今年、モーニング娘。が3作連続オリコン1位を獲得して劇的な復活を果たした一方で、同じ事務所を一旦はクビになった7人組が、地道なライブ活動で注目を集め徐々にファン層を広げつつある。その7人組が、アップアップガールズ(仮)だ。
一昨年、ハロー!プロジェクトの研修生「ハロプロエッグ」の元メンバーだった7人で結成されたアップアップガールズ(仮)は、ハロプロ仕込みの歌やダンス、ハロプロの枠にとらわれない新たなクリエイターの起用で注目を集め、今年の夏にはライブハウスツアー、ロッキンジャパンやサマソニなど、ロックフェスへの出演、そして横浜BLITZや赤坂BLITZでの単独公演の成功と確実なステップアップを遂げた。
圧倒的な熱量のライブと常に攻めの姿勢を崩さないそのスタイルでファン層を広げつつあるアプガは、10月30日にシングル『Starry Night/青春ビルドアップ』を発売。この先も年末年始の三公演、来年予定されている全国ツアー、さらに彼女たちにとって一つの大きな目標となる中野サンプラザ公演と、前へ前へ進み続けている。今回はそんなアプガの最年長・仙石みなみさんに話を聞いた。
(写真・文●岡田康宏)
ーーまずは、アップアップガールズ(仮)はどんなグループなのか、簡単に紹介してもらっていいですか?
アップアップガールズ(仮)は、元々はみんなハロー!プロジェクトの研修生で、そこを辞めさせられてクビになったメンバーで、もう一度立ち上がろう、雑草魂で頑張ろうって組んだ7人です。一回挫折を味わった分、根性や雑草魂、負けん気はすごく強い7人なので、その雑草魂で、どんなことにもガツガツやっていこうということで頑張っています。
私たちは一つ一つのステージを「決戦」だと思っていて、絶対に負けられないって気持ちで一つ一つのライブに命をかけてやっています。7人でライブの前に円陣を組むんですけど、「今日も生きて帰ってこようね」って言葉が出るくらい。ライブが激しくて、自分たちでも気力、体力、限界のところでやっているし、そういう意味では命をかけてアイドルもやっているし、命をかけてライブもやっているし、グループ名ではないんですけど、つねに「アップアップ」しながらやっているグループだと思います。
ライブは本当に毎回、息が上がる寸前まで攻めるし、私は二回目の単独ライブ・六本木決戦のとき、足を攣りながらライブをやっていて、でもここからもっと激しいセットリストだし、ここではまだ倒れられないと思って、その足を無理やり動かしてやったりとか。ライブ中も、自分たちでこれはやばいぞって限界を感じるんですけど、そこで一つこらえて、ここを頑張ればもっといい景色が見えるとか、ここを乗り越えないと負けてられないとか、そういう気持ちで頑張っています。なんかもう己との戦いというか、それぞれ自分の限界まで、体力の限界まで頑張って、激しい二時間とかも乗り越えられるんじゃないかなって。
ーー今年の夏は、ライブハウスツアー、ロックフェスへの出演、横浜BLITZや赤坂BLITZでの単独公演といろいろなことがありました。
本当にこの夏で体力がついたなって思っていて、以前は二時間の単独ライブやったらボロボロで、次の日とか、戦場帰りの兵士のような状態だったんですけど、この夏に初めて単独でライブハウスツアーをやらせていただいて、そこでたくさんライブを経験したことで、この前の赤坂BLITZは二公演だったんですけど、意外とみんなケロッとしていて、みんな体力ついたねって話をしました。今年の夏の怒涛のツアーの連続で、また一つ強くなったなって思います。
夏に「アプガ第二章開戦前夜ツアー」として、七カ所回らせてもらったんですけど、会場が全部ライブハウスで、独特の熱気がすごくて、酸欠状態というのを初めて味わって。今までのライブも激しくて息切れすることはあったんですけど、初めて酸素ボンベが楽屋に用意されていて、そんなに過酷なのかなと思ったら、本当にライブが終わった後、みんな酸素が足りなくなって、終わった後みんなで酸素を吸ったりしてました。七カ所、七公演、ほぼ同じセットリストで回ったんですけど、すべての会場で会場ごとに違った盛り上がりとか熱さがあって、全部違ったライブになったなって感じでした。
去年も「全国行脚」といって全国を回らせていただいたんですけれど、去年はインストアイベントで、無料でお客さんに見てもらえるスペースで回ったんですよ。でも今年はライブハウスツアーで、ライブハウスにお客さんを呼んでやれたので、それだけでも去年とは成長したし嬉しかったんですけど、とくに今回は初めて行く場所が多くて、神戸だったり京都だったり、あとはメンバーの地元の凱旋公演、関根梓ちゃんの長野と新井愛瞳ちゃんの群馬とでやったりとか、全部特別感のあるライブが出来たなって思います。
ーーライブハウスツアーがホームでの戦いだとしたら、ロックフェスはアウェーになると思います。やってみてどうでした?
