2019年1月18日(金)に、FROMONE SPORTS ACADEMYで倉本塾サッカー指導者特別セミナーが「自分で判断出来る選手の育成」というテーマで開催された。
講師を務めたのは、スペインで上級指導ライセンス取得後、湘南ベルマーレや大宮アルディージャの育成年代に指導をし、現在はサッカーコーチ専門コーチとして活動している倉本和昌氏。
今回のセミナーを実施する際に行われたインタビューで、倉本氏がスペインで上級指導ライセンスを取得した経緯や、サッカーコーチ専門コーチになった経緯が書かれているので、是非一読してほしい。
≪インタビュー記事 前編≫ ≪インタビュー記事 後編≫
まず、初めにグループで自己紹介を実施。4人組でグループとなり受講者同士のコミュニケーションを図る時間が設けられた。倉本氏曰く「自己開示をすれば自然と緊張状態は解ける」との事。確かに、受講者の表情には笑顔が多く見られるようになった。
その後、倉本氏より『コーチとは何をする人?』『指導力とは何か?』『勝つチームを作るにはどのようなサイクルで回す必要があるか?』など様々な面から、指導者とは何かを定義付けていくテーマをいくつか与えられ、受講者同士でディスカッションし、受講者自身の考え方と倉本氏の考えを照らし合わせ、シェアをしていった。
続いて、「選手との関係性の質を上げるにはどうすべきか?」というテーマが提示された。ここでは、心理学的観点から「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」という仮説をもとに作られた理論『マズローの欲求5段階説』が説明された。その上で、①子供の特性を知ること、②安心・安全の環境を作ること、③つながり感を感じさせること、④自己肯定感を感じさせること、選手との関係性の質を上げるためにはまずは、この4つがとても重要だと倉本氏は話した。
安心感を感じさせるためには、指導者から選手に自己開示・共通点探しなどを意識することで、選手が自発的にポジティブな発言や行動を起こすことにも繋がると言う。
最下層から、①生理的欲求、②安全の欲求、③所属と愛の欲求④承認の欲求⑤自己実現の欲求の順序で上がっていく。
終盤には、スペインで学んできた倉本氏が感じる日本サッカーの問題点が挙げられた。「知覚(認知)~判断~実行」のサッカーの行動プロセスに則り、トレーニングを組むのだが、多くのチームは、実行部分にフォーカスしたトレーニングが多く、知覚(認知)~判断にフォーカスしたトレーニングが少ないと言う。いわゆる、蹴り方や、ドリブルの仕方だけを教えている技術面のみのトレーニングだ。
これでは技術が発達しても、なぜその場面でミスをしたのか、どう改善すれば良いのか分からないまま大人になってしまう。サッカーで起こるミスの割合は、「知覚(認知)~判断が8:実行が2」であると言う。特に育成年代から知覚(認知)~判断にフォーカスしたトレーニングを多く実施するべきであり、何故そのミスが起きたのか、どう改善すれば良かったのかを共有することで、個人でもチームとしても自身で判断出来る選手が多くなり、最終的には勝つチームに育っていくという部分にはとても共感できた。
セミナー終了後には、懇親会も実施された。指導者同士の意見交換の場となり、また、セミナー中に疑問に思ったことを倉本氏にシェアする場にもなった。
アンケートでは、「実行からではなく、知覚→判断から入ることが大事で、その場面を作るためにも、安心・安全の環境作りが大切なことを実感した」「関係の質をベース、サッカーの行動プロセスの考え方が大切であると感じた。自分のコーチングの振り返りをしたい。」といった感想が挙げられた。
By サッカーキング編集部
サッカー総合情報サイト