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初ゴールという確かな一歩、宮市亮が「世界で通用するプレーヤー」になるための挑戦

2012.02.19

 “修行の地”オランダで刻んだプロ初ゴールから1年、宮市亮は新たな“武者修行の場”ボルトンで日本人最年少でのプレミアリーグデビューを果たした。そして迎えた2月18日、FAカップのミルウォール戦で初ゴールをマーク。

 アーセナルからボルトンへのローン移籍決定後に「ここで成長できると確信している」と語った宮市は、その言葉どおり、成長への確かな一歩を踏み出した。

「個の力を伸ばし、世界的に通用するプレーヤーになりたい」

 昨年12月、帰国中の宮市に話を聞いたときの言葉だ。新天地で挑戦を続ける宮市亮。成長への飽くなき思いが19歳の若者を突き動かす。


写真=越川麻希

■宮市亮の考える「個の力」、「個性」の生かし方

海外で経験を積むことでサッカーにおける個性の重要性をよりつかめたのではないかと思いますが、宮市選手が理想とする「個の力」とはどういうものですか?
宮市亮——僕が理想とする個の力というのは、やっぱり自分はスピードが持ち味なので、スピードに乗ったドリブルであったり、そういうところをどんどん伸ばしていきたいと思っています。

個の力ということでスピードの話が出ましたが、その「個の力」を伸ばすために日々どういう練習をしていますか?
宮市亮——ドリブルに関しては、海外に渡って改めて、ドリブルに入る前のファーストタッチが重要だと感じました。自分の得意なシーンに持っていくために何ができるかというところを今は頑張っています。

自分の武器であるスピードやドリブルの部分は、ヨーロッパに渡ってからの1年でどう変わったと思いますか?
宮市亮——海外でも自分のスピードが通用するということが、やっぱり自信になりました。

オランダでの経験も大きかったと?
宮市亮——初めてプロ生活を始めたのがオランダで、そこで自分のスピードが通用して、自分でもやれるんだということを再認識というか、確認できて、本当にそこは大きかったですね。

オランダでは『リオジーニョ』と呼ばれていましたね。
宮市亮——自分とロナウジーニョを比べたときに、実際は天と地ほどの差がありますけど(笑)、ただそう呼ばれるというか、愛称を頂いたことは本当にうれしいですし、いつかは彼を追い越せるように頑張りたいです。

日本でプレーしていたときと欧州に渡ってからでは、スピードの生かし方に違いはありますか?
宮市亮——オランダでプレーしていたときに感じたことですが、向こうの選手は体が強いけど、横の動きや機敏さの部分で勝機があると感じたので、日本で培ったものを生かすことができると感じました。

オランダを経てイギリスへ。英語のアクセントの違いやフットボールのスピードの違い、オランダとイギリスの違いに少し戸惑いも感じたと話していました。
宮市亮——まず英語の面ですと、イギリスのほうが話すスピードが速いですし、それから、発音、イントネーションの部分もかなり違いました。サッカーのスピードの面では、とにかくリスタートが速いです。プレミアリーグはロングボールの多いチームもあるので、イメージとして縦に速い印象があります。

実際に試合の場でプレーしていて、自分のプレーが最も生きる、スピードを最大限に発揮できるというシーンは?
宮市亮——一対一の場面、個と個のぶつかり合いというか、そういうところが自分の持ち味を出せるところだと思います。

海外でプレーする環境の中で、個の力の重要性はどういう点に感じますか?
宮市亮——やっぱり、個で何か抜きん出ていないと活躍はできないと思いますし、個の集まりがチームになると思っています。いかに自分の個がチームにとってプラスになるか、そういう特別な個、そういうものを持っていないと通用しないとも感じています。

オランダ、イギリス、それぞれの初ゴールの感想は?
宮市亮——初ゴールっていうのは思い出にも残りますし、特にプロになって初めてのゴールは気持ち良かったです。ただ、そこで満足はまったくしていないですし、もっともっとゴールを重ねて偉大な選手になれるように頑張っていきたいと思います。

宮市亮というフットボールプレーヤーにとって、個性とは何ですか?
宮市亮——自分を出せるというか、自分を出す術というか、僕にとって個性とはそういうものだと思います。

自分の個性、武器をいつ頃から意識し始めましたか?
宮市亮——高校時代に、道家(歩)監督に個というものを最大に引き出してもらったのかなっていうのが一番、最初ですね。

個の力を伸ばすことの重要性というのも当時から?
宮市亮——中学年代や高校年代、プロになる前は個を伸ばすことが特に大事だと思います。個で闘っていけることが世界でも通用することだと僕は考えているので。そういう意味でも、個の力は本当に大切だと思います。

