
メッシとロナウドから学ぶ才能の伸ばし方
著者:フアン・カルロ・クベイロ、レオノール・ガジャルド
訳者:池田敏明
出版社:朝日新聞出版
定価:本体1,500円+税
ブラジル・ワールドカップのグループリーグを2敗1分けで敗退した日本代表。ブラジルのメディアは「一対一のフィジカルコンタクトで負けることが多かった」と評し、イタリアのメディアは「日本は一対一で勝負しない。枠内にシュートしない」と、手厳しい指摘です。世界の強豪国と個の力の差を見せつけられた大会と言えるかもしれません。まさに世界を唸らせるトッププレーヤーが日本にも現れる日を祈るような気持ちで待つばかりです。
本書『メッシとロナウドから学ぶ才能の伸ばし方』は、そんな私たちにピッタリの一冊と言えます。なぜなら、トッププレーヤーがどうやって生まれ、成長したかを分析し、才能開花のための教訓を示した内容だからです。
アルゼンチン代表、リオネル・メッシ。ワールドカップ南アフリカ大会では、注目を集めながらもまさかの無得点に終わり、ファンを4年間も待たせたスーパーヒーローは今大会、そのうっ憤を晴らすかのようにゴールを量産しました。彼のスタートは13歳で父親とともにバルセロナに渡り、下部組織の責任者の目の前でテストをし、契約書にサインをしたところから始まりました。
ポルトガル代表、クリスチアーノ・ロナウド。ブラジル大会では残念ながら敗退しましたが、どんな試合でも決勝戦であるかのように全力を尽くして戦う、まさにアスリートの鑑です。
そしてファルカオ。母国コロンビアをワールドカップに送り込んだ立役者は、負傷のため大会には出場できませんでしたが、チームの中で魅せる決然としてプレー、チャレンジ精神は不変。彼のプレーで、チーム戦術は最高の状態にまで高められました。
彼らの成功は、決して偶然の産物ではありません。本書の著者、ファン・カルロスとレオノールが示しているように、この3人は自らの努力でその才能を伸ばしました。本の中で示されている10の教訓は、日本の子供たちの成長にもきっと役立つはずです。いつの日か、日本にもメッシやロナウドのようなサッカー選手が登場する。そんな夢さえ抱かせる一冊としてお薦めします。
株式会社啓文社 執行役員店売本部長兼商品部部長
広島県、岡山県を中心に展開する書店チェーン啓文社の本部で働いています。『尾道坂道書店事件簿』(本の雑誌社)というエッセーを出しています。サンフレッチェ広島が好きで、Eスタによく行きます。実は私も15年ほど前から車椅子で仕事をしているので、自称「書店業界の羽中田昌」。啓文社の詳細はこちら
