スポーツナビさんとの練習試合において、球数で大差をつけられながらも、非紳士的なプレーを交えた末に大逆転勝利を収めたサッカーキング編集部(以下、SK編集部)。敗色濃厚ながら、辛くも日本ビリッカー協会チームへの挑戦権を手にした(前編はこちら)。
決勝戦(勝手に命名)までに与えられた時間はわずか30分。携帯ゲームをしてリラックスする者、気分転換にタバコを吹かす者、仕事をしているふりをする者……それぞれが運命の一戦を待ち望む。その時、見覚えのある人が会場にやってきた。球舞さんだ。
画面を通じてしか見たことのない球舞さんと対面し、SK編集部の気分も高揚。初戦の疲れなど、吹き飛んでしまった。どさくさに紛れて記念撮影をする編集部Tも、今は許そう。世界の球舞さんが見ているからには、相手が日本ビリッカー協会チームであろうと負けるわけにはいかない。強い想いを胸に秘め、SK編集部は決勝戦のピッチに向かった。
そこで待ち受けていたのは、爽やかで男気溢れるお兄さん、優しい笑顔が印象的なお兄さん、そして……初戦で審判を務めていたあのお兄さん(!)だ。
とりあえず強そう。整列前の短時間で見たボールさばきからも技術力の高さは明らかで、早くも負けた気分すら覚える。そして「強そう」という推測は、やがて確信に変わる。キックオフと同時に披露されるワールドクラスのテクニック。計算され尽くしたキックで、順調に的球を落としていく。圧巻だったのは、的球が3番となった時だ。手球と的球の間には多くのディフェンダーが立ちはだかっていた。「次のフリーキックで確実に3番を落とそう」とファウル前提で話すSK編集部を尻目に、日本ビリッカー協会チームは軽々とディフェンダーを飛び越え、的球に当ててみせた。惜しくもゴールとはならなかったが、SK編集部の戦意を削ぐには十分であった。その後も日本ビリッカー協会チームは、クッションを利用したゴールをはじめ、多彩な攻めでスコアを伸ばしていく。
迎えた終盤、当然のごとく大きなリードを手にしていたのは日本ビリッカー協会チームだ。となると、初戦同様にSK編集部が狙うのは9番のゴールのみ。8番を落とすまでは、いわば“流し”である。そして、ついにピッチ上の的球が一つになった。しかし、互いにゴールを狙うものの、“ラスト一球”というプレッシャーもあってか、なかなか9番を落とすことができない。
そんな中、ゴール近くに9番が転がった。次は日本ビリッカー協会チームの番だ。手球と的球が遠く、非常に難しい場面。ゴールは難しいにしろ、安定したパフォーマンスを見せる日本ビリッカー協会チームなだけに、確実に当ててくるはず……であったが、ここで痛恨のファウル。SK編集部に絶好のチャンスが訪れた。キッカーは“ブレない男”編集部T。不敵な笑みを浮かべて手球をセットする。そして――。
歓喜に湧くSK編集部とは対照的に、まさかの黒星に頭を抱える日本ビリッカー協会チーム。「あまり大きく取り上げないでくださいね……」とは、日本ビリッカー協会のプロデューサーであるY氏。もちろん、冗談混じりの一言ではあったが、その表情には悔しさが滲み出ていた。
こうしてSK編集部は、日本初開催の『ビリッカー』トーナメント(仮)を制し、初代チャンピオンに輝いた。それと同時に、編集部の誰もが新スポーツ『ビリッカー』に引き込まれたのも事実。勝ち負けだけでなく、日本ビリッカー協会チームが披露したパフォーマンス性の高いプレーも注目ポイントになりそうだ。また、酒を嗜みながらプレーできるなど、その手軽さも大きな魅力。SK編集部の一人からは「合コンでやったら盛り上がるかもね。的球に『気になる人の連絡先をゲットできる』とかいろいろ書いてさ」と、下心丸出しの発言も飛び出す。まあ、悪くはない。前出のY氏によると、今後は体験会の実施やイベントの開催、出張レンタルといった展開を視野に入れているそうだ。
サッカーの足技とビリヤードの頭脳が融合し、二つのスポーツを一度に楽しむことができる『ビリッカー』。老若男女を問わず誰もが楽しめるがゆえに、“フランス発の黒船”が日本で一大ムーブメントを巻き起こす日もそう遠くないのかもしれない。