「スポーツ業界で働きたい」そう思う学生の方は多いのではないだろうか。2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催まで残り約1年。日々スポーツ関係のニュースが飛び交い、国内でのスポーツへの関心は高まっていることが感じられる。そんな中、2020年の新卒採用が3月より公開を予定。FROMONE SPORTS ACADEMYでは、スポーツ業界で働きたい方々を応援するために、実際に現場で働く方々をお迎えし、ご自身のお仕事についてお話いただく【就活セミナー】を開催。
今回は、楽天株式会社からイニエスタ選手をはじめスポーツブランディングのプロジェクトリーダーとして活躍する堀 弘人氏。『Rakutenのスポーツマーケティング戦略を学ぶ!』というテーマで、企業としてスポーツをどのように事業化しているのか。そして、ご自身のこれまでのキャリアや、学生時代について語った。
堀さんは大学卒業後、米系広告代理店にてキャリアを積んだ後にナイキ、アディダスなどスポーツ業界のリーディングブランドでマーケターとしての地位を築いてきた。直近ではLVMH傘下の高級時計タグ・ホイヤーのマーケティングディレクターとしてブランド戦略、スポーツマーケティング戦略を牽引し、2018年より現職に就き、グローバル視点でのスポーツマーケティングプロジェクトのキープレーヤーとして活躍している。
まず『人はどうして働くのか?』というテーマでスタート。堀氏は、その答えは自分自身で探すことが重要であることを示唆し、自身のキャリア形成における軸となる構成要素を説明。その軸とは、①グローバル②ブランド③スポーツが軸となっており、このような軸を持つことで自分のキャリアアップを図ってきたと語る。
次に、『仕事を通じて何を実現したいか?』というテーマで、マズローの欲求段階の図を説明し、仕事を通じて何を達成し、引いてはどの欲求を満たしたいのかによって仕事の軸は決まってくる。そして、自分自身を「ブランド」として捉えることが重要で、自分というブランドの強み・他人と差別化できる独自戦略・企業や会社に貢献できる価値は何かを考え、行動することで自身の価値をアピールすることが出来るのだと語った。
続いて、楽天株式会社について説明。楽天の由来とは、未来を信じて明るく、常に前向きに「楽天」的に行こうという想いが込められている。その中で、キーワードになるのが企業理念として掲げている「Empowerment(エンパワーメント)」。イノベーションを通じて人や社会を外郭的に刺激し構造改革を起こすことであり、スポーツマーケティングの理念に近しいということもあり、数年前よりスポーツ&エンタメ領域へ集中的投資を行っているという。
では、何故FCバルセロナやゴールデンステート・ウォリアーズなのか?それは、システマチックで異次元なタレントが揃っている点と、楽天がグローバルイノベーションカンパニーをビジョンとして掲げているからである。スポンサーシップの権利を活用し、スポーツマーケティング戦略的活用として、ブランド価値向上・メンバーシップ獲得・新ビジネス創出の3つのサイクルを回している。スポーツには人を繋げる力があり、1人では出来ないが100人集まれば出来ることや、自分やチームの力を信じることが大事で、喜怒哀楽を含んだあらゆる感情の機微が含まれていると熱く語られた。
終盤に、昨年ヴィッセル神戸に加入したアンドレス・イニエスタ選手を活用したプロジェクトについて説明。楽天ではイニエスタのブランドをビジネスに繋げるために、次の4つのストーリーを組み立てた。「①価値を理解する」「②価値を高める」「③価値を共有する」「④価値がマネタイズされる」。このようなステップを踏んでいくことで、国内における認知度向上に繋げ、ビジネスモデルに落とし込んでいくことが堀氏の役目だと語った。
就活セミナーという事もあり、学生の参加が多い中で非常に理解しやすい内容でRakutenがどのような会社なのか、堀氏が得意とするスポーツマーケティングとはどのようなものなのかを知ることができ、とても有意義な時間となっただろう。