今年の夏は単独ツアーという部分の嬉しさと、新しいジャンルのところに飛び込める楽しさがあって、本当にロックインジャパンだったり、サマソニだったりとか、自分たちでは想像もしていない場所だったので、そのステージに立たせてもらえるというのがすっごい嬉しくて。日本三大ロックフェスと言われているようなフェスにアプガが出られるんだと思って、すごく喜んで。でもその分、当日の緊張はすごくて。前日に見学させてもらったんですけど、一日に六万人とか来場するって聞いて、もうとにかくお客さんの数がすごくて、出演しているアーティストさんも、ロックフェスってこんなにお客さんを巻き込んで盛り上がるんだとか、こんなに熱い言葉をお客さんに投げかけるんだとか、その一体となっている感じがすごいなと思って。
自分たちがステージに出るときに、自分たちはアイドルとして出るのでロックファンの方が受け入れてくれるのか不安があったんですけど、いざ出て行ったら曲を演るごとにどんどんお客さんが集まってくださって、「一緒に盛り上がっていきましょう」とか投げかけても、すごく返してくださって。自分たちの曲でロックファンの方も一緒に一つになれているっていうのが、すごい嬉しいなって。「音楽に国境はない」ってよく聞くんですけど、本当にそれを実感できた瞬間でした。
アイドルファンの方だけではなく、ロックのファンの方も一緒に熱くなって、拳を上げて「ワ〜!」って盛り上がれた瞬間は、本当に嬉しいなって素直に思えました。実際にやってみたら、壁は感じなかったんです。最初、自分たちの方が構えすぎていて、ガチガチに緊張して出ちゃったんですけど、いざ出て見たら、会場の方たちの方がウェルカムな感じで受け入れてくださって。
ーーアプガさんは、アウェーの現場に強い印象があります。
最初に出て行くときは本当に緊張するんですよ、ここはアウェーの地だと思って。でもそういうときの方が、7人は燃えるんですね。今日はアウェーだからこそ爪痕を残して行こうねとか、覚えてもらおうねって。だから、最初はドキッとするんですけど、そこからどれだけ取り込めるかとか、そういう勝負になってくるんで。すごいアウェーの場所、現場は燃えますね。アウェーのときは「お前ら誰だ」とか「帰れ」って言われても貫き通そうって気持ちで臨むので、逆に燃えてます。今日は大事な決戦だっていう高まり感とかも、普通のライブのときも思うんですけど、アウェーのときはさらにそれが強くなりますね。逆境とか、アウェーとか、そういうのをどんどん乗り越えて強くなりたいと思っているので。
ーー4月のリベンジ公演となった8月31日の横浜BLITZ公演では、満員という目標を達成することができました。
横浜BLITZという会場を埋めるのは、前からの目標だったんですけど、4月のときはできなくて、まだ自分たちには何かが足りないんだと思いながら過ごしてきたんです。だから満員の景色を見たときは本当に感動しました。自分たちで横ブリを満員にできたんだって。エッグのときから立っていた場所だから、そこに7人で立っているのも嬉しいし、そこを7人で満員にできたというのも嬉しいし、あの景色はもうずっと忘れられないなって思いますね。
なんか、圧が違うなって思いました。満員ってこんなにすごいんだって。ステージに出る前に、「今日は4月のときとは全然違う景色が見れるからね。行って来い!」みたいな感じでスタッフさんに後押しされて出たんですけど、本当にそうだなって思って。4月のときもたくさんの方に来ていただいたんですけど、でもやっぱり満員って違うなって思いました。お客さんの渦というか、熱気みたいなものがステージに届いてきて、オープニングから泣きそうになりました。
この夏、ずっと「8月31日を満員にしたいんです」って呼びかけてきたし、チケットも最後の何枚かは自分たちで手売りをして、ファンの人たちに囲まれながら完売の瞬間を迎えることができたので、完売というのは簡単にできたものではなくて、やっとやっとできたものだったので、この完売の会場を見ている重みというのをすごく感じながらステージに立っていて、二時間超のライブが本当にあっという間でした。二時間以上、かなり攻め攻めのセトリでやったんですけど、それも感じないくらいあっという間で、一曲終わるごとに、もう終わっちゃうんだ、もう終わっちゃうんだって。すごく噛み締めながらやれた横浜BLITZでした。
ーーみんな、ハロプロの研修生の頃から一緒だから、長いんですよね。
