[ワールドサッカーキング 1101号 掲載]
サントスのネイマールがハイペースでゴールを重ねている。果たして、ネイマールはこのままブラジルでプレーを続けるのか。今、世界中の注目が集まる天才ドリブラーが、自身の未来について率直に語った。
翻訳=池田貴司 協力=サントスF.C.
今、世界中のサッカー関係者がネイマールの動向に注目している。傑出した才能を持つ“ブラジルの宝”は幾度となく報じられる移籍話にも沈黙を守り、目の前の試合に集中するのみ。サントスのルイス・アルバロ・リベイロ会長は契約が切れる2014年まで、ネイマールの移籍はないと公言さえしている。
とはいえ、ヨーロッパの強豪クラブは20歳の天才ドリブラー獲得に向け、着々とプランを練り続けている。レアル・マドリー、バルセロナ、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシーを始めとしたビッグクラブはネイマールの確かな実力と将来性を確信しているようだ。
ネイマールは自身の未来図をどう描いているのか。移籍の可能性、自国開催のワールドカップへの意気込みなどについて、本人が真摯(しんし)に答えた。
ゴールは練習の成果だしチーム全員のものだ
今夏はコパ・リベルタドーレスの準決勝で敗退し、ブラジル代表ではロンドン・オリンピック決勝でも敗れてしまった。君にとっては悔しい結果に終わったけど、気持ちの切り替えはできている?
ネイマール 常にすべての試合に勝ちたいとは思っているけど、実際はやっぱり難しいよ。僕はプロになってから最初の4年間で5つのタイトルを勝ち取った。セレソンとしてオリンピック出場の夢を実現し、メダルを取ることもできた。とても満足しているよ。でも負けたことを素直に受け入れているわけじゃない。一流のプロは、どうして敗れたかを分析して、次につなげなければならないんだ。それに、クラブでもセレソンでも、メンバーに選ばれず試合に出られない選手だってたくさんいる。試合に出る選手はたくさんのものを背負って、勝負に挑まなくてはならないんだ。だからたとえ試合に負けても、すぐに切り替えて次の試合に向けて準備するのが、僕らの義務なんだよ。
ブラジル全国選手権では10試合で8ゴールと好調をキープしている。どんなモチベーションでプレーの質を高めているのかな?
ネイマール ブラジル選手権は世界で最も過酷なリーグの一つだ。強いチームが多くて、勝敗も紙一重の差で決まる。だから毎週のように首位が入れ替わるんだ。でもこのことが僕のプレーの質を高めてくれていると思う。各チームが年々レベルアップする中、当然、僕自身もチームもより高いレベルのサッカーを実現しようと考える。チーム全員がベストを尽くさなければ、このリーグで上位をキープするのは難しいんだ。個人成績も大事だけど、僕はとにかくチームを上位に押し上げたいといつも思っている。ゴールは自分だけのものじゃなく、チームが勝利するためのものだからね。
9月に行われた南アフリカ戦では勝利したにもかかわらず、ブラジル代表は厳しい批判を受けた。君は「サポーターからの応援が足りない」と不満を示していたけど、代表への過度の期待についてはどう感じている?
ネイマール セレソンのユニフォームを身につけている以上、常に厳しい批判を受けるのはある意味当たり前だと思っているよ。僕は負けることが大嫌いだから、批判が自分のレベルアップにつながるなら素直に受け入れようと思っているんだ。ただ分かってほしいのは、僕らセレソンは常に全力で勝利をもぎ取ろうとしているってこと。それでもうまくいかない試合だってあるってことさ。僕はそういう苦しい状況の時こそ、国民からの熱い応援を期待している。応援によって僕らのモチベーションは確実にアップするし、良い結果が生まれることだって多い。この気持ちを理解してほしいんだ。
南アフリカ戦後に行われた中国との親善試合で代表初となるハットトリックを達成したね。君自身のプレーについてはどんな自己評価をしているの?
ネイマール 僕は記録のためにプレーをしているわけじゃない。ゴールは練習の成果だし、チーム全員のものだ。ボールが僕のところにこなければゴールは生まれないからね。南アフリカ戦でのセレソンは褒められる出来じゃなかった。でも中国戦はチーム全体がとてもよく動けていたし、僕自身もキレのあるプレーができたと思うよ。
君にはいつも移籍のうわさがつきまとっている。移籍について現段階で君自身の口から言えることはある?
ネイマール 唯一言えるのは、2014年までサントスとの契約があるってこと。つまり、2014年まではその契約通りにプレーするということだね。
ヨーロッパ各国のリーグ戦を見ることはある?
ネイマール もちろん。よくテレビで見ているし、学ぶべきところは多いよ。
君のプレースタイルがリーガ・エスパニョーラにフィットすると言うジャーナリストは多い。君自身はどう思う?
ネイマール 僕の原点はフットサルに始まり、裸足でプレーするストリートサッカーだ。このことが今のプレースタイルにつながっているのは間違いないよ。でも僕がスペインのサッカーにフィットするかどうかなんて、やってみないと分からないよ。
チャンピオンズリーグでプレーしてみたいと思ったことはある?
ネイマール もちろんあるさ。CLだけじゃなく、世界中にあるハイレベルなすべての大会でプレーして優勝するのが夢だよ(笑)。でも僕だけじゃなく、ブラジルの子どもたちすべてが同じような夢を抱いているはずだ。この国の人はそれだけサッカーに対して貪欲(どんよく)なのさ。
これまでブラジル歴代のスター選手はヨーロッパで成功を収めることで世界的な名声を手に入れた。君も将来、同じ道を歩みたいとは思わないの?
ネイマール 興味として、ヨーロッパでプレーしてみたいという気持ちはあるし、それを隠しても仕方がない。でも、選手として進化するために必ずしもヨーロッパに渡らなければいけないとは僕は考えていないんだ。どのリーグであろうが、プロである以上日々向上しなくてはいけないし、努力すれば結果はついてくると信じている。
By サッカーキング編集部
サッカー総合情報サイト