during the UEFA Champions League Group B match between Liverpool and Real Madrid CF on October 22, 2014 in Liverpool, United Kingdom.
15日にユーロ2016予選でベラルーシ代表、18日に親善試合でドイツ代表と対戦したスペイン代表。今回の代表活動で最も注目を集めたのは背番号22を着けたイスコだった。
レアル・マドリードの好調をそのまま代表チームに持ち込んだイスコは左サイドから中央のスペースで自由に動き、決定機を演出。フル代表で初めてのスタメン出場したベラルーシ戦では目の覚めるようなミドルシュートで先制点を決めた。このゴールは彼にとって代表で初めてのゴールだった。ビセンテ・デル・ボスケ監督はU-21代表と同じようにイスコに攻撃では自由を与え、22歳の若者はその期待に見事に応じた。ベラルーシ戦、そして8年ぶりにホームで敗れたドイツ戦(0-1)のスペイン代表のベストプレーヤーはイスコだった。
ギャレス・ベイルが欠場している間に高いパフォーマンスを示し、サンティアゴ・ベルナベウの信頼を勝ち取った。マドリディスタはベイルが復帰しても、先発にウェールズ人を起用するのではなく、マラガ出身の23番の配置を希望した。カルロ・アンチェロッティ監督も彼のパフォーマンスを高く評価しており、3カ月の戦線離脱となったルカ・モドリッチの代役に、ポジションが違うイスコの起用を示唆した。高いスキルを備えながらも、ディフェンスに走って戻り、プレー毎に全力でボールを自分のものにしようと相手と争う。献身的なプレーだ。今シーズンのイスコだったら、モドリッチの代役もこなせるとイタリア人指揮官は考えているようだ。
昨シーズンは所属クラブで自分のポジションをつかみ取ることができなかった。しかし、今シーズンはレアル・マドリードで定位置を奪う勢いだ。マドリディスタもそれを望んでいる。イスコの何が変わったのか。
17日深夜の人気ラジオ番組『エル・ラルゲーロ』のインタビューでイスコはこうコメントしている。
「試合への準備の仕方、フィジカルトレーニングも変えたけど、ピッチでの姿勢も変わった。プレーの質の高さだけでは、レアル・マドリードでは不動の存在にはなれない。またレアル・マドリードではそういうプレー(ディフェンスに走り、ボールを争う姿勢)も高く評価される。少し変わった」
またイスコは「スキルの高さだけでは十分ではないことを理解した」と話し、「レアル・マドリードが求めることに適応しなければいけない」と続けた。イスコはレアル・マドリード以外ならば、どこのチームでもエースとなれる実力を持った選手だ。その才能を攻撃だけに集中させるだけで、不動の選手となれる。ただクリスティアーノ・ロナウドを筆頭に世界最高のタレントを揃えるチームではそうはいかない。ハメス・ロドリゲス同様、このクラブでは世界最高の選手でなければ、ピッチでは王様然とした振る舞いは許されない。ディフェンスに戻り、ボールを争う。相手に身体をぶつけて戦う。白いユニフォームを芝と汗で汚す労働者にならなければならない。イスコはそのことを心から理解し、今ではレアル・マドリードとスペイン代表で不動のポジションをつかもうとしている。
今回の代表活動でスペイン最大の収穫はイスコだった。そのイスコが今回は負傷で欠場したアンドレス・イニエスタ、ダビド・シルバ、セスク・ファブレガスとどんな中盤を構成するのか。サポーターは次の代表活動の来年3月を楽しみにしている。イスコが起爆剤となりスペインは再びメジャータイトルを争う強豪国に変貌するかもしれない。そんな期待を抱かせるほどのパフォーマンスをイスコは示した。