[ワールドサッカーキング 1018号掲載]
リーグの開幕とともに世間の注目を集めたのは鳴り物入りでチェルシーに加入したエデン・アザールだった。しかし、チェルシーにはこの男がいることも忘れてはならない。ディディエ・ドログバがつけていた11番を引き継ぎ、セレソンの背番号10を背負う男――。21歳の若きMFオスカルは、誰よりも闘志に燃えている。
インタビュー・文=ジョナス・オリヴェイラ
スタメンに食い込む自信はあるよ
ロンドンにやって来て既に2カ月が経過した。新天地にはもう慣れたかな?
オスカル まだ完全にフィットできているとは言えないけど、努力はしてるよ。この街のことも少しずつ分かってきたし、ここでの暮らしをエンジョイしている。チームに多くのブラジル人選手がいるのも本当に心強い。特にダヴィド(ルイス)はいつも僕を気に掛けてくれている。昼食はほとんど彼の家で食べさせてもらってる。何と言ってもブラジル料理を出してくれるからね。外食の時も、どの店がおいしいかアドバイスをくれるんだ。
オススメの美容室はもう教えてもらった?
オスカル いや、それはまだだったな(笑)。でも、彼にオススメの美容室を聞いても意味はないと思うよ。ダヴィドは髪を切らないからね(笑)。
新加入選手たちには、椅子の上に立って歌を歌うという“儀式”が課せられたようだね。君は何を歌ったの? チームメートの反応はどうだった?
オスカル 実はあの“儀式”はブラジル代表でも行われているんだけど、チェルシーでやるほうが気は楽だった。だってチームメートはみんな、僕が何を歌ってるのか全く分かってなかったからね(笑)。サンバを歌ったから、同じブラジル人の選手たちしか反応できなかったってわけさ。
リーグ開幕からここまで数試合に出場したけど、プレミアリーグのスタイルをどう感じる?
オスカル 正直言って、プレミアはもっとフィジカルが求められるリーグだと思っていた。周りの人たちにそう脅されていたからね。でも、想像していたほどフィジカル重視のサッカーじゃなかったから安心してるよ。まあ、ブラジルサッカーと比べると、ダイナミックな印象は持ったね。
最終的にチェルシー入りを決断した理由は何? 他のチームからもオファーはあったんじゃない?
オスカル 昨シーズンのチャンピオンズリーグ制覇が、チェルシー入りを決断した一番の理由だ。もちろん、理由はそれだけじゃない。チェルシーはヨーロッパでも有数のビッグクラブだし、何よりオファーが魅力的だったんだ。これからのキャリアを考える上で、大きな意味を持つ移籍だと感じた。トッテナムやその他のチームからもオファーをもらったけど、チェルシーのオファーに一番心が動いた。迷いはなかったよ。
昨シーズンまでディディエ・ドログバがつけていた背番号11を引き継ぐことになったわけだけど、プレッシャーは感じていない?
オスカル プレッシャーはないよ。むしろ、この番号をもらえたことで、自信がついたくらいさ。ドログバが去って、僕が加入した。それ自体は偶然のことだけど、偉大な背番号をもらえたことに感謝している。ドログバは多くのファンに愛されていた。僕もファンを魅了できるように頑張っていきたいと思う。
自分の最大の強みはどこにあると思う? どのポジションでプレーするのが一番得意なの?
オスカル 最近はどのポジションの選手にも、とにかくいろいろな役割が求められる。ただ、テクニックに関しては誇れるほうだと思うし、足元にボールを受けた時に、次にどんなプレーをすべきかがしっかり見えている。攻撃面に関してはあまり心配してないよ。ただ、守備は課題だね。もっとうまくマークにつけるようになりたい。それと、オフ・ザ・ボールの動きの質も、更に高めていかなければいけないと思っているよ。
ロベルト・ディ・マッテオ監督が今夏に獲得した選手たちを見ると、チェルシーは昨シーズンよりもテクニックを重視したチームに生まれ変わろうとしているように見える。実際にその意図を感じる?
オスカル 今シーズンのチェルシーは間違いなくテクニックを重んじたチームになると思う。新加入選手はもちろんだけど、このチームには(フアン)マタや(フェルナンド)トーレス、ラミレス、そして(フランク)ランパードもいるからね。素晴らしい選手たちばかりだ。時間が経って連係が深まれば、もっとテクニカルなプレーを見せられるはずさ。
君はマタやアザールとポジションを争わなくてはならない。そのことに不安はない?
オスカル ビッグクラブでプレーする以上、ポジション争いは当たり前のことさ。激しい競争は代表で慣れているし、良いプレーをした選手がスタメンに名を連ねるってだけのことさ。チャンスをもらった時には自分の最大限のプレーを見せたい。スタメンに食い込む自信はあるよ。
最後に、今シーズンの目標を教えてほしい。
オスカル チェルシーで良いシーズンを送る。とにかく、それに尽きるね。一歩ずつ成長して、このリーグで最高のプレーを見せたい。もちろん、チャンピオンズリーグも全力で楽しむつもりだよ。