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世界初?のオーナー兼選手となった加藤明拓の挑戦inカンボジア

2015.08.19

5月10日、カンボジアのプノンペンにて、W杯2次予選で日本代表と対戦するカンボジア代表チームと、日本人がオーナーを務めるカンボジアンタイガーFCのトレーニングマッチが行われた。

そこではなんと今年から新オーナーに就任した加藤明拓氏(33)が後半開始から選手のひとりとしてピッチに立った。オーナー兼選手というのは前代未聞の珍事であり、しかもその国のトップリーグのクラブでの出場となると世界的にもほんとど例がない。ましてや、相手チームはナショナルチームである。

ただし、金持ちの道楽というわけではなく、加藤氏は高校時代に千葉県の八千代高校でインターハイに出場し優勝しているほどの実績を持っている。「これほどまでに真剣にやったのは15年ぶり。試合感が鈍っていた。」という氏のコメントにもあるが、自身が迎えた決定的チャンスにも決めることができず、1−2でカンボジア代表に敗れた。

試合後に加藤オーナー兼選手にインタビューを行った。

――どんな思いがあってピッチに立つことになったのか?

加藤 オーナーとしての合理的な思いと、いちサッカープレーヤーとしての心理的思いの2つがありました。まず合理的な面ですが、うちのクラブが黒字化するには3年かかると思っています。特に当初は日本からの支援が多く必要だと思っており、そのためには私自身が全面に出て話題作りすることが必要だと思っています。プロリーグでオーナー兼選手って聞いたことないですから、日本でも取引先やサッカー仲間にも大受けで、みなさんすごく協力的です。

次に心理的な面ですが、やはり個人としてもいつかプロでやってみたいという思いはありました。2月にカンボジアに来た際にチームの試合をスタンドから見ていた時、FIFAアンセムで選手が入場してくるのを見て、自分の中でもムクムクと思いが生まれてきて。実際に練習に参加してみたら、「あれ?意外とやれるかも?」と。そのあと、日本に戻ってからは、ロッキーのテーマソングで毎朝起きてトレーニングし(笑)、お酒の量もだいぶ減らしてコンディションを整えてきました。

――オーナーがグラウンドで選手と一緒にプレーするという点で気にしている点は?

加藤 いくらオーナーであってもピッチの上では木原監督の指示をリスペクトするようにしています。また、選手がピッチ上で「Sir」と呼んでくるので、それはやめてくれ、と(笑) 「Aki」と呼べと伝えてます。

――今回は練習試合だったが、今後リーグ戦の本番で選手としてプレーする意志はあるのか?

加藤 もちろん選手としては外国人選手枠(リーグ戦登録は5名まで)に入れてほしいという思いはあります。しかし、その判断も木原監督と吉田GMに委ねています。実力で評価してほしいところですが、先にお伝えしたようにクラブの経営面においての判断も必要なのでその点はGMがバランスをみてくれると信じていますし、オーナーとして変な圧力をかける気はありません。

――9月と11月に日本代表が対戦するカンボジア代表チームの印象は?予想スコアは?

加藤 思ったよりも繋いでくる、という印象です。また、選手個々人の技術はそれほど悪いと思っていません。しかしながら、チームとしての連動した動き、先を予測する力、ボールのないところでの動きなどは相当改善の余地がありそうです。9月の日本でのホームゲームは10-0などの大差で日本の勝利になるのではと思います。特にカンボジア人は慣れない環境やプレッシャーに弱いですから、序盤で1,2点取られると一気に崩壊して立ち直れないと思います。11月のカンボジアのホームでは、最初の2,30分を運良く守りきれれば、結果的に日本ホームの時ほどの大差はつかないかもしれません。

――日本代表がカンボジアでのアウェイ試合で気をつけるところがあるとすれば?

加藤 ピッチが人工芝です。しかも、その質は決して高くありません。ゴムチップも入ってますが、人工芝テニスコートのような砂も混じっていて、スライディングで火傷します。実際に私も先日の試合でのスライディングで火傷キズができました。日中の強い日差しで人工芝が熱せられているのも影響しているのかもしれません。しかも衛生的に良くない環境ですから、傷口からの感染症にも注意が必要です。傷口にはハエも寄ってくるので注意です(笑)

――カンボジアサッカーの今後の課題は?

加藤 十分にフルコートでサッカーができる環境(グラウンド)が圧倒的に少ないです。フットサルや小さいサイズのサッカーグラウンドはあるのですが、そこでは全体を俯瞰したサッカー観が生まれません。また、それを教える指導者も不足しています。当面は外国人指導者に頼らざるを得ないと思っています。当クラブも数年後にはアカデミーを作ろうと思いますが、当面は日本人コーチになるのではと思っています。

――カンボジアンタイガーFCの今後の中長期的な目標はどんなものか?

加藤 今年からホームゲームのチケットをホームチームが販売できるようになりました。(昨年まではセントラル開催) これは経営上すごく大きなインパクトで、集客のためのファンづくりに注力します。コンスタントに1000人の来場者が来てくれるように何でもします。カンボジア初のシーズンチケットも始めます。スタジアムでの飲食販売なども仕掛けていきます。いまプノンペンに10のクラブが集中して存在していますが、その多くに固定のファンというものはまだついていないのが現状です。今年から各チーム集客に力を入れ始めるところで、先手を打ってカンボジアンタイガーのファンを増やすことが使命だと思っています。

私としては、次の10年以内に、カンボジアのみならず、タイやインドネシアなどの国でもクラブチームを運営し、日本およびアジアのサッカーや経済、自治体などに寄与したいと思っています。日本とカンボジアを合わせた4拠点の「カルテット戦略」をもって、バルサをやっつけたいと考えています。

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