佐藤綾乃ちゃんだけは後から入ったんですけど、ほかはみんな一期生だから7年くらいですね。アプガになってからが3年目。エッグのときからアプガになって、みんなそれぞれ、人間が変わったよねってくらい成長したと思っていて、アプガになってからの方が、自分たちでやらなきゃいけないことだったり、アウェーの場に飛び込むことだったり、そういうことが増えた分、強くなったよねって。エッグのときは静かなイメージだった子も多いんですけど、その子も殻を破ったよねとか、実はこんな子だったんだとか、エッグのときに知らなかった一面をアプガになってから知った子とかもいて。
佐保明梨ちゃんとかも、ポーカーフェイスのクールな子ってイメージだったんですよ。でもアプガになってから、こんなにおもしろい子だったんだって。いまではみんな「変人」って呼んでいるんですけど(笑)。すごいおもしろい発言だとか、行動が多くて、それもアプガになってから知ったことだったり、みんなアプガになってから、なんでも自分たちでこなさなきゃということがあるので、その分強くなったなと思います。
ーー以前、振付の竹中先生にインタビューさせてもらったとき、アプガちゃんには「バックダンサー気質」があると言っていたんですけど、その辺は当時とは変わってきたということですね。
エッグのときは、私はバックダンサーなんだって思いがあって、みんなどこか自信なさげだったりとかしてたんですけど、アプガになってからは7人でステージに立って、7人で創りあげなきゃいけないっていうのがあって、一人ずつに課せられる使命だったり任務だったり、責任感というのもでてきて、一人一人が、私はこうしたい、ああしたいというのが出てくるようになって、そういう部分では一人ずつの個性は出てきたなって思うし、変な遠慮みたいなのがなくなったんじゃないかなと思うし、アプガになってからのみんなの方が、いい意味でなんでも言い合える絆みたいなものが生まれてきて、それは良かったなって思います。
ーープレッシャーには強い方ですか?
プレッシャーには弱くて、一回シュンってなるんですけど、でもこのままじゃいけないって自分たちを奮い立たせて、いろいろ考えたり練ったりしてステージに上るって感じですね。意外とそういう部分ではチキンな子が多いなとは、自分たちでも言っているんですけど(笑)。でも、全然前よりは強くなったなって思います。
ーーではメンバー、一人ひとりを紹介してもらっていいですか。
じゃあ年齢順で、ピンク担当の古川小夏ちゃんから。私が一応、最年長で小夏ちゃんはしっかり者で姉御肌。みんなをしかったりしてくれる裏番長的存在で、ダンス番長でダンスも上手なので、リハーサルとかで、みんなにビシっと言ってくれたり、引っ張っていってくれたり。あとは元気ですごくうるさいので、そういう意味ではムードメーカー的な部分もあります。
次は緑担当の森咲樹ちゃん。もりてぃーは緑のカラーの通り、すごい癒し系で、みんなを包み込んでくれる優しいアプガのお姉ちゃん的な存在ですね。例えば、誰かが喧嘩していたりすると間に入ってなだめてくれたりとか、面倒見が良くて。あとは、メンバーからもよくツッコまれたり、無茶ブリをされたり、いじられキャラですね。これやってとか、無茶なこと言われて、でもやるんですよ。滑ったりもするんですけど、でも絶対に挑戦するという。
次が紫の佐藤綾乃ちゃん。佐藤綾乃ちゃんはアプガのお母さんと言われていて、几帳面でいろいろなことに目を配れるので、最年少からは口うるさいってよく言われているんですけど、でもそれくらいみんなのことをよく見ていてくれて、楽屋をキレイにしたり、はい、もう何時だよって指示してくれたり、お母さん的な存在ですね。ちょうど年齢が真ん中なので、アプガの中間管理職とも言われています。ライブでは、煽り番長です。
黄色の佐保明梨ちゃんは破壊王ですね。物も空気もよく壊す。ずっと黙っていたのに、突然なにか発言したと思ったら、急に変なことを言い出して、それでよく空気を壊すという。でも、すっごいおもしろいです。何するかわからない、行動も読めないので、本当に破壊王だなって思います。
オレンジの関根梓ちゃんは、ザ・女の子って感じで。今ではアプガの小悪魔って呼ばれているんですけど、小悪魔になるための本を読んで勉強しているほど、女の子らしさもあるし、いたずらっ子で構ってちゃんみたいな面もあって、女の子らしい女の子で、かわいらしいですね。
で、青の新井愛瞳ちゃんは最年少でもあるので、ザ・ガキンチョって感じです。楽屋もよく汚すし、片付けができないし、いつもお菓子ばかり食べているし。でもしっかりはしていて、ツッコミ担当でバンバンつっこんでくれたりとか、そういう意味ではしっかりしている部分もあります。でも、ガキンチョです。
ーー仙石さん自身はどうですか?
