小学4年生から6年生を対象にしたフットサル大会「EXILE CUP 2014」の中国大会が8月19日、島根県浜田市のサン・ビレッジ浜田で開催された。48チーム436名が参加した今大会は、降ったり止んだりを繰り返す寒暖の差が激しい天候の中で行われたが、選手たちは環境に屈することなく白熱した試合を繰り広げた。
大会を特別協賛する株式会社LDHの野田泰嗣氏の「EXILEとサッカー選手には共通点があると思っています。EXILEは踊り、歌、演技を毎日、励んでいる。サッカー選手はドリブル、パス、シュートを毎日、練習している。今日は日頃の成果を示す場。思う存分に楽しんでください」という宣言で始まった開会式には、昨年1月にシングル「Dear Heaven」でメジャーデビューした歌手の塩ノ谷早耶香、岸洋佑、管野友里が参加。塩ノ谷が「今も私は素敵な歌を歌いたいという夢を追い掛けている途中。夢を目指してがんばっている皆さんの素敵な姿を見て、私も刺激をもらいたい」とエールを送ると、参加者全員で大会スペシャルサポーターであるEXILE USA考案の「EXダンス体操」で楽しく体を温めた。
4チームずつ12グループに分かれて総当たり戦でぶつかる予選リーグでは激しい打ち合いが多く見られ、得点力の高さとGKのパフォーマンスが明暗を分ける形となった。予選リーグで目をひいたのは山口県のGIANT KILLING。毎年、この大会に参加するため県内の仲が良い選手が集まるチームで、今回が出場3回目。今年は7月に結成し、練習は5、6回ほどしかできなかったものの普段のチームで磨いた高いテクニックとチームワークの良さを生かしたボール回しを披露。初戦を14-1という大差で勝利すると、引き分けを挟んだ最終戦は3-1で勝利した。メンバーは6人、本職のGKがいない状況で「この大会を楽しむというのが一番の目標。その後に結果も付いてくればというくらい」(田中拓也コーチ)と控えめに話していたが、グループリーグを首位で通過した。一方で前年度王者の浦安FC(岡山)は3連勝を達成し、「今年は気持ちの弱い子が多いので、決勝トーナメントに残るのが目標」(赤坂一也監督)をクリアした。
各グループの首位とグループ2位の成績上位4チームの計16チームが挑んだ決勝トーナメントではPK戦を含む僅差の試合が続出。浦安SCがPK戦の末、準々決勝で姿を消す中、FC斐川(島根)とAVANCAR FC D(岡山)、八雲SSS(島根)、フトゥール周南フットボールクラブ(山口)の4チームが準決勝に駒を進めた。
準決勝では八雲SSSとフトゥール周南フットボールクラブの一戦で、前半に奪った1点を守り切り、八雲SSSが勝利。もう一方のFC斐川対AVANCAR FC Dは前半に斐川が先制したものの、終了真際に追い付かれ、勝負の行方はPK戦に持ち越された。しかし、「ここまで来られるとは思っていなかった。ベスト16に続いてのPK勝利で、運もあるかもしれない」(大菅美行監督)とFC斐川が勝負強さを発揮。キッカーがしっかりと決めたFC斐川がPK戦をものにし、決勝に駒を進めた。
同じ島根県勢同士の対決となった決勝戦は、「昨年は島根県勢が一つも上に残れなかったと聞いていたので、準決勝の前に『一緒に決勝に行こう』という話をしていた」と八雲SSSの稲田慎平監督が明かしたように顔馴染みでもあるチーム同士の対戦となった。
8人制サッカーではこれまでも対戦し、特徴を良く知る選手がぶつかった一戦だったが、持ち味を消し合うことなく、互いの良さを序盤から発揮。まずは八雲SSSが開始1分に素早いボール回しから前線へ運び、外谷尚人君がゴールを狙ったが、惜しくも右ポストに直撃した。直後に斐川SSSも持田優輝君が強引にゴール前に抜け出しシュートしたが、GKのセーブに阻まれた。続く2分には八雲SSSがゴール前での一対一のチャンスを作ったが右隅を狙った一撃はGKに足でストップされた。
膠着状態が崩れたのは4分。安達玖穏君が左サイドから中に切り込んで狙ったシュートがGKの手を弾いてネットを揺らし、八雲SSSが先制。ところが、直後の6分に左サイドを崩され同点に追い付かれて前半を終えた。「一対一に追い付かれた時はダメかなと思ったけど、ここで負けると全国に行けないなと思った」(外谷君)という八雲SSSだったが、後半3分に外谷君が奪った勝ち越し点で流れを取り戻すと、試合終了真際には外谷君が右サイドのスルーパスにスライディングで反応。角度のない位置から放たれた一撃がGKの脇を抜けてゴールに決まり、3-1で八雲SSSが勝利した。
優勝した八雲SSSは9月28日に神奈川県横浜市のしんよこフットボールパークで開催される全国大会の出場権を獲得。他の大会含めて初めて全国大会に出場する権利をつかみ、チームの歴史を塗り替えた選手たちを、稲田監督は「フィールドに出ている選手だけでなく、ベンチ入りした選手や応援に来た選手を含めてチーム12人全員でつかんだ優勝。これまでの練習も含めてチームワークの良さが生きたと思う」と褒め称えた。