［ワールドサッカーキング 2012.05.17（No.214）掲載］
フランク・リベリーが好調をキープし、バイエルンの進撃を牽引している。彼は今、監督との確執やケガの悩みから完全に解放され、キャリアのピークを迎えつつある。人間としても大きく成長したリベリーが、充実のシーズンを自信たっぷりに振り返った。
ブンデスリーガ制覇は達成できなかったものの、フランク・リベリーにとってバイエルンでの今シーズンはキャリアの中で最高の1年と言えるものとなった。数年間にわたって悩まされ続けたケガと完全に決別してトップフォームを取り戻したリベリーはリーグ戦で12ゴールを記録。チャンピオンズリーグ（以下CL）でも、3ゴール、5アシストをマークしてチームのベスト4進出の原動力となり、自らの実力がいまだトップレベルであることを改めて証明してみせた。
その活躍により、フランス代表でも再びレギュラーに復帰。ユーロ2012では数少ない“南アフリカ組”として汚名返上に燃えている。
遠慮のない物言いで有名な野心家は、今シーズンのプレーぶりをどう自己分析しているのか。そのコメントからは、人間としても成長を遂げたリベリーの今の姿が見て取れる。
■今は、ゲームをするのが楽しくてしょうがないくらいだ。
今シーズンの君は見違えるようなプレーを見せている。バイエルンに移籍して以来、最高のコンディションと言えるんじゃない？
リベリー 体調がいいのは間違いない。今は、ゲームをするのが楽しくてしょうがないくらいだ。
これまで何度も君を悩ませてきたケガも今シーズンはほとんどないね。
リベリー バイエルンには超一流の医療スタッフがスタンバイしている。俺は彼らの全面的なサポートを受けているからな。チームドクター（ハンス・ビルヘルム・ミュラー・ボールファールト医師）はこの世界で知らない人がいないくらい有名で、サッカー、テニス、ハンドボールのトップ選手がこぞって診察に訪れ、手術を受けにくるほどだ。
ケガをしない理由は他にもある？
リベリー 正しい栄養の取り方とか、体のケアには気を使っている。
君にはそうしたメディカルケアに無頓着なイメージがあったけど。
リベリー 若い頃は気にもとめなかったけどな。でも、今はドクターのアドバイスに必ず耳を傾けている。この前なんて、俺がよく筋肉系のケガをするのは歯並びに原因があるんじゃないかって言われたんだ。筋肉と歯が関係してるなんて考えもしなかったよ。ドクターの視点ていうのはさすがだね。
今シーズン、君はプレーに集中しているように見えるけど。メンタル面で何か変化があったのかな？
リベリー 代表チームと私生活の問題がなくなり、再び平穏な毎日に戻った。その影響が大きいね。（編集部注：未成年との買春疑惑、ワビバ夫人との離婚騒動、南アフリカ・ワールドカップでの代表チームの不和を指す）
君が絶好調なのはユップ・ハインケス監督の戦術も影響しているのかな？
リベリー もちろんだ。ハインケスはチームのバランスを復活させた。今のバイエルンは攻撃でも守備でも、うまく連係が取れているんだ。
バイエルンの弱点はサイドだと指摘されてきたけど、今シーズンは逆にストロングポイントになっているよね。
リベリー 今シーズンは俺とアルイェン（ロッベン）が一緒にプレーすることが多いから、サイドからチャンスを作れている。それに、（フィリップ）ラームや（ダヴィド）アラバが守備でもサポートしてくれるから、俺にとってはとてもやりやすいね。
最近は19歳のアラバが左サイドバックの先発を務めているけど、同じサイドでプレーしてみてどんな印象？
リベリー あいつはよく走るし、若いけどゲーム展開を読めている。センタリングもいいものを持っている。時々ミスをするけど、まだ19歳なんだ。大目に見てやってほしいね。
君の逆サイドでプレーするロッベンには、「自分のことしか考えないエゴイスト」、「ゴールは積極的に狙うが、守備にまるで協力しない」など悪い評判が多いけど。
リベリー アルイェンが批判されるのはあいつのドリブルが大げさに見えるのと、あまりパスをしないからだろう。でも、アルイェンは普通のサイドMFじゃないんだ。あいつはマドリーの（クリスチアーノ）ロナウドと同じ「サイドから切り崩すストライカー」なんだ。
だけど、彼のプレーはチームの和を乱す恐れがあるとは思わない？
リベリー DFやMFであればもっとチームプレーを意識すべきだろうけど、前線の選手っていうのはすべてを自分一人で考えながらゴールを求めていくんだ。アタッカーっていうのは、エゴイストでなきゃ務まらないんだよ。
君もかつて「エゴイスト」と批判されたけど、今はそんな声をほとんど聞かなくなった。どうしてかな？
リベリー 選手として大きく成長したからだろう（笑）。
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