私自身は、最年長なのですけど、すごいおっちょこちょいで、MCでかんじゃったりとか、大事なところで言い間違えちゃったりとか、やらかしちゃうことが多くて、常にみんなから、ヒヤヒヤしながら見守られている存在ですね。見た目はドジだし、ほわほわしているし、でもインナーソウルと自分では言っているんですけど、魂は熱く燃えていて、勝負事が好きですね。なので、レッドの色も大好きで、赤を身につけると戦闘モードに切り替わります。
私は中学1年のときに「あずみ」の映画を見て衝撃を受けて、そこから戦国時代とか武士系のDVDとか映画ばかり見ていて、なので中1でエッグのオーディションを受けたときも「侍魂で頑張ります」って言っているんですよ。任務を全うするために自分の命も惜しくないと思いながら戦う姿に憧れて、それから侍とか武士が好きで、だから自分も「侍魂」で頑張るぞって思いながらやっています。こんなにボケていて戦えるのかってよく言われるんですけど、いざ勝負になると燃えます。だから「SAMURAI GIRLS」は高まってますね。マイクの刀を振りかざして踊るので、燃えます。題名が来た瞬間、歌詞が来た瞬間、すごい嬉しくて。毎回心を震わせながら歌っています。最後は刀を収めるところで終わるので、すごいサムライ感がある曲で嬉しいなって。
ーー9月の赤坂BLITZ公演で一段落ついたかと思ったら、また新しい目標が提示されましたね。
怒涛の夏をやっと赤坂BLITZ公演まで完走して、ほっと一息つく暇もなくまた次の発表がされました。年末年始公演が12月の22日と28日、1月1日元日にあって、今度は全部会場が1000人以上の規模なんですよ。前よりも大きな会場で連続で出来る今がすごい嬉しくて、夏を駆け抜けて来て、次に与えられた任務が以前より大きくなっていて嬉しいなって。だから、次も大きな会場が続くんですけど、そこも全部満員にしたいし、その3つの公演をクリアしたら、来春には全国ツアーがあるかもしれないって言われていて、その全国ツアーをもし成功させたら、中野サンプラザ公演があるかもしれないって言われていて。まだ、「かも」「かも」と「かも」が2つ続くくらいなんですけど、本当にまずは年末年始の公演にかかっているなって。夏の怒涛のライブも完走できたので、冬もこの勢いで、夏よりももっと熱いライブにしたいなって。そうやって乗り越えていきたいなって思います。
今回は年末年始公演だけではなく、その先に達成したい目標が二つもあるので、そこに向けて一つ一つ目標をクリアしながら。私たちはずっと「次はサンプラザでやりたいね」っていってきたし、その目標を達成できるかどうかは自分たち次第だと思うので、夢のサンプラザに立てるように成長していかなきゃなって思います。サンプラザはハロプロエッグのとき、ハロー!プロジェクトの公演でバックダンサーとして踊っていた場所なので、そこに7人で戻ることができたら、これまでの自分たちをまた一歩越せるんじゃないかと思うので。横ブリを満員にできたので、次は中野サンプラザに7人で挑みに行きたいなって。
ーー今回のツアーからアプガ第二章と言われていますが、第二章の目標はありますか?
アプガの第二章が今回のツアーから始まったんですけど、第二章は個々の力を強くしていこうって言っていて。一章はアプガとして7人のグループとしてアップアップ出来たので、二章は、そこに一人一人の力がもっと大きくならないと、グループとしては大きくなれないよねってことで。これからは個々の力もどんどんどんどん磨いていって、一人ずつが強くなれたら、7人揃ったらもっと最強になれると思うので、一人ひとりが強くなること。あとは、歌やダンスも勢いとか、激しさだけではなくて、バラードとかも歌えるようになりたいし、激しさだけではなく武器も身につけていけたらいいなって思っています。
自分個人としては表現力ですかね。今は激しく攻めるタイプの曲が多いんですけど、そうじゃないバラードとか世界観を持っている曲をやれるようになるためには、表現力が大切だと思うので。私はお芝居とかも大好きで、よく見に行ったりするんですけど、そういう世界観を伝えられる表現みたいなのが、もっとできるようになれたらいいなって思います。表現というものをもっと磨いていきたいですね。
アップアップガールズ(仮) アプガ第二章(仮)
大晦日イブイブイブ決戦 〜CLUB CITTA’〜
12月28日(土)CLUB CITTA’(神奈川県)
・公演目 開場13:15 開演14:00
・公演目 開場17:15 開演18:00
アップアップガールズ(仮) アプガ第二章(仮)
2014年元日決戦 〜赤坂BLITZ〜
2014年1月1日(水・祝)赤坂BLITZ(東京)
開場17:15 開演18:00
アップアップガールズ(仮)公式サイト
http://www.upupgirlskakkokari.com/
アップアップガールズ(仮)公式ブログ
http://ameblo.jp/upfront-girls/