[ワールドサッカーキング 1206号 掲載]
写真=Getty Images 文・浅野祐介 (@asasukeno )
御年67歳の世界的ロックミュージシャンが感涙にむせぶ。試合前日に創設125周年を迎えた古豪が、ホームのセルティック・パークで“欧州最強”とうたわれるクラブを撃破した夜、ロッド・スチュワートは人目をはばからず涙を流しました。
イギリス紙『ガーディアン』によれば、セルティックのボール支配率は16パーセント。ここ7シーズン、チャンピオンズリーグで勝利したチームの中で最もポゼッションが低かったそうです。ロッド・スチュワートの涙にはアップセット、今号で取り上げた“ジャイアントキリング”の醍醐味が凝縮されていたと思います。「やる前からひるんでどうすんだ。スコアは常に0対0から。誰に対しても平等だ」。ジャイキリの愛称でも知られるサッカー漫画『GIANT KILLING』の中で、主人公・達海猛はこう語ります。ビッグクラブと呼ばれるチームが圧倒的なパフォーマンスで相手をねじ伏せるシーンにももちろん心引かれますが、「あらゆることが起こり得る、それがサッカーの魅力だ」というジョゼ・モウリーニョ監督の言葉もまた、一つの“真理”だと思う次第です。
欧州のトップシーンをひた走る列強クラブの“死角”検証。今号を偉大なボーカリストにも捧げたいと思います。