楽しくて、その感覚を持てていたことが一番良かったのかなとは感じますね。

――プロ選手として活躍している今、特に心掛けていることはありますか? コンディションの維持や、試合に向けたメンタルコントロールなど、選手には大変で難しい作業が多いと思いますが。

大迫 実はそれほど意識していません。寮生活なので、食事は出してもらったものをしっかりとたくさん食べることと、それと十分な睡眠を取ること。これが一番です。よく音楽を聞いたりして試合に向けて気持ちを高める選手の話を聞きますが、僕は音楽もあまり聞かないですし、そういうことはしていません。

――何か特別なリラックス方法はあったりしますか?
大迫 それも特になくて、とにかく自然体でいるのが一番なんです。試合に向けてスイッチを入れるとか、試合を終えてオフに切り替えるとかもなくて、何て言うか「試合は試合だから」という感じです。当たり前のように試合の日が来て、当たり前のように試合をこなす。そういう自然体の生活を送っています。

――最後に日本代表についてのお話も聞かせてください。大迫選手は各年代ごとの代表を経験してきましたが、日本代表への思いは人一倍強いのではないでしょうか?
大迫 そうですね。その舞台への気持ちは強く持っていますし、そこでプレーするためには、何よりもしっかりと結果を出すことが大事だと思っています。まずはメンバーに選ばれないと結果を出すこともできませんが、その場所でプレーしたいという気持ちは常に持っています。

――今年は東アジアカップのメンバーに選ばれましたが、その舞台に立った時、どんな感覚だったのでしょうか?
大迫 結果を出さないとすぐに外されるなという危機感を持っていましたね。

――初ゴールを挙げて結果を出しましたし、手応えも感じていたのではないでしょうか?
大迫 手応えとかはまだまだこれからですね。チームには良い選手がたくさんいるので頑張らないといけないですし、代表のピッチに立ち続けるためには、まずはリーグ戦でアピールすることです。ゴールという結果を残せば自然と周囲も見てくれると思うし、それが何よりのアピールになると思います。

――得点以外、アシストやポストプレーなどの評価も高いですが、一番のこだわりはどこでしょうか?
大迫 自分の中では点を奪うことが一番です。もちろん、チームが勝つためにプレーしていますから、自分よりゴールを奪える確率が高い位置に選手がいればパスを出します。五分五分だったら自分で打つという感じです。自分自身、ゴールを陥れるということを昔から変わらずにやってきたので、代表に選ばれ続けるためにもそこはブレずにやっていこうと思います。

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