8月5日、小学4年生から6年生を対象としたフットサル大会「EXILE CUP 2015」の中国大会が、島根県浜田市のサン・ビレッジ浜田人口芝スポーツ広場で開催された。気温が30度を超える真夏日の中、全国大会への切符を手に入れるために、中国地方のクラブチームや少年団、計48チームが熱い戦いを繰り広げた。
開会式には島根県観光プロモーション『ご縁の国しまね』のPRキャラクターに就任している劇団EXILEの青柳翔さんと、女性ソロアーティストのLeoraさんも駆け付け、「今日まで一生懸命練習に励んできたと思います。その成果を発揮してください」と子どもたちを激励。さらに「EXILE CUP」の恒例となった、EXILE ÜSA考案の「EXダンス体操」を大会に参加する全選手ととも実施し、大会の盛り上げに一役買うとともに、試合の合間には選手たちと交流を楽しんでいた。
そして、1ブロックにつき4チーム、AからLまでの12ブロックに分かれて戦う予選リーグがスタート。灼熱のピッチの上で、子どもたちは大きな声を出しながら、元気はつらつにプレーした。前線から果敢にプレッシングを掛けるチームや、ボールテクニックに優れるチーム、身体能力の高さを生かして相手を圧倒するチームなど、各チームの持ち味を存分に発揮する見応えのある攻防が、大会序盤から見受けられた。
中でも注目を集めていたのが、前年度の中国地区王者である八雲スポーツ少年団サッカー部(島根県)と、2012年の決勝大会で3位入賞を果たしたC.R.Fジュニア(岡山県)。Kブロックの八雲スポーツ少年団サッカー部は初戦で完封勝利を収めると、その後の2試合も危なげない戦いを披露し、王者としての貫禄を見せた。一方、個人能力に優れる選手をそろえるC.R.Fジュニアは、大量8得点を記録する圧勝劇で初戦をものにすると、その後も相手に付け入る隙を与えず、Eブロックの予選3試合で23得点無失点と圧倒的な強さを披露。両チームともに予選リーグを突破した。
その他、BブロックのCleverB(岡山県)、Cグループのバンスポ竹原FC(広島県)、Fブロックの玉島フットボールクラブ(岡山県)、Lグループの総社北サッカークラブ(岡山県)などが評判通りの強さを見せ、予選3試合で20ゴール以上をマークするなど得点力の高さを発揮。攻撃力に優れた16チームが決勝トーナメントに名乗りを上げた。
午前9時半から始まった予選リーグは14時時までに終了し、お昼の休憩時間には決勝トーナメントの組み合わせ抽選会が行われた。この抽選会では、地元浜田の小学3年生から6年生のメンバーで結成されたガールズパフォーマンスグループ、M−girlsが、E−girlsの曲に合わせてユニットダンスパフォーマンスを披露し、会場に華を添えた。さらに、GENERATIONS from EXILE TRIBEのボーカル&パフォーマー数原龍友さん、パフォーマーの小森隼さん、中務裕太さんがサプライズゲストとして登場。「全力を尽くして頑張ってください。応援しています!」(小森)、「相手のチームにリスペクトの気持ちを忘れずに、フェアプレーで優勝を目指して頑張ってください」(中務)、「一生の思い出になる一日にできるように頑張ってください」(数原)と、決勝トーナメントに臨む子どもたちにエールを送った。
