優勝したジョクサン選手(左)。ナスリ選手(右)との対戦は「冷静な選手だから最も難しかった試合の1つ」
サッカーゲーム『FIFA 19』のeスポーツ世界大会「CONTINENTAL CUP 2018 Presented by PlayStation」が、フランス・パリで行われたゲーム見本市「Paris Games Week」内で、10月26日から28日かけて開催された。優勝はアメリカのジョクサン選手(JOKSAN-)が飾り、賞金2万ユーロ(約260万円)や副賞の今季チャンピオンズリーグ決勝の観戦チケットなどを手にした。日本代表として参戦したナスリ選手(今大会登録名はWEB NASRI)は、準々決勝でジョクサン選手に敗れてベスト8で終わった。
FIFA 19の世界王者を決める戦いが幕を明けた。「CONTINENTAL CUP 2018」は、来夏に行われる「FIFA eワールドカップ 2019」の出場権をかけて戦う「EA SPORTS FIFA 19 グローバルシリーズ」における今季最初の公式大会。世界各国から32選手がパリに集結し、PlayStation4(PS4)で熱戦を繰り広げた。
大会初日のグループステージは各対戦ごとに1試合のみ行われ、2勝した時点で決勝トーナメント進出が決まる。グループHに入ったナスリ選手は初戦で、当日の現地予選会を勝ち抜いたVFB DRERHANO選手(ドイツ)と対戦。すでに予選会で“ウォームアップ”を済ませた相手に先制を許したものの、後半に2点を奪い2-1で逆転勝利を収めた。白星スタート同士が対戦する第2戦では、8月のeW杯2018を制した世界王者MSドサリ選手(MSdossary/サウジアラビア)と激突し、4-0で快勝。大金星を挙げて首位でグループステージ突破を決めた。
2日目はラウンド16と準々決勝が開催され、どちらもファーストレグとセカンドレグの2試合を実施。ナスリ選手はラウンド16でJESUS0716選手(香港)と対戦し、「準備していた」という“エル・トルネード”(ボールを浮かせつつ反転するスキルムーブ)を駆使しつつ、2試合合計3-1で制して次のラウンドに進んだ。準々決勝ではジョクサン選手と対戦。ファーストレグは前半を1-3で折り返す苦しい展開となり、後半開始直後に“エル・トルネード”から豪快ボレーを突き刺して一矢報いたが、そのまま2-3で落とした。セカンドレグは前半で優位に立ち先制したものの、後半に2失点で逆転されてしまう。ラストプレーで再び“エル・トルネード”から意地の1発を叩き込んだが、2試合合計4-5で敗れ、ナスリ選手はベスト8敗退となった。
ナスリ選手を破ったジョクサン選手は最終日の決勝まで駒を進め、ストレンジャー選手(TheStrxngeR/ドイツ)と激突。決勝戦は3ゲームマッチ制で行われ、2ゲームを先取した方が優勝者となる。ジョクサン選手は第1戦、前半37分にキックフェイントで相手GKをファーポストへ“動かして”からニアを貫き先制したが、後半に相手の反撃に遭い1-2の逆転負け。第2戦は、勢いに乗るストレンジャー選手に前半だけで2点先行を許したが、後半の立ち上がりで一気に追いつくと、そこから壮絶な打ち合いとなり、延長戦の末に5-4の劇的な逆転勝利で1勝1敗に持ち込んだ。
運命の第3戦は、ジョクサン選手がGKやDFの好守にも救われつつ前半を3-1の2点リードで折り返すと、後半序盤に1点差に迫られたが、74分にクリスティアーノ・ロナウドの一撃で突き放し、4-2で勝利。第2戦と第3戦を制し、逆転で今大会のチャンピオンに輝いた。
ジョクサン選手は試合後、「優勝できると思っていなかったから、素直に嬉しいよ」と喜びを語り、決勝戦について「とてもタフな試合だった。ストレンジャー選手はうまく試合に入っていたから、第1戦は気持ちよくプレーできなかったね。第2戦から戦術を変えて、より落ち着いてプレーできたよ」と振り返った。
大会を終えて、ナスリ選手は「あんまり自信がなくて通用しないと思っていたけど、やってみたら意外といけました。(ベスト8は)想定していた順位より高かったかなと思います」と振り返り、世界王者MSドサリ選手を撃破したことについては「多分忙しくてまだあんまり(FIFA 19を)やっていないと思うので、意外と調子がよくなかったのかなと思いました」と謙虚な姿勢を崩さなかった。
今回の決勝では、GKのわずかなポジション操作が得点を左右するシーンが多く、繊細なテクニックと高度な駆け引きが繰り広げられた。観戦したナスリ選手は「まずGKのマニュアル操作、それを踏まえての攻撃は違うなと思いました。(レベルが)まだまだ遠いなという感じですね」と冷静に分析。それでも優勝者ジョクサン選手に善戦したことで、「あれだけ強い中で、内容はともかく、点差的には僅差にできたので自信になりました」と手応えを得たようだ。
By 湊昂大