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「ポテンシャル」が結果として現れはじめた2015年のタイサッカー

2016.01.22

2015年シーズンのタイサッカーを語るのに、まず欠かせないのがタイ代表の活躍。2014年のキャティサック・セーナムアン監督の就任から始まった快進撃は、2015年もとどまることを知らなかった。6月にシンガポールで行われた東南アジア競技大会(SEA Games)では、U-23タイ代表が2連覇を達成。グループリーグから決勝まで7戦全勝で24得点1失点と、内容も圧倒的なものだった。

また、ワールドカップ予選でもタイの躍進は続いた。アジア2次予選のグループFを戦うタイは、イラクとの最終戦を残して4勝1分け無敗で首位を快走中。ホームでのイラク戦では0‐2とリードを許す苦しい展開から残り10分でドローに持ち込み、中東の強豪を相手に成長を見せつけた。アジア最終予選(3次予選)へもほぼ間違いなく進出できる状勢となっており期待が高まる。

これまでタイがワールドカップ・アジア予選のファイナルラウンドに進んだのは、2002年の日韓大会予選のみ。当時は日本と韓国がホスト国で不在だったことに加え、オーストラリアもまだアジア予選に参戦していなかった時代だけに今とはまったく状況が異なっていた。実力で掴む正真正銘の最終予選進出は今回が初となり、タイがアジアトップレベルへの階段を着実に登りはじめたことを感じさせる。

タイ代表はアンダー世代も含めて現在、東南アジア内の全カテゴリーのタイトルを保持。昨年のU-19東南アジア選手権では、タイに次ぐ力を持つベトナムを決勝で6‐0と下すなど、タイの実力はもはや東南アジアレベルを卒業したようにさえ思われる。2016年はリオデジャネイロ五輪予選を兼ねたU-23アジア選手権を皮切りに、各年代のタイ代表がアジアトップの戦いに挑む年となる。

圧巻の強さを見せた「5冠」のブリーラム・ユナイテッド

国内リーグでは、ブリーラム・ユナイテッドの強さが光った。タイ・プレミアリーグを25勝9分無敗、得失点差プラス75という別次元の強さで3連覇。タイFAカップ、リーグカップと昨年逃した2つのタイトルも奪還して、2年ぶりに国内主要タイトルのすべてを獲得する「3冠」を達成した。加えて昨年は、前年のリーグ王者とタイFAカップ王者の間で争われるコー・ロイヤルカップ、さらにはメコンエリア(タイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジア)のリーグ王者で争うトヨタメコンカップも制したため、前人未到の「5冠」の偉業となった。

タイリーグのレベルは、年々上昇を続けている。その中で圧倒的な力を見せたブリーラムの強さは特筆すべきものだった。タイリーグ史上最多となる33ゴールで得点王となったブラジル人ストライカーのジオゴ・ルイス・サントを筆頭にレベルの高い外国人選手をそろえ、各ポジションにタイ代表クラスが並ぶ陣容は隙がなかった。2016年シーズンへ向けても着々と補強が進んでおり、いよいよアジアの頂点にどこまで迫れるかという戦いに挑むことになりそうだ。

イングランドよりも自国リーグを見るようになったタイのファン

リーグの規模や盛り上がりにおいても進化を続けるタイリーグ。選手のサラリーはタイ代表クラスの選手であれば年俸数千万円も珍しくなく、トップクラスの外国籍選手であれば億単位の数字も聞かれるようになった。

観客動員数も年々伸びており、ブリーラム・ユナイテッドがホームの平均観客動員数で東南アジアトップとなる2万人超えを達成。さらに、日本人の神戸清雄監督が率いるナコンラーチャシーマーFCも熱狂的なサポーターを誇り、ホーム平均で同じく2万人を超えた。リーグ3位に入ったスパンブリーFCも平均1万5千人を超えるサポーターを集めているが、これら3チームがすべて地方クラブであることも興味深い。

タイリーグには3部リーグに当たるディビジョン2まで含めて計120ほどのクラブが存在するが、下部リーグの地方クラブでも多くのサポーターを持つクラブが増えている。ある地元メディアの調査によれば、タイのファンはイングランドのプレミアリーグよりも自国リーグにより関心を持つようになったという。サッカーといえばイングランドのプレミアリーグを指すのが当たり前だった東南アジアにとって、これは画期的な変化だ。

また、このオフにはブリーラム・ユナイテッドと、タイ国内でブリーラムに次ぐ人気と実力を誇るムアントン・ユナイテッドがそれぞれ、ラオス、カンボジアなどの近隣国へのツアーを敢行。タイ・プレミアリーグのトップクラブが周辺国でのファン獲得に乗り出したのも興味深い動きといえる。

「サムライフットボールチャレンジ」とは、
アジアのサッカークラブや事業者の”中の人”になって、本物のサポーターやスポンサーを相手にリアルな運営を体験し、楽しみながら学ぶ&自分を磨く海外研修プログラムです。ビジネスでも大注目のアジア新興国は、チャンスも無限大。何を成し遂げるかはあなた次第!日本にいては絶対得られない体験をこれでもか!と積重なてもらいます。経験・年齢・性別・語学力不問です。
http://samurai-fc.asia/

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