そして各グループ1位と、グループ2位のうち上位4チームの計16チームによる決勝トーナメントは、実力の均衡したハイレベルな試合が繰り広げられた。予選リーグでは大差のつく試合が多く見られたが、決勝トーナメントでは最後まで気の抜けない拮抗した試合が続出。決勝トーナメント1回戦では2試合がPK戦にもつれ込み、浦安フットボールクラブ(岡山県)とアヴァンサールフットボールクラブ(岡山県)は、PKキッカー14人目で決着する壮絶な戦い(1−1、PK戦12−11で浦安フットボールクラブの勝利)となった。準々決勝でも実力伯仲の熱戦が続き、4試合中3試合がPK戦で決着。総社北サッカークラブや浦安フットボールクラブらが姿を消す中、HIRO FC(岡山県)、C.R.Fジュニア、八雲スポーツ少年団サッカー部、宇野フットボールクラブ U−12(岡山県)の4チームが準決勝に駒を進めた。
準決勝のHIRO FCとC.R.Fジュニアの一戦は、試合開始から攻守が目まぐるしく入れ替わる激しい戦いとなったが、先制は強烈なシュートを叩き込んだHIRO FC。後半にC.R.Fジュニアの猛反撃を受けて一度は同点に追いつかれたものの、最後は個人技の能力に優れるHIRO FCが勝ち越しゴールを奪い、勝利を収めた。もう一方の八雲スポーツ少年団サッカー部対宇野フットボールクラブ U−12は、両チーム準々決勝に続いてのPK戦となり、昨年度王者の八雲スポーツ少年団サッカー部がPK戦2-1のスコアで決勝進出を決めた。
中国大会連覇を狙う八雲スポーツ少年団サッカー部と、JFAフットボールフューチャープログラムに岡山県代表選手として参加したメンバーを中心に据えるHIRO FC。ともに個人能力に優れる両者の試合は、意外な展開となった。開始早々にHIRO FCの山本凛君が左足を豪快に振り抜いて先制すると、序盤から主導権をHIRO FCが握っていく。対する八雲スポーツ少年団サッカー部もカウンターから得点を狙うものの、追撃弾を奪えないまま試合は後半へと突入した。ハーフタイムに、HIRO FCの主軸を担う岡部壮眞君が「最後までやり切るぞ!」とチームメートを鼓舞すると、ここまで7名で6戦目を戦い切ったHIRO FCのメンバーは、疲れも見せずに元気よく後半のピッチに飛び出した。後半もHIRO FCが個人能力の高さを武器にペースを握ると、キャプテンの上本銀太君、岡部君が立て続けに得点を奪う。さらに試合終了間際に上本君がダメ押し弾を叩き込み、4-0と勝負を決めた。
予選から選手個々人の能力の高さで異彩を放っていたHIRO FCだったが、素早い攻守の切り替えに加えて、気持ちを全面に出して戦うことを、コーチ陣が選手全員に意識させていたことが優勝の大きな要因となった。昨年度も同大会に挑んだHIRO FCは、フットボールクラブ斐川との決勝トーナメント1回戦でPK戦の末に敗れていた。奇しくも今大会でも決勝トーナメント1回戦で同クラブと激突し、昨年度同様にPK戦までもつれ込んだ。キャプテン上本君の父親であり、チームの監督を務める上本広信監督は大会終了後、「昨年と全く同じ状況でした。前回大会では自分の息子がPKを外して、(フットボールクラブ)斐川相手に決勝トーナメント1回戦で敗退しました。今年も決勝トーナメント1回戦で(フットボールクラブ)斐川相手にPK戦。またも息子がPKを外したんです。ただ、今年はそんな状況下で他のチームメートが盛り上げてくれた。そこでチームに勢いというか、最後までやり切ろうという意思ができあがった。その後は気持ちを前面に出して戦えたことで、優勝を達成できたと思います」と勝負に挑む気持ちを確立できたことが、優勝の要因と振り返った。「チームのみんなが頑張ってくれたから優勝ができた」と喜びを語ったのは決勝戦で2得点を奪った上本君。チームメートから「最も頼りになる存在」と厚い信頼を置かれるキャプテンは、「決勝大会でも、もちろん優勝を目指します」と力強く語った。
HIRO FCは、9月23日に愛媛県今治市の桜井海浜ふれあい広場サッカー場で開催される決勝大会に進出する。彼らは今大会で披露した高い技術力と強い精神力を武器に、中国勢初の全国制覇を目指す。