5月17日、カンボジアの首都プノンペンにて、W杯2次予選で日本代表と対戦するカンボジア代表と、カンボジアリーグでプレーする日本人選抜の試合が行われた。カンボジアリーグでは多くの日本人プレーヤーが所属しており、今回は14名の選手がこの日本選抜に選出された。対するカンボジア代表は、6月に行われる東南アジア競技大会(SEA Games)に出場するU-23代表に所属する選手が含まれておらず、本来の代表監督もU-23チームに専念しているため、日本から派遣されている小原氏が監督代行を務めた。
入場料は無料だったということもあってか、スタジアムには多くの観客が訪れた。通常の国内リーグ戦では多くても数千人のところ、推定2万人くらいが来場した。天然芝から人工芝への張替えを行ったオリンピックスタジアム(おそらく日本代表との試合会場となる競技場)は、メインスタンドに背もたれ付きの座席も新設したが今回はメインスタンドは開放されなかった。(しかしながら、なぜか前半途中から一部観客が雪崩れ込み、徐々にメインスタンドの客席が埋まっていった)
試合は前半早々にカンボジアンタイガーFCの木原監督兼選手がフリーキックからの流れで豪快なロングシュートを決めて先制。ところが、その後は一方的にカンボジア代表に攻めたてられ、立て続けにキーパーと1対1に。結果、3-1でカンボジア代表リードのまま前半を終える。
後半は日本選抜一進一退の攻防となったが、後半の最後にも失点し、結果4-1でカンボジア代表が勝利した。
カンボジアリーグ初の日本人選手であり、現在はアーミーというクラブに所属する太田敬人選手は、「カウンター主体で前に勢いのある選手が多かった。DFの裏の取り方やタイミング、コンビネーションについてはかなり練習しているように感じた。W杯の2次予選で日本と対戦する際に参考となるカンボジアの弱点をあげるとすれば、セットプレーだと思う。背の高い選手はいないし、GKもDFもボールを跳ね返す力に弱さを感じた」とコメントしている。
日本人唯一の得点をあげた木原正和選手は「先週、うちのクラブと対戦したときよりも、(カンボジア代表)チームとしてやろうとしていることが全員で共有できている印象。カンボジア代表の強みとしてはフィジカルが強く、全員がハードワークしてくるのが特徴だ。」と語った。
スタジアムは7月のリーグ開幕に向けて改修が進められている。電光掲示板は半分しか表示されず、得点も時間も表示されなかった。このあたりはご愛嬌ということで地元の人達にとって大したことではない。新設された人工芝のピッチだが、照明にあたるとかなり美しくグラウンドに浮かび上がった。実際には「芝が長くゴムチップが多いため疲れやすい」(木原選手)とのことで、ボールが転がったり、選手が動くたびに黒いゴムチップが緑の芝の上に舞った。同会場で試合する予定の日本代表は対策が必要かもしれない。
試合後、カンボジア代表のアフリカン人コーチに話を聞くことができた。「決して、日本選抜が弱かったわけではない。(今回のための即席チームのため)連携の練習をしていなかったこと、ディフェンダーの数が足りなく、慣れないポジションを守っていた人が多いことが敗因だと思う。」
日本代表との対戦は9月と11月に予定されており、前述の東南アジア競技大会以降となるため、U-23の主力がA代表に加わるため、今回のチームの印象とはガラッと変わる可能性が高い。また、今回は改修中ということで2万人の観客動員にとどまったが、11月のカンボジアのホームゲーム時には5万人を超える観衆が来場すると予想される。「カンボジア代表には何かに特化した武器を持っている選手が多い。平均的にうまい選手は少ないけど、ヘディング、ドリブル、スタミナなどなど、何か1つを得意にしてる選手が多いのは強み。一発で流れを変えれる選手がいたり。オリンピックスタジアムでの大歓声はカンボジア代表をかなり後押しすると思うし、スタジアム自体が代表の強みでもあると思う。」(吉田康幸選手兼GKコーチ・カンボジアンタイガーFC)とのことで、慣れないアウェイで足元をすくわれないか注意が必要だ。
カンボジア代表は今後、同様にアフリカ人選抜との対戦も予定している。
<日本人選抜チームメンバー>
和田雄也(ボンケットアンコールFC)
龍田和樹(ナショナルディフェンスFC《アーミー》)
太田敬人(ナショナルディフェンスFC《アーミー》)
谷嶺臣(スバイリエンFC)
石井雄輔(ナショナルポリスFC)
清水一平(ナショナルポリスFC)
伴和暁(ナガコープFC)
深澤仁博(ナガコープFC)
柳舘卓(ナショナルディフェンスFC《アーミー》トライアル中)
友廣壮希(カンボジアンタイガーFC)
吉原正人(カンボジアンタイガーFC)
吉田康幸(カンボジアンタイガーFC)
木原正和(カンボジアンタイガーFC)
中本悠太(カンボジアンタイガーFC,契約解除済)
(アジアサッカー研究所/四方)
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