小学4年生から6年生を対象としたフットサル大会「EXILE CUP 2015」の北海道大会が8月13日、札幌市東区の札幌サッカーアミューズメントパークで開催された。9月23日に行われる決勝大会へのたった一つの出場権を懸けて、遠くはオホーツク海側の留辺蘂町など道内各地から集まった36チームが激突した。
開会式にはDEEP、劇団EXILEの八木将康さんと小野塚勇人さん、ソロシンガーの塩ノ谷早耶香さんが駆け付け、DEEPの地元・北海道出身のKEISEIさんが「全国大会に行けるのはわずか1チーム。行きたいかー」と気合を入れれば、小野塚さんは「僕もサッカーをやっていたことが今に役立っている。頑張って」と激励。おなじみの「EXダンス体操」でウォーミングアップをすると、いよいよ選手たちもヒートアップし、4チーム9組に分かれた予選リーグで戦いの火ぶたが切って落とされた。
北海道のサッカーチームは冬場の雪に閉ざされた期間の強化にフットサルを取り入れることが多いだけに、どのチームもボールさばきに長け、ボールポゼッションも簡単には相手に譲らない。素早いパス回しでゲームを作るチーム。早め早めにどんどんゴールを狙っていくチーム。厳しいマークを徹底し、守備に手抜かりのないチーム。それぞれがチームカラーを出し、雨天の予報を吹き飛ばす熱い戦いを繰り広げた。
それでも、徐々に有力チームが絞り込まれ、各組1位と2位のうち成績上位7チームによる決勝トーナメントに突入。決勝進出はどのチームか注目が集まる中、準々決勝で北海道大会2連覇中のSTS千歳ペレーダが敗れる波乱があった。破ったのはSS.LAVOR。技巧派のドリブルと厳しいチェックで相手を揺さぶった。
ところが、そのSS.LAVORにも準決勝は鬼門だった。前半に先制するものの、すぐに追いつかれると、後半は3点を献上し、1−4のスコアで黒星を喫した。その相手はAGGRE U−12。昨年準優勝の実績通りに決勝に駒を進めた。
逆の山では、平岡南サッカースポーツ少年団とkitago jr FSCが激突し、平岡南が5−2で決勝の切符を手にした。
そして、AGGRE U−12と平岡南の札幌勢同士による頂上決戦は接戦となった。先に主導権を握ったのは平岡南。キックインから中に放り込まれたボールは、4、5人がジャンプする空中戦の密集の中でGKの死角に入り、DFの頭をかすめてオウンゴールに。続いて、見事なパスワークでノーマークでシュートを放つが、惜しくも枠の外。この絶対的好機を逃したことが、後々響くことになってしまう。
AGGRE U−12の反撃は、ここから始まった。尾形渉君らが丁寧に組み立てたコンビネーションで徐々にペースをつかむと、相手のマークを外した滝澤暖君が右足の強烈なひと振りで同点。エースらしい頼もしいプレーで流れを奪い返す。後半に入ると、またしても滝澤君が遠い位置から右足の力強い一撃をネットに突き刺して、逆転に成功すると、そのまま2−1で初優勝を飾った。
平岡南は、後半にも惜しい場面があり、1本のシュートが運命を分ける結果となってしまった。それでも小杉務監督は「最後までスタミナ切れをせず、練習の成果があった。タレントぞろいの相手に臆することなく、よく戦ってくれた」と選手たちの健闘をたたえた。
一方、勝ったAGGRE U−12には2つのモチベーションがあった。同チームはかつて、チームの理事長を務める三澤洋人さんが主将をしていた19年前にフットサルの全国大会で優勝するなど、隆盛を誇った道内有数のチームだった。ところがその後に活動を停止していた時期があり、今は完全復活を目指している真っ最中なのだ。その意味で今大会は「取りにいった」(三澤理事長)全道優勝の称号だった。
また、選手にとっては、昨年の悔しい準優勝を乗り越えたい気持ちが強かった。滝澤君は「今年こそと思って戦っていました。勝ててうれしいです」と、ほっとした表情を浮かべた。また、尾形君は、自分のプレーには満足していない様子だったが、「全国区大会では課題を直して優勝を目指したい」と、前を向いた。
蛯澤匠吾総監督も「平岡南さんにチャンスに決められていたら分からなかった。しかし、シュート数で負けていなかったし、今年はいいチームになっている。全国大会では、どさんこ魂で、ガツガツ勝負してきたいですね」と、決勝大会での健闘を誓った。