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「うれしさと悔しさは半々」ドルトムントの連覇への道を鮮明に照らす香川真司の言葉

2012.04.12

[写真]=千葉格

 勝ち点3差で迎えた2位バイエルンとの直接対決。「サポーターの後押しもあるので心強い」という、試合前の香川真司の言葉どおり、スタジアムを埋め尽くす大勢のサポーターの前で、首位ドルトムントが連覇に向けて大きな勝ち点3を手に入れた。

 この結果、残り4節で両者の勝ち点差は6。ドルトムントの残り4試合はシャルケ(アウェー)、ボルシアMG(ホーム)、カイザースラウテルン(アウェー)、フライブルク(ホーム)で、対するバイエルンはマインツ(ホーム)、ブレーメン(アウェー)、シュトゥットガルト(アウェー)、ケルン(ホーム)。さらにバイエルンはチャンピオンズリーグ準決勝のレアル・マドリード戦2試合が控えるため、スケジュール面を含め、ドルトムントの優位は揺るがないものと言えるだろう。

 試合後、香川は「(この勝利は)かなり大きい。相手にPKを与えて、(アルイェン)ロッベンがああいうはずし方をして勝利したことで、相手のダメージも大きいと思うし。この勝利はすごくうれしいです」

「何が何でも勝ちたかったし、自分の得点で勝つことを意識していましたが、それがうまくいかなかったことは少しくやしいです。でも、チームが勝てたことが何より良かったと思います」

 リーグ最多得点を誇るバイエルンを相手に、ドルトムントの両サイドは比較的引き気味の状態だったが、「こちらが下がっていれば相手はそこからのスピードアップがなかなかないから、うまく連動してスライドしていけば前半はそんなに怖くなかった」と分析。守備時の負担についても「ハイプレッシャーというよりは、うまくコースを消しながらスライドしていただけなので、そこはあまり。ただ、後半になってすぐ足に来たし、ここで90分間戦えないっていうのが自分の課題なのかなと思います」と語っている。

「後半の立ち上がり、前に行く体力がなくてボールをキープしようとしたときにイージーなミスをしてしまった。そういう意味では、ボールを大事にしなければいけないなと思いました」

 さらに香川は自らの修整点について、次のように語っている。

「(相手を背負った状態で後ろにボールを落とすプレーでのミスは)そこは自分のミスでもあるし、仲間との連係の問題でもあると思う。そこは課題ですね」

「(ルイス・グスタヴォからの激しマークは)そんなに嫌なディフェンスではなかったので余裕はあった。でも、ミスがいくつかあったのでそこは修正しないといけないです」

「(後半に交代する前のシュートシーンは)交代するだろうなって思っていたし、なんとかワンチャンスをものしたかった。シュートを打とうと思っていたんですけど、惜しかったですね。もったいなかったです」

 連覇に近づく大きな勝利。しかし、香川は「ここからが大事」だと続ける。

「(バイエルン戦が)大事な試合っていうのは分かっていましたし、こういう勝ち方をしたことでサポーターも喜んでいると思います。ただ、シーズンは終わっていないし、(次節で戦う)シャルケはニュルンベルクに負けている分、次は必ず勝ちにくると思います。そこで負けたら意味がないので、気を引き締めてがんばっていきたいです」

「(優勝争いは)やっぱり、すごくタフだなと思いますし、この中で結果を残すことは難しいことだなと感じています。ただ、ここで戦えていることは選手としてすごく幸せなことだと感じますし、これをしっかりと続けていけば達成感は得られるのかなと思います」

「チームとしてはすごく大きな自信を得たと思うし、毎試合、毎試合、相手に攻守において対抗できている手応えは感じています。ただ、個人として見たときに、その中で結果を残したかったです。こういう厳しい試合の中でも存在感を出せるようにという意味では物足りない結果でした。個人的に、うれしさと悔しさは半々ですね」

 この勝利で手に入れた勝ち点3以上に、香川が放った「うれしさと悔しさは半々」という言葉が、自分をどん欲に高めようとする日本人エースの心意気が、ドルトムントの連覇への道を、より鮮明に照らし出す。

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【浅野祐介@asasukeno】1976年生まれ。『STREET JACK』、『Men's JOKER』でファッション誌の編集を5年。その後、『WORLD SOCCER KING』の副編集長を経て、『SOCCER KING @SoccerKingJP』の編集長に就任。

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