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「奈良劇場総支配人」奈良クラブ岡山一成のJリーグへの道:第七回

2014.01.08

「お前らみんなトップに上がるんか。すっごい人数やな」

 横浜マリノスと横浜フリューゲルスが合併した影響はここにも出たんやなと思った。ユースから7、8人昇格する。その当時のマリノスにしたら、信じられへん人数やった。二つのユースが合わさって、最強やったらしい。

「そない言うても高校生やし、大したことないやろ」

 そんな考えは一緒にプレーしてすぐに吹き飛んだ。高校選手権組の俺は、ユースに対して偏見を持っていた。うまいかもしれんけど、根性はないやろうなって。試合になると、先輩とか関係なしに指示を出し、俺も怒られたりした。ユースって上下関係があんまりないんやね、プロ向きやな。

 そん中の一人に田中隼磨がいた。イケメンやけど、どっか抜けていて、しっかりしているけど、少し天然なナイスガイ。

田中隼磨写真=松本山雅FC

                    
 隼磨ありがとう。ほんまにありがとう。

 背番号3を背負うにあたって、相当悩んだやろ。それでも、決意してくれてほんまに嬉しかった。いろいろ雑音が出てくるかもしれんけど、俺が言ったる。

 隼磨とは、去年の6月と11月に練習試合で会った。マツくんと関わりがあった人と会うと、いろんな話をして、最後に「マツ君の分まで思いっきり生きよう」。そう言って別れるんやけど、やっぱりみんなそれぞれの生活でいっぱいな部分がある。

「松田直樹魂を受け継いでいきましょう」

 あの時に言っていた想いは本物やったんやな。マツくんの魂を背負って生きていくんやな。

 名古屋グランパスを退団するにあたっていろんな想いがある中、純粋にサッカーと向き合って下した決断に心から感動しました。マツくんが夢みたJ1の舞台で、マリノスと対戦する物語を叶えてください。

 隼磨とマツ君に会いに、山雅のサポーターが集うアルウィンに行きたくなりました。

 松本山雅のJ1昇格を願っています。

岡山一成(おかやま・かずなり)
1978年4月24日生まれ。大阪府出身。
初芝橋本高卒業後、テスト生として横浜Mへ。打点の高いヘディングとガッツ溢れるプレーが評価されてプロ契約を勝ち取ると、デビュー戦から3試合連続ゴールを記録して一気に頭角を現した。大宮、横浜FM、C大阪、川崎F、福岡、柏、仙台と渡り歩く中、川崎F時代に始めた試合後の“岡山劇場”でサポーターの心をつかむ。柏時代には日立台のゴール裏でサポーターともに応援したこともある。09年に移籍した韓国・Kリーグの浦項ではACLを制し、FIFAクラブW杯で3位に入った。11年から昨シーズンまで札幌に在籍し、今夏からアマチュア選手として奈良クラブへ加入。J1通算64試合6得点、J2通算214試合20得点。

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