■宮市亮のチャレンジ、思い描く未来

海外に渡って1年。この1年で成長した部分や、考え方や意識で変化したところはありますか?
宮市亮——プロとしての意識、在り方を学びました。オランダでのデビュー戦のときにベテランの選手に「お前は給料をもらってサッカーをしているんだから、精一杯のことをやらなければいけない」ということを言ってもらって、その言葉は今でも自分の中に残っています。職業としてサッカーをしているという自覚はありますし、自分はプロとして、見てくれている方のために精一杯やらなければいけないと感じています。

海外でプレーしてみて、トップレベルで活躍する身近な選手、あるいは相手チームの選手からどういうことを感じて、どういうことを学んでいますか?
宮市亮——プレミアリーグで活躍している選手、今一緒にやっている選手たちは、プロ意識が本当に高いです。練習にも早く来て、体のケアをしっかり行ってから練習に臨んで、練習後もしっかり体をケアをして帰るというサイクルができています。若手にとってお手本になることも多いですし、ピッチ外の部分でも見習っていかなければならないことがたくさんあります。そういう選手はすべてをサッカーのために捧げ、サッカーがライフスタイルの軸となり、それを基点に生活をしているので、そういうところがプロとして成功する条件だと思います。

今後、イングランドで自分を表現していく自信や手応えは?
宮市亮——手応えはありますし、やらなくてはならないと思います。スピード感の部分だったり、まだ自分が慣れていないなっていうのが実際に試合の中でも感じたので、もっともっと順応して、自分の良さを出せるようにしていきたいと思います。

高校から海外に渡り、海外でキャリアを積み重ねるというのは今まであまりなかったケースですが、後輩にあたる部活プレーヤーにアドバイスをお願いできますか。
宮市亮——僕の場合はサッカーを通して海外に行く機会があって、海外のプロの試合だったり練習だったりを見て、海外に行きたいという夢が大きくなりました。やっぱり、自分がどうなりたいかというビジョンをしっかり持って、どうすればそのビジョンに近づけるかを常に考えながらやっていくことが大事だと思います。

これまでのキャリアを振り返って、サッカー選手としてのキャリアをどういう風に感じていますか?
宮市亮——まだ本当に始まったばかりですし、これからだと考えています。本当にまだこれからですし、やっていかなければいけないことがたくさんあります。

高校生の頃は、どういうことを考えながらサッカーをしていましたか?
宮市亮——うまくなりたいということを常に考えていました。高校サッカー、高校時代は本当に楽しかったです。

宮市選手のように高校からすぐに海外でプレーすることのメッリトはどんなところにあると思いますか?
宮市亮——海外という本場でサッカーに触れて、そこで自分のプレーができたりというのは大きな自信になると思います。僕はユース年代から世界と戦う機会がありましたが、最初は海外の選手を見ると「すごそうだな」とか、やっぱり気持ちの面で多少、弱気になっていた部分もありました。でも、普段からそういう海外の選手と渡り合えることでメンタル的にも慣れていける。それは大きいと思います。

宮市選手にとって挑戦とは?
宮市亮——現役である以上、「挑戦する」ことは当たり前というか、サッカーを続けている以上、常に頂点を目指すことが普通だと思うので、それに向けてどうなりたいか、どうやっていくか、ということが挑戦だと思います。

海外を選ぶことも、ひとつの大きな挑戦だと思います。同じように、長友佑都選手や、ロンドン世代では大津祐樹選手など、他の海外の日本人選手の活躍も刺激になりますか?
宮市亮——そうですね。日本人選手が海外の地で活躍するということはすごいことだと思いますし、やっぱり刺激にもなります。自分も活躍したいと思いますし。一方で、自分は自分のペースでやることの大切さも忘れずにいたいです。

宮市亮はこれからどういうプレーヤーを目指しますか?
宮市亮——得意なスピードという個の力で、もっともっとそれを伸ばしていって、チームでも抜きん出るくらいの選手に、世界的に通用するプレーヤーになりたいです。

そのために日々必要なことは?
宮市亮——常にうまくなりたいという気持ちと、挑戦をし続けることが大事だと思います。

■宮市亮の「個の力」、「個性」を伸ばす武器

日々のトレーニングが重要になるかと思いますが、宮市選手はトレーニングアパレルにどういうことを求めますか?
宮市亮——やっぱりデザインですね。機能性もありますが、かっこ良さも重視しています。

今着用している『NFTB』の印象は?
宮市亮——とても気に入っています。もちろん機能性の面でも優れているので、自分のプレーや「個の力」をさらに高めてくれると思います。

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【浅野祐介@asasukeno】1976年生まれ。『STREET JACK』、『Men's JOKER』でファッション誌の編集を5年。その後、『WORLD SOCCER KING』の副編集長を経て、『SOCCER KING(twitterアカウントはSoccerKingJP)』の編集長に就任。

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