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スポーツ選手著書初のミリオンセラー達成! 「『心を整える。』がもたらしたもの」

2013.02.05

[サムライサッカーキング2月号掲載]
スポーツ選手が著者の書籍として初のミリオンセラーを達成し、ついに134万部まで発行部数を伸ばした長谷部誠の著書『心を整える。』(幻冬舎)。しかも、ただ売れただけではない。様々な“波及効果”を日本社会にもたらしているのだ。東日本大震災の復興支援のため、長谷部誠は著書『心を整える』の印税の全額を寄付したことで知られるが、このベストセラーは、他にも書籍市場を超えた波及効果を及ぼしているという。担当編集・二本柳陵介氏にその波及効果について話を伺った。

hasebe写真=足立雅史

大学入試の問題や教科書にも採用された

――東日本大震災の復興支援のお話はメディアを通じて有名ですが、どういう経緯で寄付することになったのでしょうか。

二本柳 震災があったのが2011年の3月11日ですが、この本の発売日が3月18日だったんです。震災の翌日に連絡があって「本の発売を延期したい」とお願いされました。ただ、さすがにそれは難しいということで、そのまま発売させてもらったんですが、発売後すぐに寄付のお話はいただきましたね。

――他にはどういう活動をされましたか。

二本柳 長谷部さんの出身地・静岡県藤枝市でチャリティーイベントを行いました。『心を整える。』のカバーを藤色(長谷部の出身校・藤枝東のイメージカラー)にした限定バージョン3000部やチャリティーグッズを販売したんです。その売上金や印税を合わせて、震災によって園舎を失った宮城県南三陸町のあさひ幼稚園を建て替えさせていただきました。

――大学の入試問題にも採用されたと伺いました。

二本柳 試験問題はたくさんありますね。私が把握しているだけでも10校程度。試験前に情報が漏れちゃうと当然ダメですから、事前の連絡はないんです。事後報告もないこともあるでしょうから、本当はもっと多いかもしれません。あとは教科書にも採用されたり、警察署の図書室に置かれたという話も聞いていますね。

最も波及効果を受けたのは長谷部自身だった!?

――様々な波及効果をもたらしたヒット書籍を手がけたということで、二本柳氏自身に、何か変化はありましたか。

二本柳 変化ではないかもしれませんが、サッカー好きな編集者としては、工夫次第ではサッカー書籍でもこれだけ手に取っていただけるということが分かって本当にうれしいですね。でも、一番忘れちゃいけないのは、彼自身に対する波及効果じゃないですか。

――というと?

二本柳 これを読んだ女性は「長谷部さんとの生活はなかなか大変そう」って思うんじゃないかと……。長谷部さんが結婚する時にはちゃんと奥さんに説明してあげたいです。「もし将来、サッカーチームの監督になったりしたら、たまに一人で温泉に行って、ゆっくり考える時間を欲しがるかもしれませんが、それは許してあげてください」と(笑)。

二本柳陵介 雑誌『ゲーテ』副編集長を務めながら、内田篤人『僕は自分が見たことしか信じない』、中村俊輔『察知力』等の書籍を担当。

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