Bリーグが革新的な開幕戦で立ち上がり早くも3年目を迎えた。デジタルマーケティングをフル活用し、チケットの販促や会員形態など、新たな試みを次々と成功させている。先日、FROMONE SPORTS ACADEMYでは、そのBリーグで事務局長を務める葦原 一正氏が登壇し、「『稼ぐがすべて』 Bリーグを躍進させたデジタル戦略!」というテーマで特別セミナーが開催された。
セミナーは二部制で開催。第一部では葦原氏から実際にBリーグで行ってきた戦略について説明。第二部ではゲストとして株式会社Jリーグデジタルの杉本渉氏も登場し参加者からの質問を元にトークディスカッションが行われた。
葦原 一正/公益財団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ常務理事 事務局長
「公益財団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ」に入社し男子プロバスケ新リーグB.LEAGUE立ち上げに参画し、リーグの経営戦略・ビジョン策定から、マーケティング、営業、広報と各部門の統括リーダーとして事務局を務める。早稲田大学卒業後、外資系戦略コンサルティング会社「アーサー・D・リトル(ジャパン)」入社。2007年に「オリックス・バファローズ」に入社し、事業戦略案や、新ブランド戦略立案などを担当。パ・リーグ6球団共同出資社「パシフィックリーグマーケティング」でセールス&マーケティングディレクターを兼任。2012年から新規参入した「横浜DeNAベイスターズ」に入社し事業戦略立案、プロモーション関連を担当した。2013年に「フィールドマネジメント」に入社し、現在に至る。
杉本 渉/株式会社Jリーグデジタルコミュニケーション戦略部 部長
法政大学国際文化学部卒。東京大学スポーツマネジメントスクール修了。大学3年時より「スポーツナビ」(現ワイズ・スポーツ株式会社/ヤフー株式会社子会社)で働き出し、2012年取締役、2014年から代表取締役就任。2016年に退任し公益社団法人日本プロサッカーリーグに。グループ再編により株式会社Jリーグデジタルへ。現職ではデジタルマーケティング活動の戦略策定およびプロダクト開発に従事。主に公式サイト、SNSの運用およびJリーグ公式アプリ「Club J.LEAGUE」の企画・運営を主務とする。
まず、Bリーグのこれまでの成長課程について実際の数字を用いて可視化して紹介された。市場規模としては2015年が100億円未満、2016年に218億円、2017年には273億円と推移しており、2年で業界全体の仕様規模は3倍に急成長していると解説。
Bリーグの事業方針として、ターゲットは観戦者意向層である700万人をターゲットに絞った。その700万人は集団観戦型・家にいるよりもお出かけ型・TVやPCではなく、スマホや雑誌で情報収集・発信もシェアも積極的/流行に敏感な方々である。その情報を元に、チケットはWEBチケット、放送はネット中継、スポンサーはデジタルを中心としたアクティベーション、グッズはECで構成というスマホファーストを軸に事業を固め、Bリーグを躍進させてきたと語る。
開幕まで時間も少ない中、各クラブの既存システムを無しにし、リーグ主導で進めることをクラブ側と協議し、一部のクラブよりネガティブな意見もありながらも実行してきたことが一番の苦労だったそうだ。
第二部では、参加者からの質問に対して、葦原氏と杉本氏でディスカッションしていく形式で進められた。
「リーグを盛り上げるために選手の立場でやるべきことや出来ることは何か?」という質問に対し杉本氏は「上手いだけではなく魅せるという事も追及していかなければならない。自分という商品をどう売っていくかがポイントで、その一つがSNSの活用である」と回答。
葦原氏も「勝つことが一番のファンサービスではなく、プロでは勝つことは当たり前で、チケットを売る・スポンサーを覚える・メディア対応をしっかりこなすこと。この3つをしっかりやりなさいという事を話している。」と回答。どちらも新人研修でプロ意識をしっかりと選手たちに植え付け、セカンドキャリアなどを考えると社会人としても一人前にしていくことを考えているのだ。
セミナー終了後も短い時間ではあったが、参加者と葦原氏、杉本氏との交流は行われ、それぞれ列をなした。参加者からのアンケートには、「ソフトとハードの一体経営、素人から見ても分かりやすいものが大事なんだなと感じました」や、「Bリーグで今どんな展望がありどんなことをしているのか知ることが出来てとても良かったです。」と回答が挙がり、今後のリーグへの期待が伺えた。