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イブラヒモヴィッチ「俺が成功できたのは人一倍の厳しさを備えているから」

2012.11.05

ワールドサッカーキング 1115号 掲載]

インタビュー・文=ミシェル・デスラック
翻訳=石橋佳奈

 

このチームにとっては今日よりも明日が大切だ

 

開幕から2カ月が経った今、リーグ・アンのレベルについてはどう感じている? 契約会見では「リーグ・アンのことは全く分からない」と発言していたけど。

 

イブラヒモヴィッチ(以下I)──クラブ間にレベルの差がない、難しいリーグだってことは前もって知らされていた。やってみて、その通りだと思ったね。俺はこれまでいろんな国でプレーしてきたけど、それでもリーグ・アンに順応するのは簡単じゃなかったよ。初戦でくるぶしにケガをしていなければ、もっと早く慣れたんだろうけど……。

 

昨シーズンまでプレーしていたセリエAと比較すると?

 

I──まあ、リーガ・エスパニョーラよりはセリエAに近いかな。細かいテクニックよりフィジカルを重視するし、意外と戦術的なチームが多い。

 

なるほど。では、序盤戦のチームの出来には満足している?

 

I──結果は悪くない。だが、良いとも言えないな。はっきり言ってレベルが低いと思う。

 

無敗で首位(第9節終了時点)でも?(※編集部注:第11節で初黒星)

 

I──いや、ネガティブな意味じゃなくて、俺たちにはもっとやれる力があると思うんだ。新加入選手の名前を見たら、誰だってそう思うだろ? チアーゴ・シウヴァ、エセキエル・ラベッシ、マルコ・ヴェラッティ、そして俺。うまくかみ合えば、とんでもないチームになる。ただ、チームとして本当に機能するには、まだ時間が必要だろうな。

 

そんな状況で、パリ・サンジェルマンでのプレーを楽しめている?

 

I──もちろん。だけど、このチームにとっては、今日よりも明日のほうが大切だ。俺自身もまだ100パーセントじゃないし、チームとしても足りないところがある。あと数カ月したらもっと良くなるよ。ただ、いずれにしても満足するってことはないけどね。俺はパフォーマンスについては、常に「今以上」を求めるタイプだし。

 

そして、チームメートにも同じように厳しい要求をするわけだ。

 

I──そう。俺がプレーヤーとして成功できたのは、人一倍の厳しさを備えているからだと思う。まあ、確かに反省すべき点はある。ピッチで怒りをぶちまけたり、味方を罵倒したりするのは確かに褒められたことじゃないからね。だけど、本気で「もっとうまくプレーしたい」と思っているからこそ、熱くなってしまうというか……。

 

8試合で9ゴールを挙げて得点ランキングのトップにいても、君はまだ満足できない?

 

I──いや、なかなかだね(笑)。みんなが俺にゴールを期待していて、今のところその期待に応えられている。俺にはボールをキープしたり、スペースを作ったりする役割もあるけど、それだけじゃ不十分だ。結局、ストライカーはゴールを決めるのが役割なわけで、俺はシュートを入れるため、試合を動かすため、チームを勝たせるためにプレーしている。まあ、俺一人の力でゴールを決められるわけじゃないけど。

 

カルロ・アンチェロッティ監督からはどんな役割を求められている?

 

I──簡単だよ。「自分自身のプレー、ズラタンのプレーをしろ」って。アンチェロッティは選手を駒のように動かすタイプじゃない。ゲームプランは明確だけど、ピッチ上の動きは俺たちに委ねてくれるんだ。

 

それは意外だね。イタリア人監督は戦術にうるさいというイメージがあるけど。

 

I──うるさくやろうと思えばできるはずさ。だけど、今のパリSGには細かい戦術より重要なことがあるって判断なんだろう。選手からプレッシャーを取り除いたり、新加入選手をうまくチームになじませたり。アンチェロッティはそういうマネジメントに慣れている。選手はみんな彼を信じてるよ。

 

ただ、監督がイタリア人で、セリエAから選手を大量に補強したわけだから、次第にイタリアン・スタイルが浸透してくるだろうね。

 

I──どうかな。そもそも、俺は「イタリアン・スタイル」がどういうものなのか、よく分からないんだ。アンチェロッティがチェルシーの監督をしていた頃、あのクラブがイタリアンだなんて思わなかった。それに「イタリアン・スタイル」が鉄壁の守備、つまりカテナチオを指すのなら、今のセリエAはちょっと違う。攻撃的にプレーするチームが多くなっているからね。

 

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