eW杯の出場権を獲得したナスリ選手
オランダの首都アムステルダムで開催されている「EA SPORTS FIFA 18 グローバルシリーズプレーオフ」のPS4部門2日目は6月2日、グループステージの残り2ラウンドと決勝トーナメント1回戦を行った。
ナスリ選手は1日目を4勝1敗で終え、すでにグループ突破を決めて2日目の残り2ラウンドに臨んだ。グループステージは成績が近い選手と当たる“スイス方式”が採用されているため、どちらのラウンドも上位対決となる。それでも、「リラックスして、相手の上手いところを吸収しながらやっていこうと思いました」と至って冷静だった。ラウンド6ではボーフムのeスポーツチームに所属するVfl DaniFink選手(ドイツ)に2戦合計3-2で勝利。ラウンド7ではヴァーチャル・ブンデスリーガ王者のTheStrxnger選手(ドイツ)を同5-2で倒し、2連勝を飾った。
「1戦目は苦戦しましたけど、(相手の)プレスの速さとか、攻め方とか、わけのわかんないことをしてこない感じから勝てるかなと思いました。2戦目は、この前のパリの大会(FIFA eクラブワールドカップ)で、日本人のつぁくと(Tsakt)さんが負けていたので、やばいなと思っていました。だけど、相手の調子悪かったんだと思います」
最終的に6勝1敗(得失点差+37)で、世界一とも言われるNicolas99FC選手(アルゼンチン)に次ぐ2番目の好成績でグループステージを終えた。勝てばFIFA eワールドカップ出場が決まるベスト32の相手は、1日目の初戦で2戦合計6-4で勝利したFerperry選手(スペイン)。「1回戦っているので、(戦い方が)バレているので、やりづらかったですね。(相手を知っているというより)知られているという感じでした」と話したとおり、お互いを知っている試合は熱い接戦となった。
ファーストレグは開始わずか6分に先制点を喫したが、12分にすぐさま反撃を実らせて1-1で終了。セカンドレグは立ち上がりから攻勢に出たが、再三のリードを追いつかれる苦しい展開に。それでも前回の対戦経験から自信はあった。「初戦でやったときも2試合とも勝てていたので、リードされることが想像できなかったです。それよりも、いつ点を取れるかなと考えていました。点さえ取れれば、不運な感じで失点しない限り、勝てるかなと思っていました」。
78分にはキックオフ直後のアーリークロスから美しいボレーシュートを沈めてゴール。「普通は通用しないけど、相手のキックオフのときの対処の仕方を見て通用すると思っていたので狙っていきました」という“キックオフクロス”がきれいに決まり3度目の勝ち越しに成功した。その後、終了間際に再び追いつかれて90分を終えたが、延長戦で2点を奪って突き放し、「2点目を決めたときに勝ったと思ったので、『ふぅ』って感じでした」と緊迫した接戦から勝利で開放された。
ナスリ選手はベスト16に入り、8月2〜4日にイギリスの首都ロンドンで行われるeW杯出場が決定。大会の解説者も「サプライズ」と話す快進撃は会場を沸かせ、祝福の言葉を直接かけに来る人もいるほどだった。会場中の注目を浴びる壇上で「最高です。ロンドンに行けることがまず嬉しいので、(eW杯については)まだ何も考えていないです」と喜びを語ったが、世界の16強に入ったことに「まだ実感はないです」と話した。
それでも、「YouTubeで俺が写っている動画や写真に撮って送られてきました」と、日本の友達からすぐに“祝福”を受けたという。さらに“優勝決定日”の3日目に向けては「賞金が懸かっているのでちょっとでも上に行きたいです。バイトしかしたことがないので、でっかいお金をもらって友達に自慢したいです」と話し、18歳らしい笑みもこぼした。
By 湊昂大